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海洋放出方針、政府に質問書提出、自治体議員のセンター

 6月11日、全国29都道府県の自治体議員でつくる福島原発震災情報連絡センターは、政府に対し、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(以下、「基本方針」)に対する質問書を提出し、7月15日に政府交渉を行うことを公表しました。
 福島原発震災情報連絡センターは、2011年結成以来、原発震災で放射能汚染と被曝を強制される人々の生存権を守るため、いのちと健康を守るための諸活動を続けてきました。
 政府は、東京電力福島第一原発事故によるトリチウム等タンク貯蔵汚染水の処分方法について、4月13日、廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議において海洋放出の「基本方針」を決定しました。
 しかし、この決定は、福島県漁連や全漁連など全国漁民の声、福島県内の第一次産業はもとより観光産業ほかの関連産業、福島県内自治体議会の7割の反対及び慎重という政府への意見書など福島県民の声、パブコメに寄せられた全国の反対の声を蔑ろにしたもので、ようやく本格操業への移行に入った福島県漁業者の操業再開への努力を水泡に帰し、政府が原発事故の二次被害を生み出すと関係者から怨嗟の声が上がっております。
 4月30日には、地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会の農林水産業と消費者の協同組合4組織が「ALPS処理水海洋放出決定に関する共同声明」を発表し、「『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という約束を反故にする極めて不誠実な決定であり極めて遺憾である」「漁業者はもとより国際社会や国民の理解醸成や世論形成が真摯になされることを通じて、『不安』や『風評被害』が発生せず本県漁業・水産業をはじめすべての産業において復興が阻害されず着実に進展していけるということに確信が持てるまでは、海洋放出には反対する」と訴えました。
 こうした状況から、政府に対し「基本方針」に対する質問を提出し、政府交渉を行うこととしたものです。「基本方針」に対する質問と趣旨を下記に掲載いたします。

●「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」に対する質問の趣旨

 この質問は、4月13日、政府の廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議が決定した「基本方針」の各章毎に対応しております。下記から「基本方針」もあわせてご参照ください。
                      2021.6.7 福島原発震災情報連絡センター

[1、復興と廃炉の両立に向けて]

○基本的な考え方について、福島第一原発は、事故から10年が過ぎたが、事故収束作業が続いており、政府が発出した原子力緊急事態宣言も解除されていない。「基本方針」のベースとなったALPS小委員会の報告書は、トリチウム等タンク貯蔵汚染水の処分を廃止措置終了までに終えるとし、「廃炉を進めるためにALPS処理水の処分を急ぐことによって、風評被害を拡大し、復興を停滞させることがあってはならない。したがって、必要な保管は行いながら、風評への影響に配慮し、廃止措置終了までの間に廃炉作業の一環としてALPS処理水の処分を行なっていくことが重要である」としている。しかし、汚染水処分の前提としての福島第一原発の原子炉廃止措置計画(以下、廃止措置計画)は存在していない。
○廃止措置計画なしの海洋放出について、廃止措置計画には燃料デブリなど核物質の処分場所を明記する必要があり、廃止措置計画が策定できるのか、定かではない。タンク貯蔵汚染水の処分だけを先に進め、政府自体が一方的に二次被害を発生させるのは、廃炉を優先して復興を犠牲にし、漁業者はじめ原発事故被災者にさらなる負担と苦悩を強いることになる。
○海洋放出期間が約40年間にも及ぶことから、タンクの存在が短期間で解消しないことは明白で、そのことを地元に説明しないのは不誠実であり、東京電力が海洋放出用タンクの30基増設(3万m3分)を公表したことからも、タンク増設の敷地がなく2022年夏までにタンクは満杯との理由による海洋放出の根拠は失われている。敷地利用については、廃棄物貯蔵施設・減容施設・デブリ保管庫の予定地、新旧土捨場やフランジタンク解体跡地など、当面活用可能な敷地を含めた敷地利用計画の抜本的見直しも必要である。
○理解と合意が政策決定の前提であり、福島県漁連や全漁連など漁業者の声、福島県内の第一次産業はもとより関連産業、県内自治体議会の7割の反対及び慎重の政府への意見書提出など、福島県民、国民的な反対・慎重の声や、政府に寄せられた意見等に対する具体的な回答、理解と同意を得ることを蔑ろにした「スケジュールありき」の方針強行は厳に慎むべきである。全国での説明公聴会や関係者から幅広く意見を伺う公聴会を全国で実施することも必要である。

