福島原発刑事裁判、指定弁護士が控訴趣意書提出
2020年 09月 15日
福島原発刑事裁判、指定弁護士が控訴趣意書提出!
「原判決の基本的誤りは長期評価の信頼性の否定」
東京電力福島原発事故の刑事責任を問う福島原発刑事訴訟において、昨年9月19日、東京地裁が東電旧経営陣の被告人勝俣恒久、武黒一郎、武藤栄に対する業務上過失致死傷被告事件で無罪判決を下したのに対し、同年9月30日、東京高裁に控訴した検察官役の5人の指定弁護士が、控訴1年を前に9月11日に控訴の理由を示した控訴趣意書を東京高裁に提出しました。
指定弁護士が申し立てた「控訴の趣旨」では、「被告人らが業務上過失致死傷の罪に問われるべきであることは、明白である。それにもかかわらず、被告人らに無罪の判決を言い渡した原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるから、原判決は破棄されるべきである(刑事訴訟法382条)」としています。
「控訴の理由」では、「原判決の誤りと問題の所在」として「1予見可能性と『長期評価』の信頼性、具体性。2 『社会通念』。3予見可能性と結果回避措置」をあげて、「1審判決の基本的な誤りは、国の津波に対する見解の信頼性を否定した点にある」としています。「1審判決の基本的な誤りは、津波対策の大前提となる国の津波に対する見解、『長期評価』の信頼性を否定した点にある。万が一にも事故を起こしてはならないという社会通念にも著しく反する」と主張しています。
東京高裁での裁判の舞台が動き始めます。
この控訴趣意書に対する反論の答弁書を旧経営陣側が提出したのちに、東京高裁による控訴審が開かれる流れです。現時点で、東京高裁は審理の日程はまだ決まっていないとしています。
東京高裁では、数々の証拠を元に公正な判断が必要です。東京地裁が却下した、福島第一原発や双葉病院の現地検証の実現はじめ、地震本部の長期評価の信頼性、被告人らの関与を明確に立証した山下調書の信用性、結果回避措置の実施可能性等々、原判決の事実誤認を覆すための立証を一つ一つ成し遂げねばなりません。
無念の死を遂げた被害者、その遺族みなさん、そして福島県民はじめ多くの被災者のみなさん、支援者のみなさんの声を一つにして、国内外の世論に訴え、東京高裁での逆転有罪判決をめざしましょう。
控訴趣意書の報道機関配布版は、福島原発刑事訴訟支援団のHPで公開されています。
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/20200915-doc.pdf
原発のない社会をめざすネットワーキングニュース「アサツユ」2020.9.15 第348号より