12月11日午前、いわき・ら・ら・ミュウ2階の「ライブいわきミュウじあむ」で開催中の「減思力(げんしりょく)」の教訓を学ぶためのパネル展ー福島第一原発事故前後の原子力・放射線教材等の記録」に伺いました。
主催は、福島大学共生システム理工学類環境計画研究室(後藤 忍准教授)。「減思力(げんしりょく)」は、原発の安全性ばかりを強調する教育や広報によって国民の原発に対する判断力が減らされてきたという造語です。
同環境計画研究室では、環境教育の観点から特に原子力・放射線教育に力を入れ、原子力・放射線教材や伝承施設の展示説明文を対象にした内容分析に取り組んでいます。
展示は、国が事故前に実施してきた「原子力ポスターコンクール」が、原発について「地球にやさしい」「大切な電気をつくる」とプラス面ばかり取り上げ、高レベル放射性廃棄物の処分地も決まっていないのに「地下深くへきちんと処分」と広報していたことなど、国が原発推進のために原子力をどう広報してきたか。
さらに、原発事故前の中学生の副読本は、原発を「原子炉は五重の壁で守られている」「大きな地震や津波に耐えられる」と説明し、小学生の副読本の発電所のイラストでは、火力発電所から出る本来は無色透明の二酸化炭素を黒い煙で描き、原発は「二酸化炭素が出ない」と強調して、教育現場で原子力安全教育を一方的に刷り込んでいた悪質性も明らかになっています。
また、2014年版の副読本では、福島の住民避難や除染の記述、水素爆発した原子炉建屋の写真も載ったにもかかわらず、18年版ではその写真が消え、放射性セシウムによる汚染範囲の地図や避難指示区域の図も削除されてしまいました。事故後の反省も疎かに事故の現実より復興を強調する、おぞましい現実があります。
後藤忍准教授に解説いただきながら、展示物を拝見しました。後藤准教授は、パネル展の目的を、福島第一原発事故から10年以上経過し、記憶の風化が懸念される中で、原子力・放射線教育における“減思力(げんしりょく)”の教訓について記録し、考え、伝えることとされ、多くの方々のご来場を呼びかけています。