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福島県市議会議長会、汚染水タンク増設の要望決定

 4月8日、福島県内13市議会の正副議長が参加して、第178回福島県市議会議長会定期総会がいわき市役所で開かれました。
 会長市の会津若松市議会議長、開催市のいわき市議会議長、開催市のいわき市市長、来賓の福島県知事代理いわき振興局長などの挨拶に続き議事に入りました。
 ⑴会務報告に続き、⑵議案審議では、会長提出5議案の令和2年度歳入歳出決算・令和3年度事業計画・令和3年度歳入歳出予算、各市提出の国県等関係機関への要望事項16議案、会長提出の東北市議会議長会定期総会提出3議案をそれぞれ審議し満場一致で全て議決しました。
 このうち「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故災害からの復旧・復興加速化のための支援について」では、汚染水対策で、あらためて「多核種除去設備等による処理水を保管するタンクの更なる増設について検討するよう東京電力ホールディングス株式会社に求めること」も議決されました。 
 議決された国県等関係機関への要望事項は、今後、正副会長によって、福島県知事、福島県議会議長など関係機関に要望活動が行われる予定です。 
 総会は、新年度の役員を選任し、新旧会長の挨拶後、閉会しました。

 以下に、「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故災害からの復旧・復興加速化のための支援について」を掲載します。

東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故災害からの復旧・復興加速化のための支援について

地震、津波、原発事故、風評というかつて経験したことのない厳しい状況をもたらした東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から10年余が経過し、原発事故による避難指示区域では帰還困難区域を除き避難指示が解除され、また、JR常磐線の全線再開や福島ロボットテストフィールドの開所など、復興への進展が見られています。
しかしながら、今なお、多くの住民が避難生活や放射能に不安を感じる生活を余儀なくされています。被災自治体においては、一日も早い安全・安心の回復と住民生活の安定を図るために復旧・復興の取組を鋭意進めてきていますが、除染による除去土壌等の中間貯蔵施設への搬出、被災者の生活再建、住民の健康管理、風評対策に加え、放射性物質トリチウムを含む多核種除去設備等処理水の処分など、依然として乗り越えなければならない課題は山積しています。
 県においては、被災地の復旧・復興に尽力されているところですが、東日本大震災及び原子力災害は、世界で初めての事例となる災害であるという考えに立ち、被災地の要望により耳を傾け、迅速かつ柔軟な対策を講じることが必要です。
 特に、原子力災害に係る被災者にとっては、直接的な損失のみならず、風評や日常生活上の精神的苦痛などの間接的被害は計り知れないものがあり、被災者の立場と視点に立ち、きめ細かな対応が求められ、あらゆる対策を継続的に講じていく必要があります。
 つきましては、被災地が真の復興を成し遂げられるよう、また、地方の創意工夫が反映された地方創生が可能となるよう、下記の事項について、国に対して働きかけるとともに、県においても特段の措置を講じるよう要望します。
1 放射性物質対策事業の推進について
⑴ 除染による除却土壌等の中間貯蔵施設への搬出については、安全かつ迅速に行うため十分な調整を図るよう国に働きかけること。また、除去土壌等の適正管理・搬出や仮置場の原状回復などに必要な予算の確保に万全を期すとともに、現場保管に係る搬出困難案件の解消について制度設計を行うよう国に働きかけること。

⑵ 放放射能汚染濃度8,000Bq/kg超の指定廃棄物(焼却灰等)については、国が確保する最終処分場へ早期に搬出すること。

⑶ 中間貯蔵施設への輸送量増加に伴う市道等の舗装の破損は、地域住民の通行等への支障となり、事故の原因となる恐れがあることから、緊急的な維持補修を行うこと。また、輸送等完了後の原状回復についても、その仕組み及び財源の確保を早期かつ明確に示すこと。

⑷ 放射性廃棄物に関する最終処分までの計画を提示するよう国に働きかけること。

⑸ リアルタイム線量測定システムについては、除去土壌の仮置場から中間貯蔵施設への輸送が本格化する状況においても、市民が放射線量を自分の目で確認するとともに、放射線に関する情報を国、東京電力ホールディングス株式会社と共有し、対策を進めるためのリスクコミュニケーションへ取り組んでいく観点からも必要であり、各自治体や地域住民の意向を十分に踏まえ、一方的な撤去を行わないよう国に働きかけること。

⑹ 福島県県民健康調査における甲状腺検査では、甲状腺がん発症率に県内における地域差が認められない状況にあり、県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会の甲状腺に関する中間とりまとめ及び検査2回目を評価した第13回部会においては、東京電力福島第一原子力発電所事故による影響は考えにくいとされていることから、この評価の確証を得るため、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。

⑺ 水道が未普及のため井戸水を飲料水として使用している地域について、放射性物質による水質の不安を解消するために水道施設整備を実施する場合や、他に同様な事業が発生した場合には、その事業に要する費用はすべて負担するよう国に働きかけること。

⑻ 山林の除染手法に関する調査研究を強化し、除染により発生する廃棄物の減容化技術も含め効率的で効果的な除染手法を早期に確立するよう国に働きかけること。

⑼ 安全な農産物を提供するため、効果的な放射性物質吸収抑制技術を確立するとともに、吸収抑制対策に係る支援の継続と補助対象資材の拡充を図ること。

⑽ 風評被害の防止・解消に向けた対策を強化し、被害の早期払拭を図ること。

2 東京電力福島第一原子力発電所における汚染水及び処理水の対策について
⑴ 高濃度放射性物質を含む汚染水の新たな発生の抑制に全力を尽くすとともに、多核種除去設備等による処理水を保管するタンクの更なる増設について検討するよう東京電力ホールディングス株式会社に求めること。

