東京電力福島第一原発事故を受け福島県内には、空間放射線量を測定するため、小中学校などの教育施設や保育施設にリアルタイム線量測定システム、市役所や各支所などには可搬型モニタリングポストが設置されていますが、夜間は周辺住民に配慮して非表示となっています。
昨今の福島県沖地震はじめ多発する地震により、福島第一原発で異常事態が発生し放射性物質が大気中に放出される懸念があることから、放射線被曝の低減や緊急時の対応のために、せめていわき市内各支所の可搬型モニタリングポストの夜間表示の要望が市民から出されていました。
このため、いわき市では、今年3月29日、所有者である政府の原子力規制庁に、市内13ヶ所の支所の可搬型モニタリングポストの夜間表示の要望を行っていました。
原子力規制庁は、「可搬型モニタリングポストの電力は太陽光によって供給しているが、表示板の店頭に使用する電力は多く、可能な限り節電する必要がある」「仮に『夜間でも表示版を点灯し』かつ『曇りや雨の日が続いて場合』には数日間で測定ができなくなってしまうことになっており、原子力規制庁としてはそれは避けなければならない」「ウェブ上で測定値を確認することは可能であるため、可能な限りウェブ上で確認いただくとともに。災害時においては外出せず、どうしても不安な場合には市町村等への電話で問い合わせていただきたい」と4月7日回答してきました。
これに対し、いわき市は再度、「バッテリーの容量増」や「外部電源供給への構造変更」など設備改善を含めた検討を、原子力規制庁に依頼しました。
しかし、原子力規制庁は、「原子力規制庁として対応できない。ただし、市町村として改造するのであれば、機器の所有者としては了承している」というものでした。
この回答を受けて、いわき市は、改造費用を試算したところ、バッテリーの容量増の場合は1台約420万円、外部電源供給への構造変更の場合は1台約115万円となり、全支所で対応すると約1,400〜5,000万円の予算確保が必要ということになりました。
このため、市は、「本市予算において設備改造することも難しい」、「災害時においては外出せず、どうしても不安な場合には原子力対策課へ電話で問い合わせていただきたい」としています。
このモニタリングポストの夜間表示については、引き続き、政府、原子力規制庁に要望を継続していきます。