11月18日の午後、脱原発福島ネットワークなどによる再開第63回東電交渉が、いわき市で開かれました。
内容は、「1、汚染水の海洋放出処分の政府方針追従をやめ、陸上保管とトリチウム分離技術の実用化を求める要請書への再々回答と質疑」「2、「ALPS処理水」に関する質疑 ①二次処理やり切れるのか?ALPSの問題点は?」「3、これまで質問事項への回答と質疑」「4、その他」で、それらの質疑が行われました。
やりとりの概要は、以下の通りです。
⑴「理解と合意のない汚染水の海洋放出処分を中止し、陸上保管とトリチウム分離技術の実用化を求める要請書」(6月2日提出)に対する東電の再々回答
[要請項目と質問]
1、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁業協同組合連合会との文書約束を反故にした理由を明らかし、関係者に謝罪すること
①回答全体が、質問に答えていない。再回答を。
ー東電:繰り返しですが、当社としては、ALPS処理水の取り扱いについて、地元自治体や農林水産業者をはじめとした、幅広い関係者の御懸念や思いをおうかがいし、当社から廃炉の取り組みや考えをお伝えする活動を通じて、一人でも多くのみなさんのご懸念を払しょくし、ご理解を深めていただけるように愚直に取り組んでまいります。
2、福島第一原発事故及び汚染水発生責任を明確にし、被害の未然防止に向けて、理解と合意のない汚染水の海洋放出処分を中止すること。
① 風評被害が出たら賠償と言うが、被害を未然に防止する気はないのか?
ー市民:事故前に第一原発でトリチウム放出の際、双葉郡の上水の値が40bq/Lの数値になった。「アトムふくしま」の記載がある。知っているか?
ー東電:2006年に福島第一原発からトリチウムの管理区域外への放出について、公表しております。なお、ご紹介のあった福島県広報誌については、言及する立場にはありません。
②同意を得る必要がないのか、また、どう合意を得るのか?
ー東電:弊社にできることは、広く内外の皆様にALPS処理水に関するご理解を深めていただくことを目指して、誠心誠意、ご説明を尽くすことが私たちの使命だと考えております。
3、陸側排出口及び沖合パイプラインからの放出という手段を変えた汚染水の海洋投棄をやめ、放射性廃棄物の海洋投棄を原則禁止するロンドン条約と国連海洋法条約を厳守すること。
①海洋放出の方法がロンドン条約と国連海洋法条約に違反しない根拠を示して?
ー市民:環境問題はシビア、今までと違う。アジア各国や太平洋島嶼諸国も反対している。反対世論を理解してほしい。
ー市民:放射性物質を海に流すのは、海洋汚染という認識はあるのか?
ー東電:そういう認識はありません。基準は満足しています。基準を守って流します。
⑵「ALPS処理水」に関する質疑
①二次処理やり切れるのか?ALPSの問題点は?
ー市民:ALPS稼働率は、東電50%と言っているが?
ー東電:今後は二次処理が発生するなど最適な設備運用を行うため、高性能ALPSを適宜稼働させる計画になります。また二次処理については、新設するROも活用する計画になります。これらにより、二次処理は計画的に進められると感がれます。稼働率は問題でないと考えています。
ー市民:実証実験は、ALPS3種、RO(逆浸透膜)と全部やって結果を示すべき?
ー東電:既設ALPSと高性能ALPSの除去性能は、増設ALPSと同程度と考えています。核種分析の手続き、プロセスの確認などは、処理設備に依存しません。
ー市民:ピットモニタリングは、毎日か?
ー東電:毎日、放水立坑でデータ採取できるよう、設備体制等検討中です。ピットから採取しデータ採取を行う考えですが、分析に時間を要するため、ピットの分析値は翌日になります。
⑶これまで質問事項への再回答と質疑
1.「福島第一原発事故炉の安全対策と中長期ロードマップの見直しを求める要請書」の質疑
① 2・3号機の原子炉格納容器上蓋のシールドプラグ及び1・2号機排気筒基部の高濃度汚染等への対応策を明らかにすること。
ー市民:ロボットの投入状況、仕様、機数、開発費用は?
ー東電:格納容器への投入機数は、1〜3号機で12機、内訳は8機は回収し、4機残置。仕様としては、つり下ろし5機、自走式4機、テレスコピック式2機、水中遊泳式1機。金額は控えさせていただきたい。
ー市民:回収機の汚染状況?
ー東電:次回、回答。
ー市民:12機の総額、使用毎の契約状況は、随意か競争入札か?
ー東電:次回、回答。
ー市民:コンテナ問題、最終的にはどうするのか?
ー東電:現在、中長期ロードマップ記載の2028年度内の屋外での保管の確保を達成すべく、廃棄物の減容施設や保管施設等の設備の設置を進めています。また1Fで発生している廃棄物は、核種組成等の性状把握を進め、安全に処分できるよう、国内外の技術調査や国や関係機関と連携して研究開発等を進めています。廃棄物の種類、物量といった全体像や廃棄物の性状は徐々に明らかになってきていますが、今後、デブリ取り出し等の進捗に伴い、高線量の廃棄物情報が得られる見込みであり、処理処分方法の検討の精度を高めていく予定です。最終的な処分方法が決まるまでの間は発生した廃棄物は、東電が責任をもって安全に保管管理を行います。
2. 前回までの積み残しに対する東電回答
ー市民:「処理水」のビーカー説明。白濁は?
ー東電:フィルターエレメントの損耗原因は、引き続き調査を進めます。フィルターエレメントの交換は実施済みです。
ー市民:汚染水二次処理の結果、サンプル分析は40ℓ、3,000tではない?
ー東電:放射性物質は測定に必要な量を測定しています。
ー市民:いわき訴訟、避難中に流産した原告に東電が反論しているのはなぜか?
ー東電:訴訟に関することは、回答を差し控えます。
⑷その他
ー市民:
①8.25東電文書「検討状況」、海洋放出計画について、以下、回答を求める。
1、測定・確認用設備についてー浄化の確認方法、各核種の年間放出量・総放出量
2、希釈設備についてー立坑による混合・希釈の直接確認方法
3、取水放出設備についてー海底ボーリング調査の実施状況、トンネル設計、費用
4、海域モニタリングについてー海水、魚類、海藻類の採取場所
5、トリチウム分離技術の調査についてー第三者機関に業務委託の内容
6、放射性物質の第三者機関による測定確認について
ー東電:次回、回答。
②11.17ALPS処理水の海洋放出に係る放射線影響評価報告書(設計段階)の説明と「軽微な影響」の根拠は?
ー東電:次回、回答。
③凍土遮水壁温度上昇の原因
ー東電:次回、回答。
④ALPSフィルター破損