[2、ALPS処理水の処分について]

○海洋放出処分は、「風評被害を最大限抑制する対応を徹底することを前提」に選択したというが、「風評被害を最大限抑制する対応」施策が具体的に示されておらず、「国・東京電力が県民・国民と十分に対話せず、問題への理解が深まらない中で一方的に決定したのが根本にあり、信頼関係は喪失している」(5月31日、政府ワーキンググループでJA福島中央会会長)と指摘されている。
○規制基準は、「原子炉等規制法に基づく規制基準を厳格に厳守」「これにより、周辺地域の公衆や環境、農林水産品等について、安全が確保される」というが、この規制基準はICRP1990年勧告に基づいており、同勧告には環境防護は含まれていないことから、自動的に安全が確保というものではない。
○国際社会との関係について、海洋放出容認の韓国原子力学会が日本政府に対して「福島汚染処理水の放出により周辺国の国民が受けることになる心理的な苦痛と物理的な被害に対し深く謝罪し、周辺国を気配りする姿勢を持たなければならない」と声明するほど、近隣諸国との関係悪化が生じている。

[3、ALPS処理水の海洋放出の具体的な方法]

○海洋放出に当たって、国際放射線防護委員会が1977年勧告で示した放射線防護の基本的考え方を示す概念、ALARAの基本精神から極力放射線被ばくを受けない事を合理的に達成するには、トリチウム等放出する放射性物質の総量を規制すべきである。
○放出トリチウムの年間総量年間22兆ベクレルを下回る水準について、海洋放出するタンク貯蔵汚染水は二次処理でも残るトリチウムや炭素14等の放射性物質の総貯蔵量と濃度、また、今後放出が想定される原子炉建屋残留水のトリチウム等放射性物質の総貯蔵量と濃度を情報開示すべきである。
○関連する国際法や国際慣行について、陸側排出口及び沖合パイプラインからの放出という手段を変えた汚染水の海洋投棄をやめ、放射性廃棄物の海洋投棄を原則禁止するロンドン条約と国連海洋法条約を厳守することが必要である。

[4、風評影響への対応]

○政府の対応について、福島県内関係者からの意見聴取の際、座長の江島経済産業副大臣が「風評払拭にどのような対策が効果あるか教えて欲しい」(5月31日、政府ワーキンググループで)と繰り返し発言、農林水産団体などからは、この姿勢に疑問の声が上がり、風評被害は確実との声が大勢を占めた。意見聴取は一方的な聞き取りに終わってはならない。福島県漁連・福島県水産加工工業連合会は海洋放出反対であり、梶山経産大臣は「説明し説得してまいりたい」と繰り返しているが、政府は県漁連との約束違反を認め、海洋放出について再検討することから信頼関係の再構築を図るべきである。
○「賠償により機動的に対応する」について、事業責任者の東京電力は、これまでADR和解案を拒否するなど、被害者に立証を求め、加害者責任を全うせず被災県民の不信をかってきた事実からも、原子力事業者としての資質に欠けており、東京電力の能力には疑問が残る。政府は「原子力損害賠償紛争審査会の中間指針等の基本的考え方を踏まえ賠償を実施する」というが、この際、原子力損害賠償紛争解決センターが提示した和解案の内容が指針上の賠償水準の最低限となるよう早急に原子力損害賠償紛争審査会の中間指針等の見直しを図るべきである。
○国際社会の理解醸成について、福島第一原発事故を受けて現在もなお14の国・地域が輸入停止を含む規制をしており、海洋放出すれば、政府も認める通り輸入制限措置の拡大の懸念があることから、まずは14の国・地域が輸入停止を含む規制の撤廃に向けて尽力すべきである。

