10月14日午後、脱原発福島ネットワークなど県内10市民団体による東電交渉(再開第62回)がいわき市内で開かれました。
この日も、6月2日提出の「理解と合意のない汚染水の海洋放出処分を中止し、陸上保管とトリチウム分離技術の実用化を求める要請書」への東京電力の再回答、それに対する質疑が行われました。
やりとりの概要は、以下の通りです。
⑴「理解と合意のない汚染水の海洋放出処分を中止し、陸上保管とトリチウム分離技術の実用化を求める要請書」(6月2日提出)に対する東電の再回答と再質疑
[要請項目と質問]
1、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁業協同組合連合会との文書約束を反故にした理由を明らかし、関係者に謝罪すること
① 関係者の理解はないのだから処分はしないのか?
・東電回答
○当社としては、ALPS処理水の取り扱いについて、地元自治体や農林水産業者をはじめとした、幅広い関係者の御懸念や思いをおうかがいし、当社から廃炉の取り組みや考えをお伝えする活動を通じて、一人でも多くのみなさんのご懸念を払しょくし、ご理解を深めていただけるように愚直に取り組んでまいります。
・質疑
ー市民:理解が得られているという認識はあるのか?
ー東電:無回答。
ー市民:反対している人に、賛成しろというのは、押しつけではないか?
ー東電:御意見として承る。
② 一部非公開の場で謝罪したとの報道はあるが、その事実はあるのか?
・東電回答
○報道を通じて、承知している。報道については否定も肯定もできない。
③ 回答全体が、質問に答えていない。再回答を?
2、福島第一原発事故及び汚染水発生責任を明確にし、被害の未然防止に向けて、理解と合意のない汚染水の海洋放出処分を中止すること。
① 風評被害が出たら賠償と言うが、被害を未然に防止する気はないのか?
・東電回答
○風評影響を最大限抑制するために、国内外の方々の懸念払しょく並びに理解醸成にむけて、ALPS処理水を放出する前の放射性物質の濃度の測定・評価結果、放出の状況や海域モニタリング結果など、人および環境への放射線の影響評価結果、環境への影響に関する正確な情報を透明性高く継続的に発信します。また、生産・加工・流通・消費対策(販路開拓など)に全力で取り組みます。
・質疑
ー市民:漁業は続けられるのか?賠償で続けられるのか?職業を奪う感覚はあるのか?
ー東電:答えはない。
ー市民:結論ありきでなく、安全だとする保証はないのではないか?
ー東電:人と環境への評価をしっかりしていく。
ー市民:事故前に第一原発でトリチウム放出の際、双葉郡の上水の値が40bq/Lの数値になった。「アトムふくしま」の記載がある。知っているか?
ー東電:次回、回答。
②同意を得る必要がないのか、また、どう合意を得るのか?
・東電回答
○政府の基本方針を踏まえた当社のALPS処理水に関する取り組みについて、地元自治体や農林水産業者をはじめとした幅広い関係者の御懸念や思いをおうかがいし、当社から廃炉の取り組みや考えをお伝えする活動を通じて、一人でも多くのみなさまの懸念を払しょくし、ご理解を深めていただけるように愚直に取り組んでまいります。
・質疑
ー市民:同意も合意も必要ないのか?
ー東電:申し訳ありません。
ー市民:回答が不誠実ではではないか?
ー東電:受け止めさせていただきます。
ー市民:質問に答えていない。再回答を求める?
ー東電:次回、回答。
3、陸側排出口及び沖合パイプラインからの放出という手段を変えた汚染水の海洋投棄をやめ、放射性廃棄物の海洋投棄を原則禁止するロンドン条約と国連海洋法条約を厳守すること。
①海洋放出の方法がロンドン条約と国連海洋法条約に違反しない根拠を示して?
・東電回答
○ロンドン条約における投棄とは、船舶などから廃棄物を海洋に投棄することとされており、陸上からの放出は適用範囲外です。このため、原子炉等規制法にのっとって、福島第一原発の陸上施設から希釈して処分することは、ロンドン条約に抵触するとは考えていません。
一方で、ALPS処理水をタンカーなどで福島第一原子力発電所から搬出し、海上で処分することはロンドン条約における海洋投棄に該当し、禁止されています。
また、国連海洋法条約では、締結国に対し、「海洋環境を保護し、保全する、一般的な義務があり、海洋環境の汚染を防止するための措置をとること」が求められております。
原子力施設からの「トリチウムを含む」液体放射性廃棄物の処分については、我が国を含め、各国とも国際法を遵守しながら、国内法に基づく海洋などへの希釈放出が一般的に行われており、ALPS処理水についても同様の扱いと認識しております。
当社はALPS処理水の取り扱いに関して、安全性に関する規制基準を厳格に順守し、公衆や周辺環境、農林水産品について安全を確保するべく、必要な対応を行ってまいります。
・質疑
ー市民:海洋投棄とは?
ー東電:船舶、海洋上のプラットフォームなどの構築物からの放出。
ー市民:環境問題はシビア、今までと違う。アジア各国や太平洋島嶼諸国も反対している。反対世論を理解してほしい。
ー東電:無回答。
4、敷地利用計画を見直し、汚染水の陸上保管及びトリチウム分離技術の実用化を図ること。
①デブリ関連施設、使用済み燃料の一時保管施設等の必要となる時期、その見通しは?
・東電回答
○廃炉中長期実行プラン2021の通り廃炉作業をすすめていくため必要な施設に、特定原子力施設監視評価検討会第91回において、燃料デブリ関連施設や使用済み燃料の一時保管施設について必要な期間および面積をお示ししています。
・質疑
ー市民:燃料デブリ関連施設や使用済み燃料の一時保管はいつから?
ー東電:2024年以降。
⑵「ALPS処理水」に関する質疑
①二次処理やり切れるのか?ALPSの問題点は?
・東電回答
○告示濃度比総和1以上の水に対して二次処理を行う。ALPSは日々発生する汚染水を処理する役割も担うことから、RO(逆浸透膜)設備を新設することで二次処理能力を高め、二次処理を行っていく計画です。
・質疑
ー市民:ALPS稼働率は、東電50%と言っているが?
ー東電:次回、回答。
ー市民:二次処理の実証試験、RO(逆浸透膜)実験は?
ー東電:RO(逆浸透膜)実験は、やっていない。
ー市民:実証実験は、ALPS3種、RO(逆浸透膜)と全部やって結果を示すべき?
ー東電:次回、回答。
ー市民:ピットモニタリングは、毎日か?
ー東電:次回、回答。
以下は、次回。
⑶これまで質問事項への再回答と質疑
1.「福島第一原発事故炉の安全対策と中長期ロードマップの見直しを求める要請書」
(4月7日提出)への再質問と質疑
① 2・3号機の原子炉格納容器上蓋のシールドプラグ及び1・2号機排気筒基部の高濃度汚染等への対応策を明らかにすること。
⒈ロボットの投入状況、仕様、機数、開発費用は?
⒉コンテナ問題、最終的にはどうするのか?
2. 前回までの積み残しに対する東電回答への質疑
①「処理水」のビーカー説明。白濁は?
②いわき訴訟、避難中に流産した原告に東電が反論しているのはなぜか?
⑷その他 ・8.25東電文書「検討状況」について
*次回の交渉は、11月18日(木)13時〜 いわき市内。