「武力攻撃原子力災害」に自治体は対応できるか?!
2006年 03月 11日
これは、日本が戦争に入り、原発が攻撃されたら起きる災害のこと。
政府が国民保護法を制定したのに伴い、
全国の自治体に国民保護計画の策定が義務づけられました。
戦争に国民を動員する有事法制の一つです。
この計画を作る市国民保護法協議会の設置条例が今議会に出されています。
3月6日、2月定例会本会議で、市国民保護協議会条例の制定にあたり、
国民保護計画での武力攻撃事態と原子力災害などの総括質疑を行いました。
国民の保護が目的といいつつ「自由と権利は必要最小限、制限される」とされ、
「戦時体制に戻っては困る」「国賊扱いされるのでは」と市民の不安の声が聞かれます。
武力攻撃原子力災害が想定されていますが、以下の質疑応答をご覧になっても、
全く対応できる状況に無く、国民保護とは名ばかりのことがわかります。
●質問:「テロ攻撃」または「弾道ミサイル攻撃」で福島原発が被弾した場合は、
他の施設とは違い大規模、広範かつ甚大な放射能被害が発生する
武力攻撃原子力災害になり、現行の地域防災計画の抜本的見直しが
必要ではないか。
■回答/武力攻撃原子力災害につきましては、
国が策定した「国民の保護に関する基本指針」等により、
市で今後、策定する国民保護計画で定める事項とされていることから、
現時点においては、市地域防災計画の見直しはできないものと考えております。
●質問:原子力安全委員会は、「外部からの武力攻撃については、
設計段階での想定される外部人為事象の審査対象に含めていない」として
武力攻撃原子力災害をそもそも安全審査の対象外にしていますが、
原発の安全審査のやり直しが必要ではないか。
■回答/原子力発電所の安全審査については、
経済産業省及び原子力安全委員会の所管事項であることから、
安全審査のやり直しに関する市としての見解は、差し控えさせていただきたい。
●武力攻撃原子力災害が発生した場合、
オフサイトセンターにおける分析等を踏まえた避難実施とされるが、
避難先を含め本市は対応できるのか。
■回答/国が策定した「国民の保護に関する基本指針」や
「市町村国民保護モデル計画」、県で策定を進めている国民保護計画においては、
原則として、国の防災基本計画の原子力災害対策編や都道府県及び市町村の
地方防災計画の原子力災害対策編等に定められた措置に準じた措置を
講ずるものとされております。したがいまして、本市においては、
市地域防災計画の放射性物質等対策計画に定められた措置に準じて、
武力攻撃原子力災害発生時の避難に対応して参りたい。
●協議会には自衛隊も関与し軍事色が強く、
地方公共団体にも組織整備と住民訓練を実質的に義務付けており、
行政区や自治会、自主防災組織など住民には事実上の強制になる可能性が高いが、
市民に対する影響をどう想定しているか。
■回答/住民等の避難に関する訓練を行なうときは、当該地方公共団体の住民に対し、
訓練への参加について協力要請ができるとされていることから、
事実上の強制にならないように配慮して、
訓練の時期、場所等は住民が参加しやすいものとなるよう
努めて参りたいと考えております。
●消防庁モデル計画は、国民保護措置に関する基本方針で
「国際人道法の的確な実施を確保する」とするが、
保護計画を策定する際に戦時国際人道法の「軍民分離原則の確保」をどう盛り込むか。
■回答/ジュネーブ諸条約第一追加議定書に規定する特殊標章等を交付され、
使用する者は「文民保護組織及びその要員」として保護され、
これらの者を攻撃することは国際法上禁止されております。
また、国民保護法においては、市町村等は、避難や救援等の国民の保護のための
措置を行なう者に対し、特殊標章等を交付し、又は使用させることができると
されていることから、今後、策定する国民保護計画の中に特殊標章等の交付や
使用について盛り込んで参りたいと考えております。