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いわき市、東電に汚染水対策など申し入れ

 11月25日、いわき市は、東京電力ホールディングス株式会社に対する申し入れを行いました。
 市役所本庁舎で、清水敏男いわき市長が大倉誠福島復興本社代表に対し、「福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策」「福島第一原子力発電所における確実な汚染水対策」「福島第一原子力発電所事故からの復興」「福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策」の4項目を申しれたものです。
 今回特に重点項目として、確実な汚染水対策をあげ「⑴汚染水対策の徹底 関係者及び国民の理解と合意を得る前にタンク保管が限界に達することが無いよう、新たな汚染水発生の抑制に全力を尽くすとともに、更なるタンク増設の余地について全力で検討すること」「⑵市民の目線に立った情報発信」「⑶市民への説明責任の遂行」を求めました。
 いわき市側からは市長、危機管理監、財政部長、産業振興部長が出席しました。
 申入書は、以下のとおりです。


東京電力ホールディングス株式会社
代表執行役社長  小早川智明様

申入書

1福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について

2福島第一原子力発電所における確実な汚染水対策について

3福島第一原子力発電所事故からの復興について

4福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について

令和2年 11月 25日
福島県いわき市長 清水敏男

【重点申入項目】

1福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について

 東京電力ホールディングス㈱(以下「東京電力」という。)に対しては、これまでも再三にわたり、福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)事故の一刻も早い収束を強く求めてきたところであり、数十年に及ぶ廃炉作業においては、市民生活への影響が無いよう廃炉作業を安全かつ確実に進めることが大前提であることから、併せて「確実な安全対策の実施」についても申し入れを行ってきたところであります。

 このような中、福島第一原発の廃炉作業では、事故から9年8ヵ月が経過したにもかかわらず、最近においても確認不足や初歩的なミス、あるいは品質管理を起因としたトラブルが増加していることから、廃炉作業の安全対策に対する市民の不安感や不信感は消えるどころか徐々に高まってきている状況にあります。

 東京電力においては、改めて事故に対する責任を全うすることを最大最優先とし、全社をあげて人的資源を含めた全ての経営資源を福島に投入して廃炉や賠償に取り組むなど、東京電力に対する不安感や不信感を解消するための取り組みが、今強く求められているものと考えております。

 廃炉作業における1つのミスが福島第一原発事故からの復興の妨げになるとともに、風評被害の長期化や市外で生活されている方々の帰還に大きな影響を及ぼすことを改めて認識し、今一度、安全管理体制を徹底して見直すなど十分な安全確保を図ること、また、市民への丁寧な情報提供の在り方について真摯に検討する等、特に次の5項目について強く申し入れます。

⑴福島第一原発の確実な安全対策の実施
 福島第一原発においては数十年に及ぶ廃炉作業期間中、多くの市民が不安を抱えた生活を強いられることから、東京電力及び国の責任において、確実な安全対策を講じるとともに、一日も早い廃炉完了に向けて全力で取り組むこと。
 特に、今後予定されている1、2号機使用済燃料プールからの燃料の取り出し、及び1.3号機からの燃料デブリの取り出しについては、30年から 40年後といわれている廃炉完了時期に影響を与えないよう、かつ安全第一に意を用いて万全の体制で取り組むこと。

⑵作業員の安全管理の徹底作業員の安全管理の徹底
 作業員が被ばく線量を測定する電子式個人線量計を置き忘れて作業に従事する事象や防護装備の不適切な着用に伴い内部被ばくが発生するなど、作業員における初歩的なミスが散見され、安全管理意識の希薄化もみられることから、労災事故の防止に努めるほか、作業員の安全意識の醸成に努めるなど、何よりも現場で働く作業員の安全管理に万全を期すこと。
 また、今後は使用済燃料や燃料デブリの取り出し作業など、高線量下での作業が増えることが予想されることから、作業場の放射線量を低減するなどの被ばく低減対策に取り組むとともに、作業員の人的な確保や健康管理などを含め、適正な作業管理をさらに徹底すること。

⑶環境モニタリングの徹底
 廃炉作業が安全に進められていることを確認するためには、福島第一原発周辺の環境モニタリングが徹底されていることが大前提であることから、国、県及び第三者機関と連携し、透明性を確保した上で環境モニタリングを実施し、その結果を全国、全世界へ分かりやすく発信すること。

