放射線副読本「汚染水」追記に関する政府交渉
2021年 12月 22日
(事務局:大野)
2021年11月25日
文部科学大臣 末松伸介 殿
放射線副読本「汚染水」追記問題に関する質問について
福島原発震災情報連絡センター
共同代表 佐藤和良
中山 均
松谷 清
日頃の活動に敬意を表します。
東京電力福島第一原発事故から10年8ヶ月、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。事故に由来するトリチウム等タンク貯蔵汚染水(以下、「汚染水」という)の処分方法について、4月13日、政府は廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議を開き、海洋放出方針を決定しました。
もとより、政策決定は、関係者はじめ国民の理解と合意が前提です。しかし、今回の決定は、福島県漁連や全漁連など全国の漁業者、福島県内の第一次産業はじめ関連産業、7割の反対及び慎重の意見書を政府に提出した自治体議会など福島県民の声を無視し、パブリックコメントや「ご意見を伺う場」などに意見を寄せた全国民の反対や慎重の声に対して、理解と同意を得る作業を蔑ろにした「スケジュールありき」の方針決定の強行でした。
貴職におかれては、全国の小中学校へ文科省からの直接送付された「放射線副読本」に関して、その後のアンケート調査も行われ様々な課題も把握されていることと存じます。
こうした中で、文部科学省が福島第一原発の汚染水の海洋投棄問題を追記し改めて学校現場への配布を計画されているとのことです。
現在、汚染水の海洋放出を巡って、福島県内はもとより、太平洋沿岸各県、太平洋沿岸関係諸国からも懸念の声が上がっております。国論を二分するかの状況にあり、国際関係にも配慮しなければならない案件については、教育の現場で慎重に扱うのは当然のことです。これらを十分に認識しながら、この時期に福島原発事故汚染水問題を追記することは到底許されるものでありません。
つきまして、以下の点について質問を致しますのでご回答を要請するものです。併せて、12月中に、ご回答をもとに改めて本件に関する協議の場を設けていただくことも要請いたします。
記
1,「放射線副読本」への追記を計画することになった経緯及び追記の判断は、内閣府、経産省からの要請か、文科省の独自の判断であるのか。
2,福島県内外及び国際的な汚染水に関しての世論はどのように認識しているのか。
3,国際的世論に訴えるとの説明もあるが、これまでの海洋放出基準は「人を防護対象」としており、ICRP(国際放射線防護員会)が2023年タスクグループで「ヒト以外の生物種を対象とした新基準」を2029年勧告に向け作業を開始するとされることをどのように認識されているのか。
4,原子力市民委員会(座長・大島堅一龍谷大学教授)による「海洋放水」に代わる汚染水対策に関する提言(2021年)についてどのような認識をされているのか。
5,追記にあたり専門委員会を組織するとのことだが委員構成はどのように検討しているのか。
6,「放射線副読本」追記のスケジュールおよび財源についてどのくらいを想定されているのか。
以上