[5、将来に向けた検討課題]

○トリチウムの分離技術について、希釈海洋放出を前提に「実用化可能な技術があれば積極的に取り入れる」としているが、この際、政府として予算を確保して実用化への技術開発を進めるべきである。
○汚染水の発生量を減少させる取組について、燃料デブリの水冷から空冷への切り替えの見通しをつけるとともに、格納容器内へ流入する地下水の完全な止水を実施し汚染水の発生を停止させるべきである。


●「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」に対する質問

                     2021.6.7 福島原発震災情報連絡センター
[1、復興と廃炉の両立に向けて]

1、「⑴基本的な考え方」について、「着実な復興には廃炉を計画的進める必要。その一環としてALPS処理水の検討も必要」「デブリ取り出し等に大きなスペースが必要。地元からもタンクの存在が風評の一因」「早急に方針を決定する必要」としているが、汚染水処分の前提として、「東京電力ホールディングス(株) 福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」における使用済み核燃料の取り出しが終了せず、燃料デブリの取り出しも不透明な現状では、デブリ取り出しの現実的可能性、廃炉の定義、現実的な廃炉方法の検討など課題を検証し、廃止措置計画の策定に向けた、中長期ロードマップの根本的な見直しに取り組むべきではないのか。
2、「復興と廃炉の両立」を大前提に「早急に方針を決定する必要」について、ALPS小委員会の報告書では、トリチウム等タンク貯蔵汚染水の処分を廃止措置終了までに終えるとしているが、廃止措置計画は現在のところ存在しておらず、計画策定のためには燃料デブリなど核物質の処分場所を明記する必要があり、果たして廃止措置計画が策定できるのか、廃止措置計画も策定できず、廃止措置の終了形を描くことができない現状では、汚染水の処分を急いで決める必要はない。ALPS小委員会の報告書は「廃炉を進めるためにALPS処理水の処分を急ぐことによって、風評被害を拡大し、復興を停滞させることがあってはならない。したがって、必要な保管は行いながら、風評への影響に配慮し、廃止措置終了までの間に廃炉作業の一環としてALPS処理水の処分を行なっていくことが重要である」としているにもかかわらず、タンク貯蔵汚染水の処分だけを先に進め、政府自体が一方的に二次被害を発生させるのは、廃炉を優先して復興を犠牲にし、漁業者はじめ原発事故被災者にさらなる負担と苦悩を強いるものではないか。
3、「ALPS処理水の検討」は、中長期ロードマップの検証と根本的見直しに基づいて、トリチウム等タンク貯蔵汚染水内の各放射性核種の減衰見通し、トリチウム分離技術の実用段階、陸上保管の諸方法の検討、敷地利用計画の抜本的見直しなどを実施した上で、改めて検討すべきではないか。
4、「地元のタンクの存在が風評の一因等の指摘」について、海洋放出期間が約40年間にも及ぶことから、タンクの存在が短期間で解消しないことは明白で、そのことを地元に説明しないのは不誠実であり、東京電力が海洋放出用タンクの30基増設(3万m3分)を公表したことからも、タンク増設の敷地がなく2022年夏までにタンクは満杯との理由による海洋放出の根拠は失われているのではないか。
5、「⑵決定に至る経緯」について、経産省トリチウム水タスクフォースの結論をベースにしたALPS小委員会の報告書は、陸上保管の諸方法については、「敷地内外のタンク増設は限定的」として、廃棄物貯蔵施設・減容施設・デブリ保管庫の予定地、新旧土捨場やフランジタンク解体跡地など、当面活用可能な敷地を含めた敷地利用計画の抜本的見直しをしないまま「現実的選択肢ではない」と切り捨て、コンクリートやモルタル固化の技術的検討と評価など、必要十分な検討のないまま、ALPS小委員会の報告書に一方的に依拠した決定の経緯には問題があるのではないか。
6、「700回に及ぶ意見聴取・4000件を超えるパブコメ」について、「幅広い方々の意見を踏まえ基本方針を決定」というが、福島県漁連や全漁連など全国漁民の反対の声を切り捨て、福島県内の第一次産業はもとより関連産業、県内自治体議会の7割の反対及び慎重の政府への意見書提出など、福島県民をはじめとする国民的な反対・慎重の声を無視した暴挙であり、政府に寄せられた意見等に対する具体的な回答を行い理解と同意を得ることを蔑ろにした「スケジュールありき」の決定強行ではないのか。
7、現在までの意見聴取は、依然として一部関係者のみにとどまっており、「ご意見を伺う場」でも自治体関係や漁業関係者から、全国での説明公聴会や全漁業者から意見を聞いて欲しいとの声が上がっていた通り、全国の関係者から幅広く意見を伺う公聴会を全国で実施すべきではないか。