⑷市民への丁寧な説明責任の遂行
 市民が安心して日常生活を送るためには、福島第一原発の状況を正しく把握することが必要であることから、廃炉の状況等について市民の目線に立った分かりやすく丁寧な情報提供を常に心がけ、事故を発生させた当事者として市民への説明責任を果たすこと。

⑸新型コロナウイルス等感染症対策の徹底
 現在流行している新型コロナウイルスや今後流行するおそれのあるインフルエンザなどの感染症が流行し、廃炉作業に影響を与えることが無いよう、福島第一原子力発電所内はもとよりその他の事業所等においても感染拡大防止対策を講じること。

2福島第一原子力発電所における汚染水対策について

 福島第一原発の廃炉作業を進めるにあたっては、汚染水対策も同時に推進していく必要があり、現在、多核種除去設備(ALPS)において大部分の放射性物質を除去した水、いわゆるALPS処理水の取り扱いについて、国が幅広い関係者や国民等からの意見を踏まえ検討しております。
 本市としても、いわき市議会6月定例会において「広く国民に向け情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国民の理解と合意を広げること。さらに、それまでは陸上保管を継続すること。」等を国に対して求める意見書が可決されたことや、同様の対応を本市に対して求める請願が採択されたことを受け、本年7月には上記の旨について国に対して求めたところでありますが、国がどのような方針を決定したとしても、それは将来に禍根を遺さないよう様々な議論を尽くし、幅広い関係者や国民の理解と合意を得たものでなければなりません。
 また、貯蔵しているALPS処理水にトリチウム以外の放射性物質が残っていたことなど、検討の前提を崩しかねないような問題が後々になって大きく報道されました。方針を決定するために幅広い関係者等から理解と合意を得るためには、正しい情報、分かりやすい情報が何より重要であることから、特に次の3項目について強く申し入れます。

⑴汚染水対策の徹底
 関係者及び国民の理解と合意を得る前にタンク保管が限界に達することが無いよう、新たな汚染水発生の抑制に全力を尽くすとともに、更なるタンク増設の余地について全力で検討すること。

⑵市民の目線に立った情報発信
 重要であるはずの情報が後々になって大きく報道されることは、東京電力と市民における目線の違いが大きな原因であると思われることから、しっかりと市民の目線に立って、正しい情報を分かりやすく発信すること。

⑶市民への説明責任の遂行
 国がどのような取り扱い方針を決定したとしても、実施者として幅広い関係者や市民に対して説明責任を果たすこと。

3福島第一原子力発電所事故からの復興について

 本市の市民や事業者は、事故から9年8ヵ月が経過するも未だ収束していない状況の中、不安を抱えながら生活や事業活動を行っており、その精神的な苦痛や未だ根強く残っている風評被害に伴う営業損害は計り知れないものがあります。
 一方で、放射線への不安などから、自主的に市外へ避難し、心ならずも家族が離れ離れに生活せざるを得ない家庭が少なくありません。
 このような、被害者である全ての市民や事業者のために、復興に向けた風評払拭に全力を尽くし、それでも発生する損害に対して迅速かつ適正な賠償を実施するとともに、地方公共団体への賠償に対しても責任をもって対応するほか、新たな産業の創出などに対しても責任をもって対応されますよう、次の4項目について強く申し入れます。

⑴風評被害払拭への取組み
 福島に対する風評を払拭するため、本市においては、生産者をはじめ、関係団体等と連携し、市内量販店に協力いただきながら、本市産農産物の常設棚を設置し、消費者へ PRを実施するなど、県や被災自治体は懸命な努力を積み重ねているところであるが、 10年が経過しようとしている
 今も風評被害が継続していることから、事故の責任者である東京電力においても風評を払拭するための努力を継続するとともに、これまでの実施してきた対策の効果を検証し、全国全世界に対して福島の現状を正しく理解していただくような抜本的な風評対策を講じること。