⑵ 汚染水及び処理水の対策については、しっかりと県民の目線に立って、正しい情報を分かりやすく発信するよう東京電力ホールディングス株式会社に求めること。

⑶ 国が処理水の処分についてどのような方針を決定しても、処分の実施者として幅広い関係者や県民に対して説明責任を果たすよう東京電力ホールディングス株式会社に求めること。

3 原子力損害賠償の適正な実施及び迅速化について
 被災者が独自に行った除染費用を全額賠償するよう、東京電力ホールディングス株式会社に指導するよう国に働きかけること。

 原子力災害に伴う固定資産税を含む市税等の減収及び住民の安全・安心を確保するための各種検査や風評被害対策など東京電力福島第一原子力発電所事故との因果関係が明らかな業務に要する費用について全額賠償するよう、東京電力ホールディングス株式会社に対し指導するよう国に働きかけること。
また、賠償請求手続の簡素化を図るとともに、迅速かつ確実に賠償を行うよう国及び東京電力ホールディングス株式会社に求めること。

 原子力災害に伴う風評は、福島県内の観光業、商工業、サービス業や中小企業、商店街、さらには農林畜産物等の生産者や加工業者に深刻な損害を及ぼしていることから、国内外への正確な情報提供や販路拡大など、風評を早期に払拭するための取組を強化するとともに、風評による損害に対する完全な賠償を早急に行うよう、東京電力ホールディングス株式会社に対し指導するよう国に働きかけること。
また、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、個別具体的な事情をしっかりと聴取しながら、被害の実態に見合った賠償を的確かつ迅速に行うよう、併せて指導するよう国に働きかけること。

 賠償範囲の最小限の基準である原子力損害賠償紛争審査会の「中間指針」について、紛争解決の制度として十分に機能が果たせるよう適切に見直すことを国に働きかけること。
 被災者が公平に賠償を受けられるよう、原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介事例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者へ公平な賠償を確実かつ迅速に行うよう国及び東京電力ホールディングス株式会社に求めること。

4 原子力災害に係る各種施策の推進及び支援について
⑴ 原子力災害に伴う風評は入込客数の落ち込みなど観光産業に深刻な影響を及ぼしており、誘客に係る各種施策の推進が重要となっている。ついては、観光地のハード整備経費及び各種観光施策等に要する費用について財政措置を講じること。

⑵ 原子力災害からの復興へ向けては、安定した雇用の確保や企業の受け皿としての工業団地の整備など、将来を見据えた対応が急務であることから、地域経済の活性化を図り、原子力災害からの復興を強力に推進するため、企業誘致に係る助成制度及び工業団地の整備に係る財政措置の充実を図ること。

⑶ 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、捕獲圧が低下したイノシシ等の有害鳥獣が増加する中、狩猟者及び狩猟者団体の協力により捕獲事業を実施し、埋め立てにより死骸を処理しているが、捕獲数の増加に伴い、埋め立て処分を行う場所が不足している。ついては、今後更に捕獲数が増加する有害鳥獣の処理が適切に実施できるよう、広域的な規模での処理体制に係る財政措置を講じること。

⑷ ホールボディカウンタによる内部被ばく検査、ガラスバッジ、甲状腺のエコー検査、血液検査等、健康異常が早期発見できる徹底した健康管理体制を堅持するとともに、その費用の全額国庫負担の継続を国に働きかけること。

⑸ 福島県が実施している18歳以下の県民に対する医療費無料化については、長期継続が必要であり、その財源が枯渇することのないよう財政措置を図ること。

⑹ 除染を必要とする全ての地域について、原発事故以前の健全な状態へ回復するまでの間、固定資産税を免除するとともに、原発事故に伴う市税等の減収分については、その補てん財源である震災復興特別交付税の財源措置を継続するよう国に働きかけること。

⑺ 避難者の帰還と地域の復興・再生に向け、地域の安全・安心を確保するため、放射能対策や生活環境の改善、産業の振興、雇用の創出などの取組に対し十分な支援を行うこと。

⑻ 国民健康保険税、介護保険料の減免及び一部負担金等の免除の継続と避難指示等の対象区分けによらない同一市域内全域の減免に向けたさらなる拡充を行うこと。

⑼ 市民が安心して生活できる環境が整備されるまでの間、高速道路無料措置の延長を行うこと。また、同一市内における30㎞圏外地域においても、他の地域と同様の無料化措置が受けられるよう対象範囲を拡大すること。

⑽ 常磐自動車道について、復旧・復興事業の伸展、中間貯蔵施設への除去土壌等の搬出及び東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の進捗等に伴い、今後さらに、工事車両等の交通量の増加が懸念されることから、早期に全線4車線化を図ること。併せて、常磐自動車道へのアクセス性を向上させ、避難住民の帰還促進や企業誘致といった沿線自治体の復旧・復興の加速化に資するため、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備のための支援を行うこと。

5 原子力災害にかかわる中長期的な対応について
 原子力災害からの創造的復興を成し遂げるため、今後も国が前面に立って風評払拭や健康管理、心のケアなどに取り組むとともに、福島復興のために地域の実情や特殊性、創意工夫を十分汲んだうえで中・長期的な視点での対策と必要となる財源を確保すること。

 原子力災害からの希望ある復興を推し進めていく観点から、住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組みから外れた箇所等で、人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が新たに判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について、永続的な支援策を講じること。

 自主避難者の帰還に伴う生活の再建及び心のケアに必要な支援を行うこと。

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by kazu1206k | 2021-04-08 22:00 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


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