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汚染水、意見交換会開く

 11月27日午後、いわき市で、これ以上海を汚すな!市民会議の主催による「第3回廃炉・汚染水説明意見交換会」が開かれました。
 多くの反対がある中で放出準備が進められている汚染水の海洋放出問題。意見交換テーマのテーマは、大きく4点、「汚染水の総量と地下水の止水」「東電の海洋放出計画の問題点」「陸上保管、タンク貯蔵」「県民公聴会の開催を!」。市民会議から質問された下記の項目に、経産省資源エネルギー庁福田光紀事故収束対策室長が応える形で、2時間半の相互の意見交換を行いました。
 また、会場の参加者からも以下のような質問や意見が出されました。
 「敷地を確保して汚染水の貯蔵をすべきだ」「敷地がなければ埋め立てしたらいいのではないか」「凍土壁の前にバイパスを作って地下水を放流すべきだ」「日本の技術力なら地下水を止めることができる。汚染水の発生は最初からわかっていたはずだ。外回りに大きなコンクリート壁を作るべきだ」「大型タンクを検討した議事録はあるのか」「放射性核種は62核種ばかりでなく、核分裂生成物など多数ある。海の生物に影響が出たら風評被害というのか」「処理水の中身がわからないなら処理水とは言わないのではないか」「説明会を何回やったかではなく、理解と合意が得られたかだ」。


●市民会議から質問事項
 
(1)「汚染水の総量と地下水の止水」

タンク貯蔵汚染水の総量について、タンク貯蔵量は11月11日現在約128万㎥だが、地下水を止水せず、原子炉建屋に毎日140㎥流入して汚染水が発生すると、海洋放出が終了するという30年後までにタンク貯蔵汚染水の総量は何㎥になると想定しているのか。

海洋放出するタンク貯蔵汚染水の放射性核種の総貯蔵量と濃度について、年間トリチウム放出量は22兆bqを下回る水準とされるが、二次処理でも残るトリチウムや炭素14などの放射性核種の総貯蔵量と濃度は、どの程度か。

原子炉建屋残留水のトリチウム等放射性核種の総貯蔵量と濃度について、トリチウムはタンク貯蔵水に860兆bqのほか、原子炉建屋滞留水に1,200兆bq以上存在し、原子炉建屋滞留水も放出するとトリチウムの総放出濃度は2,000兆bqを超えるが、今後放出が想定される原子炉建屋残留水のトリチウム等放射性核種の総貯蔵量と濃度を情報開示すべきではないか。

地下水の止水と遮水壁、止水対策の見直しについて、汚染水の発生を止めるには、地下水の止水が先決ではないか。巨費を投じたが寿命7年とされる凍土遮水壁が溶けている現状では、新たな遮水壁対策が必要であり、在来工法などを用いた遮水壁の再構築のほか、長期的な地下水の排水対策として集水井などの設置を検討すべきではないか。

(2)「東電の海洋放出計画の問題点」

漁業者との約束の反古について、政府と東電は2015年に文書で約束をした『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』との約束を反故にして海洋放出の決定を行い、処分の準備を進めているが、これは信義則に違反し許されるものではない。政府は、決定を撤回し、海洋放出以外の処分を再検討すべきではないか。

海洋放出決定の意思決定文書について、政府の海洋放出決定の意思決定文書はないのか。

東電の海洋放出設備の許認可と各設備の確認について、実施計画の変更を伴う設備の構築は、原子力規制委員会に工事計画を申請して許認可手続きを進めるが、原子力規制委員会での手続きの進捗状況はどうなっているか。
 ①測定・確認用設備は、トリチウムと62核種及び炭素14が規制基準値を下回るまで浄化されていることをK4タンク群で測定・確認するが、規制委員会でどのように確認されているのか。
 ②希釈設備は、希釈後のトリチウム濃度を約440bq/lと想定しているが、希釈用の海水移送ポンプによる機能と濃度の想定はどのように確認されているのか。
 ③立坑による混合・希釈の直接確認は、放水立坑での稀釈等確認のモニタリングは、立坑内の容量やモニタリングの位置(鉛直分布)など、どう確認するのか。
 ④取水・放水設備について、海底の岩盤をくり抜き、直径約2.5メートルの鉄筋コンクリート製配管を通した海底トンネルを作り、海底トンネル1Km沖放出という計画だが、海底トンネルの基本設計及び工事の耐震安全性など、どのように確認されているのか。

