2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故について株主らが東電元役員らの責任を追及している東電株主代表訴訟が大詰めを迎えています。
10月29日、東京地方裁判所が福島第一原発を視察する現地進行協議期日が行われます。これは、原発事故を受けて福島第一原発へ裁判官が入る初めての機会です。画期的な事態です。
東電株主代表訴訟は、会社の役員の過失により会社に損害を与えた場合、会社は役員に損害賠償の請求ができますが、会社がその責任を追及しないとき、株主は会社を代表して役員個人を訴えることができることから、福島第1原発事故を起こした東京電力取締役の勝俣、武黒、武藤の3名の刑事被告人に加えて、清水社長と小森副社長(福島第一前所長)の5名に対して22兆円の損害賠償を求めているものです。
この裁判は、安易に原発の安全性とその運転を認めた場合、役員が巨額の損害賠償を支払う責任を負う可能性があること、原発の運転管理を厳格にすることなど、脱原発の経営判断を促す意義があります。
以下は、東電株主代表訴訟から、10月29日、当該進行協議終了後に下記の場所・時間帯で囲み取材に応じるお知らせです。
■日 時:10月29日(金)18:20~
■場 所:いわき駅南口駅前広場 ペデストリアンデッキ
■出席者:原告側代理人弁護士(河合弘之、海渡雄一、甫守一樹)、佐藤和良(原告)
■主 催: 東電株主代表訴訟弁護団
■今後の予定
(1)10月29日(金)裁判所が福島第一原発視察(現地進行協議期日(非公開))
(2)11月18日(木)進行協議期日(非公開)11:00記者説明会(司法記者クラブ)
(3)11月30日(火)13:10 口頭弁論期日(結審)
東 電 株 主 代 表 訴 訟 事 務 局
〒1 6 0 -0 0 0 4
東京都新宿区四谷一丁目6 番1 号 四谷タワー8 階
さくら共同法律事務所気付
電話:0 3 -6 3 8 4 -1 1 5 3 (直通)0 3 -6 3 8 4 -1 1 2 0 (代表)
F A X :0 3 -6 3 8 4 - 1 1 2 1
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*海渡雄一弁護士の説明資料より
(2021年9月2日 東電株主代表訴訟 メディア説明会 資料2)
●東電株主代表訴訟とは?
• 会社の役員の過失によって会社に損害を与えた場合、会社は役員に損害賠償の請求ができる。
• 会社がその責任を追及しないとき、株主は会社を代表して役員個人を訴えることができる。
• 本件では、勝俣、武黒、武藤の3名の刑事被告人に加えて、清水社長と小森副社長(福島第一前所長)の5名に対して22兆円の損害賠償を求めている。
• この裁判には安易に原発の安全性とその運転を認めた場合、役員が巨額の損害賠償を支払う責任を負う可能性があることを知らしめ、原発の運転管理を厳格にすること、脱原発の経営判断を促す意義がある。
●刑事裁判と東電株代訴訟の共通点と課題
• 骨格は政府事故調の認定事実を基礎とした。
• 政府事故調は真相を巧妙に隠した。しかし、嘘は書いていない。
• 政府事故調調書の公開も真実解明に大きな力となった。
• 刑事裁判・東電株主代表訴訟と、全国で繰り広げられている原発事故被災者の損害賠償訴訟が連携して、東電と国の実態に基づく裁判例が積み重ねられてきた。
●専門家証人4名、5名の被告らのうち4名の尋問が完了
専門家のうち2名は予見可能性について
2名は結果回避可能性についての証人
(1)2021年2月26日第1回岡村行信・渡辺敦雄・後藤政志証人主尋問
(2)4月16日第2回濱田信生証人主尋問、渡辺・後藤証人反対尋問
(3)5月27日第3回岡村・濱田証人反対尋問、武藤被告主尋問
(4)7月6日第4回武藤被告反対尋問、武黒・勝俣・清水被告主尋問
(5)7月20日第5回武黒・勝俣・清水被告反対尋問
(6)10月2日第6回小森被告主尋問・反対尋問予定
●10.29現地進行協議
3.11後はじめて裁判所が福島第一原発に入る
(1)高台を掘り込んだ地盤に建築されている
現地の4m盤と10m盤もともと津波に脆弱
(2)水密化するべき個所
結果回避ができたかどうかの判断のために現地を見る
大物搬入口ルーバー(重要機器設置室扉)
(3)帰還困難地域<実施するかどうかは未定>
原発事故の被害の重大性原発に求められる安全性の高いレベル
●11月30日最終口頭弁論
提出予定の最終準備書面の骨子
第1 はじめに~本件事故の概要と本件訴訟の意義
第2 東電の最高経営層として被告らが負う善管注意義務・忠実義務総論
1 原発事故の悲惨さと原子力発電所に求められる安全性
2 原子力事業者に求められる注意義務
3 被告らが負う注意義務・忠実義務
第3 津波対策の不備についての東電の違法性
1 予見対象津波は10m盤を超える津波で足りること
2 想定を超える津波は炉心溶融の危険性が高いこと(クリフエッジ)
3 福島原発事故の序曲としての中越沖地震
4 津波バックチェックに係る津波想定の見直しと対策の先送り
●11月30日最終口頭弁論
提出予定の最終準備書面の骨子
第4 「長期評価」の信頼性と「津波評価技術」の不合理性
1 長期評価の信頼性
2 「津波評価技術」の波源想定の不合理性
第5 貞観津波についての知見の進展に基づく対策の必要性
第6 具体的な結果回避措置と結果回避可能性
1 実際の対策では余裕が考慮されるべきこと
2 原子力安全の基本原則としての深層防護・多重防護
3 日本原電等が実施した津波対策
4 考えられる具体的な結果回避措置
防潮堤/建屋等の水密化/恒設電源設備の高所設置/可搬型設備の高所配置(津波AM)/原子炉の一時停止
5 結果回避可能性についての主張、立証責任は被告らが負うべきこと
第7 リスク管理体制の不備と根本原因としての安全文化欠如についての責任
第8 各被告らの任務懈怠責任
1 原子力部門役員(被告武藤・武黒・小森)の責任
2 代表者(被告勝俣・清水)の責任
第9 損害額
第10 まとめ