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いわき市、確実な汚染水・処理水対策など東電に申し入れ

 11月24日、いわき市は東京電力に対し申し入れを行い、「1 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策」「2 福島第一原子力発電所における確実な汚染水・処理水対策」「3 福島第一原子力発電所事故からの復興」「4 福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策」の重点4項目に関する申入書を、内田市長が東京電力の高原福島復興本社代表に手渡しました。
 「汚染水・処理水対策」について、「関係者の理解と合意を得ることに全力を尽くすこと」として、「⑴ 関係者の理解と合意の獲得」では、「ALPS処理水の処分を実施する前に理解と合意を得ること。また、それまでは陸上保管を継続し、理解と合意を得る前にタンク保管が限界に達することが無いよう、時期ありきではなく、保管容量の余力の確保等についても検討すること」としています。さらに、「⑵ トリチウム分離技術の確立」「⑶ 汚染水発生の抑制・防止」など3項目を強く申し入れました。

 以下に、申入書の全文を紹介します。

東京電力ホールディングス株式会社
代表執行役社長 小早川 智明 様

申  入  書

1 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について
2 福島第一原子力発電所における確実な汚染水・処理水対策について
3 福島第一原子力発電所事故からの復興について
4 福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について
        
令和3年11月24日   
福島県いわき市長    内田 広之    
         

1 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について

 東京電力ホールディングス㈱(以下「東京電力」という。)に対しては、これまでも再三にわたり、福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)事故の一刻も早い収束を強く求めてきたところであり、数十年に及ぶ廃炉作業においては、市民生活への影響が無いよう廃炉作業を安全かつ確実に進めることが大前提であることから、併せて「確実な安全対策の実施」についても申し入れを行ってきたところであります。

 このような中、福島第一原発の廃炉作業においては、未だ確認不足や初歩的なミス、あるいは品質管理を起因としたトラブルが絶えず、また、事故から10年以上が経過したことによる設備の劣化等を原因としたトラブルも表面化してきており、市民の不安感や不信感は軽減するどころか徐々に高まってきている状況にあります。
 また、柏崎刈羽原発においては、核物質防護上における不適切事象が立て続けに発覚するなど、原発事故を引き起こした事業者とは思えないほど企業の風土、体質が全く変わっておらず、市民からの信用は際限なく失われていると言わざるを得ません。
 東京電力においては、改めて事故に対する責任を全うすることを最大最優先とし、全社をあげて人的資源を含めた全ての経営資源を福島に投入して廃炉や賠償に取り組むなど、東京電力に対する不安感や不信感を解消するための取り組みが、これまで以上に強く求められているものと考えております。

 廃炉作業における1つのミスが福島第一原発事故からの復興の妨げになるとともに、風評被害の長期化や市外で生活されている方々の帰還に大きな影響を及ぼすことを改めて認識し、今一度、安全管理体制を徹底して見直すなど十分な安全確保を図ること、また、市民への丁寧な情報提供の在り方について真摯に検討する等、特に次の5項目について強く申し入れます。

⑴ 福島第一原発の確実な安全対策の実施
 福島第一原発においては数十年に及ぶ廃炉作業期間中、多くの市民が不安を抱えた生活を強いられることから、東京電力及び国の責任において、確実な安全対策を講じるとともに、一日も早い廃炉完了に向けて全力で取り組み、事故から30年から40年後までには間違いなく廃炉を完遂すること。
 特に、原発事故から10年が経過したことによる設備の劣化などが顕在化し、放射性物質の漏えい事象が発生していることから、敷地外へ放射性物質が流出することが無いよう、改めて放射性物質漏えいのリスクを洗い出すなどの対策を講じること。

⑵ 作業員の安全管理の徹底
 作業員における初歩的なミスが散見され、安全管理意識の希薄化もみられることから、労災事故の防止に努めるほか、作業員の安全意識の醸成に努めるなど、何よりも現場で働く作業員の安全管理に万全を期すこと。
 また、今後は使用済燃料や燃料デブリの取り出し作業など、高線量下での作業が増えることが予想されることから、作業場の放射線量を低減するなどの被ばく低減対策に取り組むとともに、作業員の人的な確保や健康管理などを含め、適正な作業管理をさらに徹底すること。

⑶ 環境モニタリングの徹底
 廃炉作業が安全に進められていることを確認するためには、福島第一原発周辺の環境モニタリングが徹底されていることが大前提であることから、国、県及び第三者機関と連携し、透明性を確保した上で環境モニタリングを実施し、その結果を全国、全世界へ分かりやすく発信すること。

⑷ 市民への丁寧な説明責任の遂行
 市民が安心して日常生活を送るためには、福島第一原発の状況を正しく把握することが必要であることから、廃炉の状況等について市民の目線に立った分かりやすく丁寧な情報提供を常に心がけ、事故を発生させた当事者として市民への説明責任を果たすこと。