海底トンネルの調査について、トンネル敷設の海底調査、作業船を使った海底ボーリング調査などの実施時期や内容はどうなっているか。

海底トンネルの工事と費用について、沖合約1キロのトンネル出口は、漁業権が設定されていない海域で、来年2月から工事に着手し、2023年春の完成を目指すというが、建設費用の積算及びその負担はどうなるのか。また工事施工業者はどのように選定されるのか。

海底トンネル工事による放射性核種の拡散ついて、工事により海底に沈殿している放射性核種が周辺海域に拡散して影響が出る懸念が指摘されており、海底トンネル工事は中止すべきではないか。

海域モニタリングについて、モニタリングの強化とされるが、採取箇所の追加は漁業者や住民などの意見を聴取して対応すべきではないか。

トリチウム分離技術の調査について、東電が第三者機関に業務委託しているが、政府として分離技術の実用化に向けて予算化をすべきではないか。

「風評被害」対策について、放出前の価格や取引数量と比較、商品価格の統計データに基づき賠償額を算定し、事業者の被害立証の負担を軽減するというが、海洋放出により、「風評被害」がさらに『増幅』される。これまでの東電の対応に信頼性がなく、個々の事業者が「風評被害」を立証する客観的データの収集が困難であることを踏まえれば、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針の風評被害賠償の基準はきわめて抽象的な枠組みで、東電に適切な賠償を行わせるものとして機能していない。政府は、原子力損害賠償紛争審査会に対し、東電に「風評被害」による損害の賠償を適切に行わせるための基準を設ける中間指針の改定と、そのための本格的な「風評被害」の実態調査の実施を求めるべきではないか。

関連する国際法や国際慣行について、沖合パイプラインからの放出という手段を変えた汚染水の海洋投棄をやめ、放射性廃棄物の海洋投棄を原則禁止するロンドン条約と国連海洋法条約を厳守することが必要でないか。

(3)「陸上保管について」

1.事故当事者の東電と、国策として原発を推進してきた政府には、原発事故によって発生した有害物をできる限り環境に放出させない責任がある。タンク貯蔵汚染水についても、廃炉の最終形も定まらないうちに海洋放出するのではなく、まずは環境に放出させない最大限の努力を行うべきではないか。
 ①現在貯蔵されているタンクから、石油備蓄で使われているような10万トン級のタンクに置き換えることで、より多く貯蔵できるのではないか。
 ②安定的に保管する方法として、モルタル固化による陸上あるいは半地下式での保管方法が可能ではないのか
 ③拙速に環境放出するのではなく、保管を継続しトリチウム等の減衰を待ちつつ、トリチウム分離技術の実用化を待つ手段もあるのではないか

2.前回の説明では、廃炉を行うためにはタンクをなくすことが必要であるとのことであったが、廃炉の最終形については明らかにされなかった。廃炉の最終形が不明なのに、そのためにタンクをなくす必要があるというのは説明になっていない。廃炉の最終形を示してほしい。

(4)「県民公聴会の開催について」
1.海洋放出については、今年4月13日の政府決定以前にも、朝日新聞と福島放送による県民世論調査で反対が6割を示し、県内自治体議会の7割で反対・慎重の意見書を議決していた。政府決定については、県漁連やJA、生協などの県内各団体が反対の意思を示し、朝日新聞が県知事と59の首長へ行ったアンケートでも、反対意見が7割であり、その理由を「国内外の理解は不十分」としたのが最多であった。福島民報と福島テレビの県民世論調査では、政府方針を支持する意見は2割に満たず、最も多かった意見は、「政府は国民に丁寧に説明し、理解を深めた上で決定すべき」であった。
政府は、海洋放出という決定に反対意見が多いことや、説明が不十分で理解を得られていないという多くの県民の意見を受けとめ、政府として県民公聴会を開催すべきではないか

2.三春町で開催された説明会(2021.7.10)でも住民が公聴会を要請し、奥田前対策室長は「検討する」と答えた。福島原発震災情報連絡センターの省庁交渉(2021.7.15)での公聴会開催の要請に対しても、経産省が「検討する」と回答している。当会でも以前から要請を続けているが、政府主催の県民公聴会を開催していただけるか。

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by kazu1206k | 2021-11-28 08:13 | 脱原発 | Comments(0)