福島原発震災情報連絡センターから「原発事故被災者支援施策等の改善を求める政府交渉」のお知らせです。
原発立地自治体を始め全国都道府県の自治体議員でつくる、福島原発震災情報連絡センターは、原発震災で放射能汚染と被曝を強制される人々の生存権を守るため、被災者に寄り添い、いのちと健康を守るための諸活動を続けています。
センターでは、来年度予算への反映をめざし、「原発事故被災者支援施策等の改善を求める政府交渉」を実施します。
下記に掲載の通り、事前に要請書を提出して、関係省庁から既に文書で回答を得ました。それを踏まえて再質問も提出した上で、政府交渉となります。
福島原発事故は終わっていません。いまだ多くの被災者が、理不尽な避難生活を強いられています。
以下の日程で、リアル参加とオンラインの両方で行います。
◆日時 10月18日(月)15:00~17:00
◆場所 参議院議員会館 101会議室(1階)
◆主催 福島原発震災情報連絡センター
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
◆参加費無料
◆参加申込 福島原発震災情報連絡センター事務局 大野メール careful163@catv296.ne.jp まで。
必ず、氏名、住所、電話、所属団体名(議員は議会名、一般のかたは団体名があればお書きください)
リアルかオンラインか、を明記してください。
◆締め切り 10月16日(土)
◆オンライン参加の方は、前日までに入場用URLをお送りします。
原発事故被災者への支援施策等の改善を求める要請書
2021年9月15日
内閣総理大臣 菅 義偉 殿
復興大臣 平沢 勝栄 殿
国土交通大臣 赤羽 一嘉 殿
総務大臣 武田 良太 殿
文部科学大臣 萩生田 光一 殿
原子力規制委員長 更田 豊志 殿
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
福島原発震災情報連絡センター
福島原発事故から10年が経過した今も、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。政府は、帰還政策を進め、避難指示区域指定の解除、区域外避難者の住宅支援打ち切り、ふるさとを追われた家族や地域の分断、避難者の生活困窮、留まった者の長期低線量被曝を強いています。支援策の縮小・打ち切りが進み、固定資産税の減免なども2021年度末には終了します。原発事故から長期間を経て、避難指定区域内外を問わず、また避難したかしないかに関わらず、被災者のニーズは多様化し、孤立や分断も進み、特に高齢となった被災者の健康や暮らしの課題も深刻化しています。
翻って、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「法」)は、「(被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2項)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3項)等の施策を講ずることを定めています。しかし、政府の施策は法の趣旨の実現に遠く、被害の回復・復興の将来像も不明確なまま、具体的な支援も不十分です。
住宅の確保については、福島県の激変緩和措置による、民間賃貸住宅の家賃支援がすでに打ち切られ、福島県が国家公務員宿舎の入居者に家賃2倍相当の損害金の請求を行い、提訴する事態となりました。元々、国や県の住宅支援制度が限定的で、その対象外となっている避難者の声は放置されています。法の趣旨に基づく抜本的・継続的な住宅支援制度の再構築が必要です。
「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」等福島県の子ども支援は、政府の帰還政策促進によりニーズが増えており、コロナ禍にあっても引き続き予算と枠組みの拡大が求められています。
また、子どもが活動する保育所や学校、公園などリアルタイム線量測定システムを撤去するという原子力規制委員会の方針は一時棚上げされましたが、廃炉作業完了までは、引き続き継続配置の予算措置が必要です。
さらに、原発事故の損害賠償は、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東京電力が拒否し、手続きを打ち切られた住民は1万7千人、他に全国で1万2千人以上が訴訟中です。原発事故による賠償請求権は、特例法で「損害および加害者を知った時」から10年となっており、請求権が順次、消滅時効を迎える中、原賠時効特例法成立時の国会決議に従って、賠償実施状況の詳細な確認や時効期間の再延長も含めた法的措置等について検討することが必要です。
全国の小中高校で使われている放射線副読本については、原発事故による深刻な影響などに関する記載が削除されているばかりでなく、報道によれば「新たに処理水の説明を盛り込み、出前授業や教員の研修を実施する」とされています。汚染水放出の「安全神話」を全国の教育現場に広めるもので、容認できません。
私たちは、原発事故被災者への支援施策等の改善を求め、2022年度予算に反映するよう、以下の通り要請します。
1、避難者の実態調査と支援策について、事故から10年を経て、避難者の実数や生活実態調査をあらためて行い、当事者に加え、避難先自治体や支援団体から丁寧に意見聴取し、避難者のニーズを的確に把握するとともに、適切な支援策を充実させること。
2、住宅の確保について、国は責任をもって福島県との協議の上、「法」に基づく抜本的・継続的な住宅支援制度をあらためて確立すること。国家公務員宿舎の入居避難者への福島県による損害金請求については、避難者が生活拠点を失わないように、国も責任を持って問題解決にあたること。
3、被災住宅解体後の更地の固定資産税等について、区域外・区域内に関わらず、国税・地方税を含む負担軽減を維持・拡大すること。
4、「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」について、子どもたちや実施団体に寄り添った事業改善と事業費増額を図り、県外民間団体による事業への補助制度を充実・整備すること。
5、リアルタイム線量測定システムの配置について、廃炉作業完了までの予算措置を確実に講ずること。
6、原発事故の損害賠償について、賠償実施状況の詳細な確認を実施し、時効期間の再延長も含めた法的措置等について緊急に検討すること。
7、2018年再改訂放射線副読本について、福島原発事故の写真や汚染地図、国際原子力事象尺度レベル7や被ばく線量と健康影響との間の比例関係、子供の被爆の感受性などが削除され、「国の責任」「事故の深刻さを伝える情報」「汚染や被曝による人権侵害の状況」「放射線防護」などが無記載のままであり、内容を修正もしくは撤回すること。また、「(原発事故の)処理水についての説明を盛り込む」場合は、事前にその案を公表した上で、広く意見を求め、関係市民団
体や研究者等と十分協議し、必要な修正を図ること。
以上