全漁連・県漁連、政府対策にあらためて「断固反対」
東電の海底トンネル沖合1キロ放出、許すな!
8月24日、政府は、「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」を開き「ALPS処理水の処分に伴う当面の対策の取りまとめ(案)」を決定。
内容は、流通過程での公正取引の指導、海外への情報発信強化、風評被害を前提に漁業者の冷凍可能な水産物の一時的買い取り・保管、冷凍できない魚介類の販路拡大支援などの基金の創設。賠償方針は、国が基準を明示、賠償の実施に向けて東電を指導するとされ、今後、関係団体などから意見を聞き、年内に行動計画を策定するとしています。
さらに、8月25日、東京電力が「設備の検討状況」を公表。海洋放出は、海底の岩盤をくり抜き、直径約2.5メートルの鉄筋コンクリート製配管を通した海底トンネルを作り、沖合1キロに流す計画で、海岸で取水すると汚染水を取水し循環する可能性があるためトンネル案を採用。海水くみ上げは5号機の取水路を使う。沖合約1キロのトンネル出口は、漁業権が設定されていない海域で、原子力規制委員会に工事計画を申請して、9月からトンネル敷設の海底調査、10月中旬から約1カ月かけ、作業船を使った海底ボーリング調査、来年2月から工事に着手、2023年春の完成を目指すといいますが、建設費用も不明で、凍土遮水壁と同じく、またも鹿島など大手ゼネコンの利権がらみの疑惑があり、放水立坑で稀釈等確認でのモニタリングも、立坑内の容量やモニタリングの位置(鉛直分布)等も不明です。
「風評被害」は、放出前の価格や取引数量と比較、商品価格の統計データに基づき賠償額を算定し、事業者の被害立証の負担を軽減するといいますが信頼性があるでしょうか。
関係閣僚等会議は、福島をはじめ宮城、茨城、東京で開いたワーキンググループで、海洋放出への不満と不安の意見が続出したことを無視し既成事実化を強行しています。
これに対し、全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)は、「全国の漁業者は、ALPS処理水の海洋放出に断固反対であることをあらためて表明するとともに、我々の申し入れに対し、国が明確に回答することを引き続き求めるものである」と「会長声明」を発表。福島県漁連も「廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会」で、反対を主張しました。
わたしたちは、海洋放出はじめにありきで、二次被害を発生させる、放出強行を到底認められません。政府・東京電力は、福島第一原発事故及び汚染水発生の原点に立ち返り、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁業協同組合連合会等との文書約束の反故について、関係者に謝罪し、理解と合意なき海洋放出方針を撤回すること、汚染水の発生を止める地下水の止水を実現して、陸上保管の継続、敷地利用計画の見直し、トリチウム分離技術の実用化、全国で説明・公聴会の開催など、国民的議論、国民的理解と合意の形成を図ることを求めます。
「原発のない社会をめざすネットワーキングニュース★アサツユ☆2021.9.10 第360号」
(脱原発福島ネットワーク. アサツユ編集委員会)より転載