⑵原子力損害賠償に係る「3つの誓い」の遵守
 市内おける農林水産業及び加工業、観光業等の幅広い業種において未だ風評被害が継続しており、個別具体的な事情による損害についての意見や要望も真摯に汲み取り、市民や事業者の再建に結び付くよう、適正な賠償がなされなければならないが、これまでの東京電力の賠償実績をみると、本市としての損害賠償に対しても未だ約4割ほどしか支払われていないことや、事業者や市民の方に対する損害賠償に対しても、ADRによる和解案が拒否される事例が発生していることを踏まえれば、東京電力における賠償に対する取組みは十分とは言い難い状況であると言わざるを得ません。
 また、令和3年3月には事故から 10年が経過し、いわゆる原賠時効特例法で定める時効期間を迎えようとしており、不安を抱える事業者も多いことから、東京電力においてはこうした状況を踏まえて、新々・総合特別事業計画において自らが掲げている3つの誓い「最後の1人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」を遵守するとともに、原子力損害に係る賠償請求の実態を踏まえた上で、適切な賠償を実施するよう強く申し入れます。

⑶廃炉に関わる地元企業の活性化
 東京電力独自の相談窓口を設置するなど、廃炉作業に対して地元企業が参入しやすいよう取り組んでいるところであるが、更に、地元企業が廃炉関連事業で活性化し、新たな雇用や技術が生まれるよう、状況を正確に把握しながら随時取り組みを改善すること。

⑷浜通りの産業復興を支える風力産業の創出・育成について
 本市においては、福島イノベーション・コースト構想等に基づく風力発電事業の導入拡大によって生み出される幅広い産業効果と多様な雇用効果を浜通り地域に適切に根付かせ、風力発電関連産業を新たな基幹産業として創出し、浜通り地域の再生と真の復興につなげていくための取組みを積極的に進めております。
 また、本年7月には経済産業省及び国土交通省が「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」を設立し、洋上風力発電の導入拡大と、これに必要な関連産業の競争力強化や国内産業の集積などを官民一体で進めるための取組みが開始されたところです。
 浜通り地域にて創出される風力発電関連産業が、我が国における産業政策とエネルギー政策の両立を大きく牽引し、地域全体における誇りの回復及び持続可能な産業発展に結び付くよう、東京電力リニューアブルパワー株式会社が実施する洋上風力発電事業について、次の事項を強く申し入れます。

ア地元企業の積極的な活用
 浜通り地域における風力発電関連産業の創出・育成に向けた取組みと東京電力リニューアブルパワー株式会社が進める風力発電事業が協調し合い、相乗効果を最大限に発揮し、相互にとって好循環となる未来づくりが進むよう、これまで以上に協議を重ね、浜通り地域の技術と人財を活かした地元企業の積極的な活用につながる事業構築を図ること。

4福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について

 福島第二原子力発電所(以下「福島第二原発」という。)については、本年5月に廃止措置計画認可申請書を原子力規制委員会に提出し現在審査中であるが、その廃炉作業には 44年という期間を要するとされており、福島第一原発の廃炉と同時並行となることから、東京電力としては過去に例が無い、計 10基の廃炉を同時に着手することになります。
 また、使用済燃料や放射性廃棄物の具体的な搬出先が決まっていないことから、このまま福島が放射性廃棄物の処分場にされてしまうことを懸念する声もあります。
 福島第二原発の廃炉作業を安全かつ計画的に進めるためには、今から 40年先を見据えた取り組みが必要であることから、次の3項目について強く申し入れます。


⑴福島第二原発の廃炉作業における確実な安全対策の実施
 廃炉完了までに 44年を要すると見込まれているが、その間は市民が不安を抱きながら生活することになるため、福島第一、第二原発の廃炉作業が同時進行となることを踏まえ十分な人材を確保しながら、可能な限り工程の短縮に努めるとともに、安全・安心を第一に廃炉作業を進めること。

⑵使用済み燃料等の県外搬出
 特に大きなリスク源となりうる使用済み燃料等については、早期に具体的な搬出先を提示するとともに、可能な限り早期に県外へ搬出すること。併せて放射性廃棄物についても具体的な搬出先を早期に提示するとともに、その処分業者が未だ決定していない場合には、現時点から処分方針に係る検討を進めること。

⑶市民への丁寧な説明責任の遂行
 市民が安心して日常生活を送るためには、福島第一原発と同様に福島第二原発の状況も正しく把握することが必要であることから、上記のような懸念事項も含めて、市民の目線に立った分かりやすく丁寧な情報提供を常に心がけ、市民への説明責任を果たすこと。

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by kazu1206k | 2020-11-25 22:48 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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