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海洋放出工事計画の事前了解に不同意を、福島県知事に申し入れ

 12月27日、汚染水の海洋放出に反対する「海といのちを守る福島ネットワーク」は、12月20日、東京電力が、汚染水の海洋放出に向けた設備工事の実施計画の事前了解を福島県などに求めたことから、福島県に対し、事前了解を東京電力に対して与えないこと、公聴会を開催することなどについて申し入れ、記者会見しました。
 海洋放出は、政府と東京電力が、本県漁業者はもとより国民・県民の懸念や反対の意思表明に対して十分な説明がなされないばかりか『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という文書による約束を反故にする極めて不誠実なものです。
 福島県漁業協同組合連合会など福島県内農林水産業団体、消費組合が一致して反対し、県内59自治体議会の約7割が反対または慎重な対応を求める意見書を政府に提出するなどの状況をふまえ、福島県に対して、申入書「福島第一原発汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解について」(下記に全文掲載)を提出、以下の3点を申し入れたものです。

 1、汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解について、福島県民と県内の農林水産業=第一次産業はじめ地域の社会経済を守るために、福島県として海洋放出反対の意思を表明し、本件事前了解に同意しないこと。
 2、汚染水対策について、漁業者をはじめ福島県民の生業を守り、県民生活の安全・安心を確保するため、政府と東京電力に対し、地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンクでの長期保管案やモルタル固化保管案等の汚染水対策を求めること。
 3、汚染水処分の国民的合意について、国際関係への配慮、国会での議論と国民的な公聴会の開催による国民的合意の形成を図るよう政府に求め、本県としても廃炉安全監視協議会等で実施計画の意見を集約するばかりでなく県民の声を聞く県民公聴会を開催すること。

 申 入 書
(福島第一原発汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解について)

福島県知事  内堀 雅雄 様 
              2021年12月27日  
              海といのちを守る福島ネットワーク


 東京電力福島第一原発事故から10年9ヶ月、未だ、政府の原子力緊急事態宣言は解除されておらず、福島県の復興は未だ道半ばです。
 2021年12月21日、東京電力は、福島第一原子力発電所事故により発生した汚染水について、政府の「基本方針」(2021年4月決定)に基づき、「ALPS処理水希釈放出設備及び関連施設の基本設計等」について、「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請書」を原子力規制委員会に申請しました。これに先立ち、同年12月20日には、福島県、大熊町、双葉町に対し、福島第一原子力発電所の廃炉等の実施に係る周辺地域の安全確保に関する協定に基づき、「事前了解願い」を提出しました。 
 政府と東京電力は、総量860兆ベクレルとされるトリチウムはじめ炭素14他の放射性核種が残存した汚染水を、2023年以降30年間にわたり年間22兆ベクレルを上限にして、福島県沖へ放出する計画を進めていますが、海洋放出は、本格操業を目前にした漁業はじめとする一次産業ばかりでなく、県内の各産業への影響が生じることは必定であり、生物濃縮や健康影響の懸念も消えません。
 海洋放出には、福島県漁業協同組合連合会など福島県内農林水産業団体、消費組合が一致して反対し、県内59自治体議会の約7割が反対または慎重な対応を求める意見書を政府に提出してきました。政府と東京電力の対応は、本県漁業者はもとより国民・県民の懸念や反対の意思表明に対して十分な説明がなされないばかりか『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という文書による約束を反故にする極めて不誠実なものです。
 政府は、原発の安全神話のもと、国策として原子力政策を推進し、原子力災害を招来して、多大な犠牲を福島県民に強いてきた責任があります。東京電力は「風評対策」を掲げるものの、原子力損害賠償や事故後の対応は原子力事業者としての資質に欠けるものであり、東京電力に対する福島県民の不信は募るばかりです。
 このような状況で私たちは、一旦立ち止まって、考えるべきです。関係者の理解も合意もない海洋放出に対し、福島県は反対すべきであり、県民世論と乖離した海洋放出に伴う設備変更の事前了解については、同意すべきではありません。
 本来、政府・原子力規制委員会は、国民の生命・財産を守るため、汚染水の放出に関する環境アセスメントと総量規制の実施を検討すべきなのです。予防原則に立って、地下水の止水の実現、大型タンクでの長期保管案やモルタル固化保管案等の安全な陸上保管の詳細な検討も必要です。
 海洋放出は、国際的にも多大な影響を及ぼすことから、国際関係への配慮、国会での議論と国民的な公聴会の開催による国民的合意の形成を図るプロセスが必要です。「はじめに結論ありき」の拙速な事前了解への同意は慎まねばなりません。
 海洋放出は、原発事故後の復興をめざす福島県民と県内の農林水産業=第一次産業はじめ地域の社会経済への影響は甚大です。福島県漁連の野崎哲会長は実施計画変更申請について、「われわれが反対している中で進んでいくのは残念だ。淡々と進むことに非常に不満だと発信するしかない。説明を尽くしていない」と訴えています。
 この際、貴職におかれては、被災県民の代表として、福島県民と県内の農林水産業=第一次産業はじめ地域の社会経済を守るために、政府に対し汚染水の海洋放出をやめることを求め、汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解に同意しないよう、下記の通り申し入れます。      

1、汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解について、福島県民と県内の農林水産業=第一次産業はじめ地域の社会経済を守るために、福島県として海洋放出反対の意思を表明し、本件事前了解に同意しないこと。
2、汚染水対策について、漁業者をはじめ福島県民の生業を守り、県民生活の安全・安心を確保するため、政府と東京電力に対し、地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンクでの長期保管案やモルタル固化保管案等の汚染水対策を求めること。
3、汚染水処分の国民的合意について、国際関係への配慮、国会での議論と国民的な公聴会の開催による国民的合意の形成を図るよう政府に求め、本県としても廃炉安全監視協議会等で実施計画の意見を集約するばかりでなく県民の声を聞く県民公聴会を開催すること。

                          以上

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by kazu1206k | 2021-12-27 22:33 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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