1月15日午後、「東電刑事裁判控訴審 東京高裁に証人尋問と現場検証を求める」東京集会が連合会館で開かれました。
東電刑事裁判の控訴審は、昨年11月2日に第1回公判が開かれ、2月9日の第2回公判には東京高裁の細田啓介裁判長が現場検証と証人調べを採用するのか否かの大きな山場になります。
このため、集会は、東電福島原発事故の真相究明に大きな役割を果たしてきた、東電刑事裁判の意義を確認するとともに、一審地裁の不当判決を何としても控訴審で逆転するために、東京高裁での現場検証と証人調べを実現しようと決意を固めるものになりました。
集会は、はじめに、福島原発刑事訴訟支援団の佐藤団長が、控訴審の勝利に向け、1月21日の現場検証を求める署名提出行動と2月9日の第2回公判への総結集を訴えた後、科学ジャーナリストの添田孝史さんが『刑事裁判がなければ闇に埋もれていたこと』題して講演。
添田さんは、国会や政府など4つの事故調が力不足だったとし、刑事裁判によって東電のハードディスクから重要メールが掘り起こされた事実を指摘し、もしも刑事裁判がなかったら、事故に至る真相が闇に葬られ事実解明もなく、東電と国の責任が明らかにされなかっただろうと話しました。その上で、東電のハードディスクから掘り起こされた重要メールを紹介し、更なる事実解明が期待できるのは刑事裁判だけであり、裁判官による現場検証と証人尋問の必要性を訴えました。
弁護団の大河陽子弁護士は『刑事控訴審第1回期日について』を報告。東京高裁第10刑事部の細田裁判長、駒田右陪席、野口左陪席を紹介し、指定弁護士による原判決の4つの誤り「長期評価の信頼性・具体性の否定」「原子炉の安全性についての社会通念を誤って捉えた」「結果回避義務の内容を正確に理解していない」「現場検証の申請を却下して判決に及んだ」を詳細に解説しました。
海渡雄一弁護士は『わたしたちが東京高裁で勝つために、いま何をなすべきか』と題して、「刑事事件における控訴審の仕組み、民事と刑事で異なる控訴審の役割」を説明し、「長期評価には信頼性,具体性がある」として「地震本部は地震に関する調査結果を集積・分析・評価する唯一の機関」「作成主体及び作成経緯を重視すべきである」「濱田信生氏の証人調べが必要不可欠で」「長期評価には具体的根拠がある」と解説。「福島第一原子力発電所の検証が必要である」とし、「指定弁護士が求めていることと高裁審理の展開シナリオ」では、株主代表訴訟での東京地裁による現地進行協議の意義と現場検証の実施の必要性、「元気象庁地震火山部長の濱田証人の尋問」「島崎証人の再尋問」「元東芝原発設計技術者の渡辺敦雄証人の尋問」などを挙げ、刑事事件の控訴審では追加の証拠調べは原則として行われない状況の中で、大変狭き門であるが開かずの扉ではないと、「高等裁判所の裁判官らに新たな証拠調べの決断を迫るのは市民とメディアの力である」としました。
河合弘之弁護士からは『なぜ原発裁判を闘うのか』について報告。「勝つまで闘おう」と呼びかけました。
原発事故被害者の村田弘さんの発言。最後に福島原発告訴団の武藤団長から第1回控訴審を傍聴した報告を行いました。
1月21日10時30分から、東京高裁前でアピール行動を行い、現場検証を求める署名提出。
控訴審の第2回公判は、2月9日14時に開廷。前回と同じように、東京高裁前でヒューマンディスタンスチェーンを11時から行う予定。傍聴整理券の配布時間は、1週間前に発表されます。1週間前にご確認下さい。
集会は、市民があきらめずに、行動し続けることの大切さを改めて確認しました。