12月28日、政府は、経済産業省など関係10省庁と原子力規制委員会、東京電力などが参加する「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」を開き、東京電力福島第一原発事故による汚染水の海洋放出後の「風評対策」に関する「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた行動計画」を決定しました。
これは、8月に公表した中間案「当面の対策」を関係者の意見聴取や調整を進め、放出後を含めた各省庁の取り組みの方向性を示し、地域、業種ごとの賠償基準を今後1年程度でとりまとめる方針を示したものです。
行動計画には、水産物の風評対策基金として2021年度補正予算に計上した300億円の執行体制を年度内に整備し、風評の影響を受けた水産物の企業食堂などへ提供や、インターネット販売など販路拡大を支援すること、放出前に地域や業種の実情に応じた賠償の基準をまとめ請求方法を周知すること。東京電力が11月に公表した海洋放出時の環境影響評価や12月に申請した放出に関する実施計画について、IAEA=国際原子力機関がレビューし、来年中にまとめる中間報告書の結果を国内外に発信すること、などが盛り込まれました。この行動計画を地元自治体や漁業者、消費者団体などの関係者に説明し、必要な対策の追加や見直しをするとしています。
これに対し、全漁連全国漁業協同組合連合会は、「一方的に進められようとしていることは極めて遺憾であり、強い憤りとともに厳重に抗議する。漁業者や国民の理解を得られない処理水の海洋放出に断固反対だと改めて表明する」との会長抗議声明を、関係閣僚等会議議長の松野博一内閣官房長官、同会議副議長の萩生田光一経済産業大臣、金子原二郎農林水産大臣に対し送り抗議しました。
また、内田弘之いわき市長も「重要なことは『実効性のある計画なのか』『関係者の声を十分に反映し、理解が得られる計画なのか』ということである」「海洋放出方針が決定されて約8ヵ月が経過しましたが、安全性や風評による被害を懸念する声は依然として強く、国民や関係者から理解を得るプロセスはまだまだ途上である」「国及び東京電力に対し、『時期ありきではなく、分かりやすく、丁寧に説明し、国民や関係者の理解を得るよう』、あらゆる機会を捉えて、求めてまいりたい」とコメントを出しました。
理解も合意もない汚染水の海洋放出の強行に向けた、政府と東京電力の様々なゴリ押しに、漁業者はじめ福島県民、国民の不満と批判が高まるのは明らかです。