[2、ALPS処理水の処分について]

8、「⑴処分方法」について、「風評被害を最大限抑制する対応を徹底することを前提」に「海洋放出を選択する」とするが、前提の「風評被害を最大限抑制する対応」施策が具体的に示されておらず、前提自体が成立していないのではないか。
9、IAEAによるALPS小委員会の報告書にかかるレビュー報告書が、「科学的根拠に基づく」「国際慣行に添う」評価の根拠としているが、IAEAレビュー報告書自体の信頼性は何によって担保されているのか。第三者委員会等による検証が必要ではないか。
10、「⑵海洋放出にあたっての対応の方向性について」で、「原子炉等規制法に基づく規制基準を厳格に厳守」とし「これにより、周辺地域の公衆や環境、農林水産品等について、安全が確保される」とするが、この規制基準はICRP1990年勧告に基づいており、同勧告には環境防護は含まれていないことから、自動的に安全が確保されないのではないか。
11、「国民・国際社会の理解醸成に向けた取り組みに万全を期す必要」とするが、国民の理解醸成について、5月31日、政府のワーキンググループでJA福島中央会会長は「国・東京電力が県民・国民と十分に対話せず、問題への理解が深まらない中で一方的に決定したのが根本にあり、信頼関係は喪失している」と指摘したが、理解醸成にあたりこの指摘を認めた上で、どう信頼関係を回復するか。
12、「⑶国際社会との関係について」で、「情報提供を積極的に実施してきており」とするが、韓国原子力学会が日本政府に対して「福島汚染処理水の放出により周辺国の国民が受けることになる心理的な苦痛と物理的な被害に対し深く謝罪し、周辺国を気配りする姿勢を持たなければならない」と声明を公表したとの報道からは、近隣諸国との関係悪化が生じているのではないか。

[3、ALPS処理水の海洋放出の具体的な方法]

13、「⑴基本的な方針」について、海洋放出に当たって、国際放射線防護委員会が1977年勧告で示した放射線防護の基本的考え方を示す概念、ALARAの原則に基づき、浄化処理や希釈によりリスク低減するというが、「すべての被ばくは社会的、経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能な限り低く抑えるべきである」というALARAの基本精神から極力放射線被ばくを受けない事を合理的に達成するには、トリチウム等放出する放射性物質の総量を規制すべきではないか。
14、「⑵風評被害を最大限抑制するための放出方法」について、「放出トリチウムの年間総量は事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆ベクレル)を下回る水準」とされるが、海洋放出するタンク貯蔵汚染水は二次処理でもトリチウム以外の炭素14などの放射性核種も残るのではないか。
15、トリチウムや炭素14等放出する放射性物質の総貯蔵量と濃度は現時点でいくらか。また、原子炉建屋残留水のトリチウム等放射性物質の総貯蔵量と濃度はいくらか。
16、「関連する国際法や国際慣行を踏まえ、環境に及ぼす潜在的な影響についても評価するための措置を」とるとされるが、まずは陸側排出口及び沖合パイプラインからの放出という手段を変えた汚染水の海洋投棄をやめ、放射性廃棄物の海洋投棄を原則禁止するロンドン条約と国連海洋法条約を厳守することが必要ではないか。また、環境影響評価の措置とは何か。

