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原子力損害、実態調査と中間指針の見直しを改めて求めるー日弁連

 日本弁護士連合会は、11月15日付けで「福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の実態に関する調査・評価・結果の公表の実施及び中間指針等の改定を改めて求める会長声明」を公表しました。
 日弁連は、「原賠審に対し、ALPS処理水の海洋放出後の風評被害の可能性や多様化・複雑化した被害者の状況等を十分に加味した上で、専門家による現在の原子力損害の実態に関する調査・評価・結果の公表を行うこと並びにこれまでの原子力損害賠償紛争解決センターで提示された和解案や集団訴訟の裁判例の分析等を踏まえ中間指針等を見直すことを改めて求める」としています。


福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の実態に関する調査・評価・結果の公表の実施及び中間指針等の改定を改めて求める会長声明

政府は、本年4月13日、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所の廃炉作業に伴って同原発敷地内に貯まり続けている、放射性物質トリチウムを含んだ、多核種除去設備(通称ALPS)処理水(以下「ALPS処理水」という。)について、2年後を目途に海洋放出する方針(「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(以下「基本方針」という。))を決定した。

これに対して、福島県内等からその決定に至るプロセスについて批判の声が上がるほか、さらなる風評被害の発生に対する懸念が高まっている。福島県原子力損害対策協議会は、本年6月21日付け「原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望書」において、改めて原子力損害賠償紛争審査会(以下「原賠審」という。)に対して、中間指針及びその追補(以下「中間指針等」という。)の改定を求めたが、本年6月30日に開催された原賠審では、ALPS処理水の海洋放出後の風評被害については、「中間指針の中に風評被害の損害賠償についての基本的な考え方が既に示されて」いるとして、直ちに中間指針等の見直しを要するとの認識は示されなかった。

東京電力福島第一、第二原子力発電所事故(以下「原発事故」という。)被害者の精神的・経済的被害は、現在も継続して発生し、時間の経過とともに、多様化・複雑化している。また、各地で提起された原発事故損害賠償等請求訴訟においても、仙台高等裁判所令和2年9月30日判決等、中間指針等の損害項目や賠償額の算定などに係る高裁・地裁の判断が一定数蓄積されてきている。

当連合会は、2019年7月19日付け「東京電力ホールディングス株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の判定等に関する中間指針等の改定等を求める意見書」において、原賠審に対して、中間指針等の見直し、原子力損害の実態についての専門家による調査・評価・結果の公表を求めた。しかし、その後も原賠審は、中間指針等の見直しや原子力損害の実態についての専門家による調査を実施しておらず、2013年12月に中間指針第四次追補を制定した後、7年以上もの間、損害項目の内容に踏み込む形の改定を行っていない。

政府の基本方針には、「今回のALPS処理水の海洋放出後に風評被害の発生が確認された場合には、セーフティネットとして機能する賠償により機動的に対応するよう、(中略)東京電力を指導する。」とされ、東京電力が本年8月25日付けで公表した「多核種除去設備等処理水の放出に伴い風評被害が発生した場合における賠償のお取扱いについて」には、「ALPS処理水の放出に伴う風評被害が発生した場合には、その損害を迅速かつ適切に賠償する」とされている。しかし、昨今の東京電力の和解案受諾拒否の状況等に鑑みると、加害者側に損害賠償の仕組み・運用の多くを委ねることには限界があると言わざるを得ない。円滑、迅速かつ適正な賠償のためには、中間指針等を、十分な実態調査の下に適時的確に更新する必要がある。

そこで、当連合会は、原賠審に対し、ALPS処理水の海洋放出後の風評被害の可能性や多様化・複雑化した被害者の状況等を十分に加味した上で、専門家による現在の原子力損害の実態に関する調査・評価・結果の公表を行うこと並びにこれまでの原子力損害賠償紛争解決センターで提示された和解案や集団訴訟の裁判例の分析等を踏まえ中間指針等を見直すことを改めて求める。


2021年(令和3年)11月15日
日本弁護士連合会
会長 荒   中



















by kazu1206k | 2021-11-15 21:37 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k