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海洋放出反対の表明を、県知事と県議会議長に要請

 福島第一原発事故によるタンク貯蔵汚染水の海洋放出の決定が27日にも、政府の廃炉汚染水対策関係閣僚会議で決定されると報道される中、10月22日午後、これ以上海を汚すな!市民会議が緊急行動を行いました。
 代表17名は、福島県庁で、内堀雅雄福島県知事宛の要請書「福島第一原発事故によるトリチウム等タンク貯蔵汚染水の処分に関する対応について」を県危機管理部原子力安全対策課の伊藤課長に提出し、次の3点を要請し意見交換しました。

1、福島第一原発事故によるタンク貯蔵汚染水の海洋放出処分案について、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内農林水産業団体が反対し、県内59自治体議会の約7割が反対または慎重対応を求める意見書を政府に提出しており、県民の民意は海洋放出に賛同していないことから、本県として反対の意思を表明すること。
2、汚染水の陸上保管について、漁業者をはじめ県民の生業を守り、県民生活の安全・安心を確保するため、トリチウム分離技術の実用化を求め、大型タンクでの長期保管案や半地下でのモルタル固化保管案等の詳細な検討を、国と東電に求めること。
3、汚染水処分の国民的合意について、海洋放出処分は国内はもとより国際的にも多大な影響を及ぼすことから、国際関係に配慮するとともに、国権の最高機関である国会での議論や全国での漁業者はじめ国民的な公聴会の開催などにより、拙速を避けた慎重な国民的合意の形成を図るよう、国に求めること。
 この要請に対し、伊藤課長は、知事に報告するとした上で、「風評への影響が大きく、ご意見を伺う場、県内自治体議会の意見書、パブコメなどで慎重にの意見が多いと承知している。処理により新たな風評を招いてはいけない」「県は国に対し、具体的な説明をしてほしい、トリチウムの科学的情報を発信してほしいと要請している」「政府が責任を持って対応してほしい」「県には日程や内容の確定などの連絡は来ていない」などと答えました。これに対し、市民会議は、「国の方針が決まってから県の態度を示すと知事は発言しているが、漁業者はじめ生業を失う状態に陥る寸前来ていると言っても過言ではないので、政府が決定する前に、是非とも被災県の長として、被害者を出さない、二次被害を出さないということで知事から国に強く求めていただきたい」と訴えました。

 同時に、同じ内容で下記の趣旨の要請書を、太田光秋福島県議会議長にも提出しました。
1、福島第一原発事故によるタンク貯蔵汚染水の海洋放出処分案について、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内農林水産業団体が反対し、県内59自治体議会の約7割が反対または慎重対応を求める意見書を政府に提出しており、県民の民意は海洋放出に賛同していないことから、福島県議会として反対の意思を表明すること。
2、汚染水の陸上保管について、漁業者をはじめ県民の生業を守り、県民生活の安全・安心を確保するため、トリチウム分離技術の実用化を求め、大型タンクでの長期保管案や半地下でのモルタル固化保管案等の詳細な検討を、福島県議会として国と東電に求めること。
3、汚染水処分の国民的合意について、海洋放出処分は国内はもとより国際的にも多大な影響を及ぼすことから、国際関係に配慮するとともに、国権の最高機関である国会での議論や全国での漁業者はじめ国民的な公聴会の開催などにより、拙速を避けた慎重な国民的合意の形成を図るよう、福島県議会として国に求めること。

 その後、記者会見を行うとともに、県庁前で「汚染水を海に流すな!」とスタンディングを行い、市民に訴えました。
 要請には、古市三久県会議員に同行頂きました。

 以下は、知事への要請書です。

福島県知事            2020年10月22日
内堀 雅雄 様 

要 請 書
福島第一原発事故によるトリチウム等タンク貯蔵汚染水の処分に関する対応について

(要旨)
1、福島第一原発事故によるタンク貯蔵汚染水の海洋放出処分案について、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内農林水産業団体が反対し、県内59自治体議会の約7割が反対または慎重対応を求める意見書を政府に提出しており、県民の民意は海洋放出に賛同していないことから、本県として反対の意思を表明すること。
2、汚染水の陸上保管について、漁業者をはじめ県民の生業を守り、県民生活の安全・安心を確保するため、トリチウム分離技術の実用化を求め、大型タンクでの長期保管案や半地下でのモルタル固化保管案等の詳細な検討を、国と東電に求めること。
3、汚染水処分の国民的合意について、海洋放出処分は国内はもとより国際的にも多大な影響を及ぼすことから、国際関係に配慮するとともに、国権の最高機関である国会での議論や全国での漁業者はじめ国民的な公聴会の開催などにより、拙速を避けた慎重な国民的合意の形成を図るよう国に求めること。