[4、風評影響への対応]

17、「⑴基本的な方針」について、「実施者である東京電力には、風評影響の発生を最大限回避する責任が生じる」「賠償により機動的に対応する」とされるが、これまで原子力損害賠償のADR和解案を拒否するなど、被害者に立証を求め、加害者責任を全うせず被災県民の不信をかってきた事実からも、原子力事業者としての資質に欠けており、東京電力にその能力はあるのか。
18、政府は「必要な対応に、前面に立って取り組む」とされるが、5月31日、政府のワーキンググループが風評対策の行動計画策定に向けた福島県内関係者からの意見聴取の際、座長の江島経済産業副大臣が「風評払拭にどのような対策が効果あるか教えて欲しい」と繰り返し発言したことに対し、これまで繰り返し風評対策の具体化を求めてきた農林水産団体など関係団体からは、この姿勢に疑問の声が上がり、風評被害は確実との声が大勢を占めた。他人任せとも受け取れる発言を撤回し、具体策や解決策を示さなければ、意見聴取は一方的な聞き取りに終わるのではないか。
19、「⑵風評被害を最大限抑制するための国民・国際社会の理解醸成」について、福島第一原発事故を受けて現在もなお14の国・地域が輸入停止を含む規制をしており、海洋放出すれば、政府も認める通り輸入制限措置の拡大の懸念があることから、海洋放出を見合わせ、まずは14の国・地域が輸入停止を含む規制の撤廃に向けて尽力すべきではないか。
20、「⑶風評被害を最大限抑制するための生産・加工・流通・消費対策」について、福島県漁連・福島県水産加工工業連合会は海洋放出反対であり、福島県水産市場連合会も「水産物については風評被害ではなく、実害被害だ。国と東電はどう解決の道を作るのか」と意見聴取で述べたのに対し、梶山経産大臣は「説明し説得してまいりたい」と繰り返しているが、国は県漁連との約束違反を認め、海洋放出について再検討することから信頼関係の再構築を図るべきではないか。
21、「⑷風評被害が生じた場合の対策」について、「原子力損害賠償紛争審査会の中間指針等の基本的考え方を踏まえ賠償を実施する」とされるが、ADR集団申立案件等で、原子力損害賠償紛争解決センターが一被害実態を認め、一律の賠償額を認容する和解案を提示した場合、中間指針等に乖離した判断ではないと同センターが確認しているにもかかわらず、東京電力は和解案が「中間指針等に乖離する」として受諾拒否を続け、救済されない被害者が続出してきたことから、政府は、同センターが提示した和解案の内容が指針上の賠償水準の最低限となるよう早急に原子力損害賠償紛争審査会の中間指針等の見直しを図るべきではないか。

[5、将来に向けた検討課題]

22、「トリチウムの分離技術」について、ALPS小委員会の報告書は、「直ちに実用化できる段階にある技術はない」と評価しているとし、希釈海洋放出を前提に「実用化可能な技術があれば積極的に取り入れる」としているが、この際、政府として予算を確保して実用化への技術開発を進めるべきではないか。
23、「汚染水の発生量を可能な限り減少させる取組」について、格納容器内の温度変化等の影響を見る注水停止試験を実施しているが、燃料デブリの水冷から空冷への切り替えの見通しはいつか。また、格納容器内へ流入する地下水の完全な止水を実施し汚染水の発生を停止させるべきではないか。

[6、終わりに]

24、「政府としての重大な決断である」について、海洋放出するタンク貯蔵汚染水は液体放射性廃棄物であり、事故の発生者で加害者である東京電力が責任を持って管理保管しなければならず、政府は経済産業省と原子力規制委員会を通じて管理監督しリスクコントロールする義務があるにもかかわらず、海洋投棄の実行を決断することは、あってはならないことではないか。






by kazu1206k | 2021-06-14 18:48 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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