⑸ 市民からの信用獲得
 平成14年に発覚したデータ改ざん・隠ぺい事件をはじめ、度重なる不祥事やトラブルにより、東京電力に対する市民の信用は失墜していると言わざるを得ず、このような状況では、東京電力が公表する資料が信用されない上、ひいては福島の安全性に対して全国、全世界から疑問符を付けられてしまうことから、一度失墜した信用を取り戻すことは容易ではないことを肝に銘じ、全社を挙げて信用を獲得すること。

2 福島第一原子力発電所における確実な汚染水・処理水対策について

 多核種除去設備(ALPS)において大部分の放射性物質を除去した水、いわゆるALPS処理水の取り扱いに係る方針決定にあたっては、将来に禍根を遺さないよう様々な議論を尽くし、幅広い関係者や国民の理解と合意を得なければならないと再三求めて参りましたが、関係者の理解が得られたとは言えない状況にあるにも関わらず、国は本年4月に海洋放出方針を決定しました。
 一日も早い廃炉完了が最も重要なことではありますが、10年前の福島第一原発事故により実害、偏見、風評など、様々な面で苦難を強いられてきた市民が、再び風評被害の犠牲となることはあってはなりません。
 実際に放出が開始されるまでにはまだ時間がありますが、方針決定により既に風評が上乗せされているとの声もあることから、国のみならず東京電力としても早急に対策を講じること、また、関係者の理解と合意を得ることに全力を尽くすこと等、次の3項目について強く申し入れます。

⑴ 関係者の理解と合意の獲得
 市民や関係者が二度と風評被害に苦しむことが無いよう、以下の2点について説明責任を果たし、ALPS処理水の処分を実施する前に理解と合意を得ること。また、それまでは陸上保管を継続し、理解と合意を得る前にタンク保管が限界に達することが無いよう、時期ありきではなく、保管容量の余力の確保等についても検討すること。
ア 科学的安全性に係る正確な情報発信
「福島は安全である」ということを、科学的知見に基づき、誰でも理解できるように全国、全世界へ周知し、理解と合意を得ること。
イ 万全な風評対策等
正確な情報発信により風評を発生させないことが肝要であるが、それでも発生するおそれのある風評被害に対して万全の対策を講じ、その内容について利害関係者の理解と合意を得ること。
また、仮に損害が生じてしまった場合には、速やかに賠償するスキームを構築し、利害関係者の理解と合意を得ること。

⑵ トリチウム分離技術の確立
トリチウムの分離技術については、現在第三者機関が幅広く公募をかけているところであるが、他社まかせにせず、実用化の可能性を前向きに評価し、東京電力としても実用化に向けて全力を尽くすこと。

⑶ 汚染水発生の抑制・防止
根本的な原因である汚染水の発生を抑制し、将来的には防止するよう、高等教育機関などの様々な知見を参考にしながら抜本的な対策を講じること。

3 福島第一原子力発電所事故からの復興について

 本市の市民や事業者は、事故から10年8ヵ月が経過するも未だ収束していない状況の中、不安を抱えながら生活や事業活動を行っており、その精神的な苦痛や未だ根強く残っている風評被害に伴う営業損害は計り知れないものがあります。
 被害者である全ての市民や事業者のために、復興に向けた風評払拭に全力を尽くし、それでも発生する損害に対して迅速かつ適正な賠償を実施するとともに、地方公共団体への賠償に対しても責任をもって対応するほか、新たな産業の創出などに対しても責任をもって対応されますよう、次の4項目について強く申し入れます。

風評払拭への取組み
 福島に対する風評を払拭するため、本市においては、生産者をはじめ、関係団体等と連携し、市内量販店等に協力いただきながら、本市産農林産物のPRを実施するなど、県や被災自治体は懸命な努力を積み重ねているところであるが、10年が経過した今もなお風評被害が継続していることから、事故の責任者である東京電力においても風評を払拭するための努力を継続するとともに、これまで実施してきた対策の効果を検証し、全国、全世界に対して福島の現状を正しく理解していただくような抜本的な風評対策を講じること。

原子力損害賠償に係る「3つの誓い」の遵守
 市内における農林水産業及び加工業、観光業等の幅広い業種において未だ風評被害が継続しており、個別具体的な事情による損害についての意見や要望も真摯に汲み取り、市民や事業者の再建に結び付くよう、適正な賠償がなされなければならないが、これまでの賠償実績をみると、本市としての損害賠償に対しても未だ支払われた額は、請求額の半分に満たないことや、事業者や市民の方に対する損害賠償に対しても、ADRによる和解案が拒否される事例が発生していることを踏まえれば、東京電力における賠償に対する取り組みは十分とは言い難い状況であると言わざるを得ません。
 新々・総合特別事業計画において自らが掲げている3つの誓い「最後の1人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「和解仲介案の尊重」を遵守するとともに、原子力損害に係る賠償請求の実態を踏まえた上で、適切な賠償を実施すること。