(理由)
 東京電力福島第一原発事故から9年7ヶ月、未だ、政府の原子力緊急事態宣言は解除されていません。事故による被害は甚大で、10年目を迎えても放射能汚染は広範に及び、住民避難も続いています。
 本県の復興は、未だ道半ばです。
 にもかかわらず、国と東京電力は、120万トンを超えるトリチウム等タンク貯蔵汚染水の海洋放出計画を進めています。これが強行されれば、1月時点で総量860兆ベクレルとされるトリチウムやその他の放射性物質を含むタンク貯蔵汚染水が、年間22兆から100兆ベクレル、最長30年を超えて、福島県沖への海洋放出が毎日続きます。このほか、東京電力は、1,209兆ベクレルの原子炉建屋内のトリチウムの放出可能性についても示唆しています。
 これまで、タンク貯蔵汚染水の海洋放出案については、「海洋放出されれば、福島県漁業が壊滅的打撃を受ける」という漁業者をはじめ、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会など福島県内農林水産業団体が一致して反対しており、県内59自治体議会の約7割が反対または慎重な対応を求める意見書を政府に提出しています。
政府の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」でも「地元の生活を犠牲にして廃炉を進めるのは論理が破綻している」「風評に大きな影響を与えないと判断される時期までの貯蔵が必要ではないか」と議論された経緯があります。
このような中で、国は10月27日の廃炉・汚染水関係閣僚会議において、海洋放出処分の方針を決定すると報道されております。
 福島県民の反対または慎重対応を求める世論とは乖離した、拙速な海洋放出処分方針の決定は、原発事故の被害者を顧みない、原子力災害の被災県や被災者を無視した態度であり、到底許されるものではありません。原発の安全神話のもと、国策により原子力政策を推進し、原子力災害を招来して、多大な犠牲を福島県民に強いてきた国の責任を一顧だにしない、「はじめに結論ありき」のタンク貯蔵汚染水の海洋放出の決定強行の動きに強い憤りを感じます。このまま海洋放出されれば、本格操業を目前にした漁業はじめ一次産業ばかりでなく、県内の各産業にも実害、風評被害合わせ、2011年3月の爆発事故による被害に続き、二次被害が出る可能性が大きく、到底認められるものではありません。

 翻って、タンク貯蔵汚染水は、液体放射性廃棄物です。トリチウムだけでなくストロンチウム90など9核種の放射性物質が、タンク群の71%に放出時の限度基準値を超えて含まれています。東京電力は放出前に二次処理するというものの、海洋放出されれば、生物濃縮や健康影響の懸念が完全に払拭されているわけではありません。
そもそも、タンク貯蔵汚染水は、東京電力福島第一原発事故に発生原因があり、東京電力が発生者責任の原則のもと、厳重に管理し処分しなければなりません。国・原子力規制委員会も、原子炉等規制法により、東京電力福島第一原発を特定原子力施設に指定している以上、関係諸法令に基づき、液体放射性廃棄物を適切な方法により安全管理を講じさせなければならない義務があります。国・原子力規制委員会には、国民の生命・財産を守るため、高度な注意義務を果たすことが求められていることから、タンク貯蔵汚染水=液体放射性廃棄物の放出に関する環境アセスと総量規制の実施も必要不可欠です。また、予防原則に立って、大型タンクでの長期保管案や半地下でのモルタル固化保管案等の安全な陸上保管の詳細な検討が必要です。
 さらに、被災者である福島県民はじめ国民の生命・財産を守るためには、国会はじめとする国民的議論や全国での漁業者をはじめ国民的な公聴会等のプロセスと国民的合意が必要です。「はじめに結論ありき」の拙速な決定の強行は慎まねばなりません。
 コストを優先してタンク貯蔵汚染水=液体放射性廃棄物を海洋放出することは、原発事故後の復興をめざす福島県民と県内の農林水産業=第一次産業はじめ地域の社会経済への影響は甚大です。東日本大震災と原発事故から10年にして、来年4月からの本格操業を決めた福島の漁業者には大きな打撃となり、漁業の復興の道を閉ざすものです。
この際、貴職におかれては、被災県民の代表として、福島県民と県内の農林水産業=第一次産業はじめ地域の社会経済を守るために、国に対しトリチウム等タンク貯蔵汚染水の海洋放出をやめ、陸上保管による恒久的対策をめざすこと等を求めるよう要請します。

以上

<要請団体>
      これ以上海を汚すな市民会議
                 共同代表  織田千代  佐藤和良
  
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by kazu1206k | 2020-10-22 22:24 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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