いわき市議会12月定例会は、「小野町一般廃棄物最終処分場の変更許可申請に対する決議」を可決しました。
平成8年から平成23年まで埋立が行われた、同最終処分場は、関東圏の市町村などが排出した焼却灰等を受け入れて計画搬入を完了、現在では、浸出水の水処理を中心とした維持管理を実施しています。
いわき市議会といわき市は、同処分場が本市の主要な水道水源である夏井川上流に位置するため、安全を確保する観点から、一貫して到底容認できない旨を表明し、当該処分場の早期閉鎖に向けた最終覆土工事へ着手するよう強く申し入れてきました。
しかし、事業者の(株)ウィズウェイストジャパンは、埋立容量などを変更、増量して埋立を再開するする再搬入計画を進め、いわき市との公害防止協定に基づく事前協議もせず、反対を無視して、令和元年8月16日、廃棄物処理法第9条第1項に基づく「一般廃棄物処理施設変更許可申請書」を、福島県に提出していました。
本年11月29日、本市が福島県に対し24項目46件について意見書を提出したことを受けて、いわき市議会も改めて、株式会社ウィズウェイストジャパンが申請を撤回すること及び福島県、小野町、田村広域行政組合が、当該処分場への再搬入計画を容認せず、今回の変更許可申請を許可または同意しないことを求めて、全会一致の決議を行ったものです。
小野町一般廃棄物最終処分場の変更許可申請に対する決議
株式会社ウィズウェイストジャパンが平成8年に小野町に設置した一般廃棄物最終処分場小野ウェイストパークは、本市の主要な水道水源である夏井川の上流域に立地することから、本市議会はこれまで、累次にわたり有害物質の流出に懸念を示す意見書を可決してきた。
令和元年8月16日に同社が施設を拡張し、一般廃棄物を再搬入するため福島県に提出した「一般廃棄物処理施設変更許可申請書」について、本市は県に対し本年11月29日、24項目46件について意見書を提出した。その主な内容は次のとおりである。
1 新設の土堰堤(最終覆土兼用)は、近年の集中豪雨などを踏まえると、埋め立てる廃棄物や浸出液の流出を防止することができる設備であるとは言えない。
2 新設の浸出液調整池(槽)は、近年の集中豪雨などを踏まえると、浸出液処理施設に流入する浸出液の水量を調整することができる調整池であるとは言えない。
3 既設の浸出液集排水管は、敷設後20年以上経過し適切な管径が確保されていないことを踏まえると、埋立地の浸出液を適切に集水及び排水できる設備であるとは言えない。
4 既設の浸出液処理施設は、浸出液を適切に処理する能力を有しておらず、放流水の水質を排水基準に適合させることができる設備であるとは言えない。
5 既設の遮水シートは、敷設後20年以上経過し経年劣化しており、再搬入によりさらに荷重が加わることを踏まえると、必要な強度及び耐久力などを有するものであるとは言えない。
6 夏井川水質への影響の予測評価にあたり、埋立期間中の放流水水質の値による予測評価を行っておらず、予測評価が不十分であると考えられるため、周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされているとは言えない。
施設の老朽化と近年の集中豪雨の頻発化を考えれば、施設の安全性を十分に証明する計画でなければならないことは論をまたないが、申請書の内容はあまりにずさんで、いわき市民の不安を拭うことはできない。そもそも当該処分場は、水道水源の安全性を確保する観点などから、当初計画していた埋立容量を約3分の2に縮小した経緯があるほか、これまで搬入された主な廃棄物が関東圏から排出されたものであることなどを踏まえれば、再搬入計画は決して認めることができない。
よって本市議会は、次の事項を強く求める。
1 株式会社ウィズウェイストジャパンは、本市が福島県に提出した「一般廃棄物処理施設変更許可申請書」への意見書で指摘した24項目46件の意見を真摯に受け止め、申請を撤回すること。
2 福島県、小野町、及び田村広域行政組合は、当該処分場への再搬入計画を容認することなく、今回の変更許可申請を許可または同意しないこと。
以上、決議する。
令和3年12月16日 いわき市議会