廃炉に関わる地元企業の活性化
 2021年5月27日に示された「『復興と廃炉の両立に向けた福島の皆様へのお約束』実現に向けた取組み状況」において、廃炉産業集積に向けた具体的なステップや地元企業の参入促進、さらには、新産業創出に向けた廃炉関連施設の設置等が示され、一定程度の評価をしているところでありますが、浜通り地域の真の経済復興を実現するためには、早期且つ着実に具体化するとともに、より多くの地元企業が参入し、地域に根付いた産業へと深化させることが重要であると考えておりますことから、次の事項について強く申し入れます。
ア 2020年代に設置を予定している廃炉関連施設の整備にあたっては、浜通り地域の事業者を最大限活用すること。
イ 地元企業が積極的に廃炉産業への参入に向けたチャレンジができるよう、商談会やマッチングに留まらず、具体的な廃炉作業の内容や関連する業種、作業に必要となる資格などを具体的にわかりやすく地元産業界へ示すこと。
ウ 地元企業の参入促進を目指した技術力強化等を図る観点から、例えば、機能製品の製造や新技術開発等において、地元企業を組み込んだ技術研究組合を組成するなど、実践的な体制を構築すること。

浜通りの産業復興を支える風力産業の創出・育成
 本市においては、福島イノベーション・コースト構想等に基づく風力発電事業の導入拡大によって生み出される幅広い産業効果と多様な雇用効果を浜通り地域に適切に根付かせ、風力発電関連産業を新たな基幹産業として創出し、浜通り地域の再生と真の復興につなげていくための取り組みを積極的に進めております。
 また、昨年には、国のカーボンニュートラル宣言を受け、洋上風力産業ビジョン(第一次)、グリーン成長戦略など、相次いで計画が発表されており、そのいずれにおいても、洋上風力発電の導入拡大と、これに必要な関連産業の競争力強化や国内産業の集積などが謳われており、期待される役割は一層多くなってきております。
 浜通り地域にて創出される風力発電関連産業が、我が国における産業政策とエネルギー政策の両立を大きく牽引し、地域全体における誇りの回復及び持続可能な産業発展に結び付くよう、東京電力リニューアブルパワー株式会社(以下「東京電力RP」という。)が実施する洋上風力発電事業について、次の事項を強く申し入れます。
 ア 福島県沖での新たな市場形成
 持続可能な産業発展による真の経済復興を実現するためには、本県沖での洋上風力発電の継続的な案件形成が必要不可欠でありますことから、例えば、低風速海域に対応した風車や浮体式風車の開発による案件形成など、風況がそれほど強くない本県沖での市場形成を実現し、本市をはじめとする浜通り地域における洋上風力サプライチェーンの構築等を進めること。
 イ 地元企業の積極的な活用
 浜通り地域における風力発電関連産業の創出・育成に向けた取り 組みと東京電力RPが進める風力発電事業が協調し合い、相乗効果を最大限に発揮し、相互にとって好循環となる未来づくりが進むよう、これまで以上に協議を重ね、浜通り地域の技術と人財を活かした地元企業の積極的な活用につながる事業構築を図ること。

4 福島第二原子力発電所の廃炉に向けた取り組み及び確実な安全対策について

 福島第二原子力発電所(以下「福島第二原発」という。)については、その廃炉作業に44年という期間を要するとされており、福島第一原発の廃炉と同時並行となることから、東京電力としては過去に例が無い、計10基の廃炉を同時に進行しています。
 また、使用済燃料や放射性廃棄物の具体的な搬出先が決まっていないことから、このまま福島が放射性廃棄物の処分場にされてしまうことを懸念する声もあります。
 福島第二原発の廃炉作業を安全かつ計画的に進めるためには、今から40年先を見据えた取り組みが必要であることから、次の3項目について強く申し入れます。

福島第二原発の廃炉作業における確実な安全対策の実施
 廃炉完了までに44年を要すると見込まれているが、その間は市民が不安を抱きながら生活することになるため、福島第一、第二原発の廃炉作業が同時進行となることを踏まえ十分な人材を確保しながら、可能な限り工程の短縮に努めるとともに、安全・安心を第一に廃炉作業を進めること。

使用済み燃料等の県外搬出
 特に大きなリスク源となりうる使用済み燃料等については、早期に具体的な搬出先を提示するとともに、可能な限り早期に県外へ搬出すること。併せて放射性廃棄物についても具体的な搬出先を早期に提示するとともに、その処分業者が未だ決定していない場合には、現時点から処分方針に係る検討を進めること。

市民への丁寧な説明責任の遂行
 市民が安心して日常生活を送るためには、福島第一原発と同様に福島第二原発の状況も正しく把握することが必要であることから、上記のような懸念事項も含めて、市民の目線に立った分かりやすく丁寧な情報提供を常に心がけ、市民への説明責任を果たすこと。

いわき市、確実な汚染水・処理水対策など東電に申し入れ_e0068696_10405999.jpg






















by kazu1206k | 2021-11-24 22:18 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k