沖縄「慰霊の日」
2021年 06月 22日
沖縄は、1945年3月末に始まり、日本に於ける唯一の県民を総動員した地上戦であり、 アジア・太平洋戦争で最大規模の戦闘であった沖縄戦で、島々の山容を変え、文化遺産のほとんどを破壊され、多くの県民と日本兵、米兵等あわせて20 万人余の尊い生命を失っている。
沖縄戦では、日本軍が本市首里の地下壕に構えていた司令部を5月22日に放棄を決定し、「南部撤退」を行い、その結果、糸満市や八重瀬町など本島南部地域に多くの住民や日本兵が追い込まれて戦闘に巻き込まれ、その犠牲者は、組織的戦闘が終結したとされる6月23日までの1ヵ月間で県内全戦没者の半数を超えている。
生き残った県民は、終戦後いち早く、悲惨極まる激戦地となった糸満市や八重瀬町など南部地域から戦没者の収骨を進め、魂魄の塔をはじめ慰霊碑を次々建立し、戦没者の霊を弔ってきた。しかし、いまだ完全に収骨は終わっておらず、戦後76年が経過した今でも戦没者の収骨が行われている。さらに、遺骨のDNA鑑定による身元確定と遺族のもとへ返還する新たな取組も行われている。
遺骨収集を行うボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏は、「戦没者の血や骨粉を含んだ南部の土砂を遺骨とともに埋め立てに使うのは、県内のみならず、国内外にもいる遺族の心を傷つける人道上の問題だ」と訴えている。これは、戦争の犠牲になられた全ての方々に心から哀悼の誠を捧げている遺族と市民、県民の思いであり、平和を希求する「沖縄 のこころ」でもある。
沖縄県は、「我が県が、第二次世界大戦において多くの尊い生命、財産及び文化的遺産を失った冷厳な歴史的事実にかんがみ、これを厳粛に受けとめ、戦争による惨禍が再び起こることのないよう、人類普遍の願いである恒久の平和を希求するとともに戦没者の霊を慰める」ため、6月23日を「慰霊の日」と定めている。
よって、本市議会は「慰霊の日」を前に、遺族と市民、県民の心情に寄り添い、政府に対して、下記のとおり強く求める。
記
1 戦没者の遺骨等を含む可能性のある土砂を埋め立てに使用しないこと。
2 日本で唯一、住民を巻き込んだ苛烈な地上戦があった沖縄の事情にかんがみ、さらに、 「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」の趣旨に準じて、日本政府が主体となって戦 没者遺骨収集を実施すること。
以上、地方自治法第 99 条の規定により、意見書を提出する。
令和3年 (2021 年)3月 22 日
那覇市議会
あて先
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、外務大臣、 防衛大臣、厚生労働大臣、沖縄及び北方対策担当大臣、沖縄防衛局長