3月16日午後、いわき市議会は、いわき市議会2月定例会の本会議で「福島第一原子力発電所における十分な安全対策と情報公開を求める決議」(末尾に掲載)が可決されたことから、東京電力ホールディングス株式会社に対し、これを決議文として提出しました。
これは、これまでのいわき市議会の度重なる改善申し入れにもかかわらず、2月13日の福島県沖地震による福島第一原発の原子炉格納容器の破損拡大による水位・圧力の低下や故障した地震計の放置など、東京電力の危機管理や通報連絡、情報公開に重大な問題があることから、いわき市議会として、2月13日による損傷の検証と施設の安全対策の見直し、廃炉完了までの安全対策と不備の速やかな復旧、トラブル情報の可及的速やかな開示などを申し入れたものです。
申し入れは、いわき市役所議会棟でで行われ、市議会からは議長、副議長、各会派代表者が出席、東京電力ホールディングス株式会社執行役員の高原福島第一廃炉推進カンパニー・バイスプレジデントに手交しました。
手交後は、東京電力側の2月13日の福島県沖地震による福島第一原発の対応状況についての説明を受け、質疑応答を行い、各派代表からも厳しい指摘と要請が行われ、最後に議長が、「3項目に真摯に取り組むこと」「損傷の検証と施設の安全対策の見直しは、結果が分かり次第、報告を」と求めました。

福島第一原子力発電所における十分な安全対策と情報公開を求める決議
本年2月13日、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、2月22日に開催された原子力規制委員会の第88回特定原子力施設監視・評価検討会において、東京電力福島第一原子力発電所における被害状況が報告された。そこで、1号機及び3号機の原子炉格納容器における水位の低下、格納容器内の圧力低下、処理水を保管するタンクの滑動など施設への影響が明らかにされた。
この中で看過できないのは、3号機内の地震計が2機とも故障しており、東京電力はその事実を把握していながら、これまで再設置を行わず、公表もしていなかったことである。この地震計は、原子炉建屋の健全性を検証する必要性から、原子力規制委員会の求めにより設置されたものであった。今般の地震は、大規模な地震が原発内の施設にどのような影響を与えるかを検証するまたとない機会であったが、東京電力自身が「千載一遇のデータを逃してしまった」と述べたように、貴重な機会を失うものとなってしまった。
しかも検討会において、東京電力は当初、「地震計を置いたが、残念ながら故障しておりまして、13日の震度6弱はデータが取れておりません」と述べるに留まり、委員から「故障の事実に気がついていなかったのか」と詰問されて初めて、「気がついてはいたが、修復等の対応を取っていなかった」と事実を明らかにしたものである。
東京電力は福島県や本市を含む11市町村と「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等の実施に係る周辺市町村の安全確保に関する協定書」を締結し、「積極的に説明、情報公開を行い、透明性を確保する」ことが 規定されている。しかし、これまで東京電力においては、第一原発における危機管理及びトラブルに関する情報公開の不十分さにより、何度もいわき市民に不信 感を与えてきた。その都度いわき市及び本市議会が改善を申し入れてきたにもかかわらず、原発事故から丸10年を迎えたこのときに、同様の問題が生じたことは 極めて遺憾である。
よって本市議会は、東京電力に対し、次の事項を強く求める。
1 2月13日に発生した地震によって東京電力福島第一原子力発電所で生じた損傷を検証し、
従来取られてきた施設の安全対策が十分なものであったか見直し を行うこと。
2 廃炉が完了するまでの間、安全対策に関わる措置に不備が生じた場合、それを放置する
ことなく速やかな復旧を行うこと。
3 施設内におけるトラブルに関する情報は、第三者からの指摘によってではなく、東京電力
自らが可及的速やかに、かつ積極的に開示すること。 以上、決議する。
令和3年3月15日
いわき市議会