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1月27日、「311子ども甲状腺がん裁判」提訴

311甲状腺がん子ども支援ネットワーク〜311supportne〜から、「311子ども甲状腺がん裁判 提訴集会」のお知らせが届きました。

【311子ども甲状腺がん裁判 提訴集会】
東京電力福島第一原発事故により被ばくし、甲状腺がんにかかった若者が、東京電力に対し損害賠償を求めて提訴します。勇気をもって裁判を提起した原告を応援しましょう。

2022年1月27日(木)
 13時〜入廷更新 東京地裁正門
 彼らに代わって弁護士団といっしょに歩きます。20代以下の若者の参加、ぜひお待ちしています!

16時〜支援集会 衆議員第一議員会館多目的ホール(定員170名)
 司会:神田香織
 原告から/弁護団から/支援者から/国会議員から
 ※15時半〜衆議員第一議員会館入口で入館証を配ります。
 ※当日は、感染予防対策実施予定。体調不良の方はご遠慮ください。

●以下は、弁護団副団長の海渡雄一弁護士からです。

甲状腺がん患者に今こそ救済を
      311甲状腺がん子ども支援ネットワーク

 本日(1月19日)13時から東京地裁司法記者クラブで、下記の記者会見を行いました。
 事故当時、福島在住の6人の若者たちが、自らのり患した甲状腺がんが原発事故に起因するものであることを、東京電力に認めさせるため、今月27日に東京地裁に提訴します。
 本日の提訴時に、記者に配布した資料のうち、個人情報の係る部分を除いて、下記に公表します。
 原告は、約300人の同じ病気に苦しむ仲間たちへも東電の賠償と国による生涯にわたる医療と生活の支援の仕組みを求めています。
弁護団の代表は井戸謙一弁護士、河合さんと私が副団長です。若手を含めて、合計17名の大弁護団です。
裁判を闘う資金が必要です。どうか、皆様からの浄財をお待ちしています。
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1)郵便振替
記号 11380
番号 11579501
名義 311甲状腺がん子ども支援ネットワーク
代表 河合弘之
2)ゆうちょ銀行
店名 一三八 普通 口座番号1157950
名義 311甲状腺がん子ども支援ネットワーク
3)城南信用金庫
九段支店 普通 口座番号355663
名義 311甲状腺がん子ども支援ネットワーク
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2022年1月19日
「311子ども甲状腺がん裁判」記者レク資料

東京電力福島第一原子力発電所事故当時、福島県内に居住し、現在、福島県、東京都、神奈川県在住の男女6人が、事故に伴う放射線被ばくによって甲状腺がんを発症したとして、東京電力に損害賠償を求めるもの。
原告は事故当時6歳から16歳(現在17歳〜27歳)。6人のうち4人は、再発に伴う手術で甲状腺を全摘し、生涯、ホルモン薬を服用しなければならない状態となっている。原告には、4回もの手術を受けた患者や、遠隔転移している患者もおり、進路や就業に困難が生じている。
原発事故の放射線被ばくによる損害について、公衆(作業員以外)が同社を訴える集団訴訟は、本訴訟が初となる。

1、訴訟の概要
(1)裁判所:東京地方裁判所
(2)原告(別紙参照)
・東京電力福島原発事故後、甲状腺がん手術を受けた17歳〜27歳の男女6人
・事故当時年齢:6歳(幼稚園年長)〜16歳(高校1年生)
・住所:東京都・神奈川県・福島県(事故当時は全て福島県)
・病状:片葉切除2人、再発・全摘患者4人、RI治療済みまたは予定4人、肺転移1人。
(3)被告:東京電力ホールディングス
(4)請求金額:6億1600万円(5億6000万円+弁護士費用5600万円)
・再発・全摘の原告一人あたり1億円、片葉切除の原告8000万円(弁護士費用1割)

2、請求原因
(1) 根拠法令:原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)第3条第1項
(2) 本訴訟の主張のポイント
① 原発事故が起こったこと
② 原発事故の責任が東電にあること
③ 原告が損害を被ったこと(甲状腺がんに罹ったこと)
④ 事故が起こったこと(①)と原告が損害を被ったこと(③)の因果関係
⑤ 損害額
このうち、④が最大の争点になる。

3、因果関係論(総論)
小児甲状腺がんは100万人に2人程度の希少ながんであるが、チェルノブイリ原発事故後に多発し、IAEAなどの国際機関も事故との因果関係を認めている。このため、国は福島原発事故後、当時18歳以下だった子ども38万人を対象に甲状腺スクリーニング検査を開始し、現在までに300人近い子どもが甲状腺がんと診断されている。これについて、国や福島県は、通常より数十倍多いとしながらも、福島原発事故による被ばく線量は、チェルノブイリと比べてはるかに低い等として、被ばくとの因果関係を否定。精密な検査により、治療の必要のないがんを多数見つけている「過剰診断」が起きているとの可能性を指摘する。
しかし、
① 原告らは全員相当量の被ばくをしたこと。
② 甲状腺がんの明らかな危険因子は放射線被ばくであること。
③ 原発事故後の福島で小児甲状腺がんが多発していること
④ 原告らは全員乳頭がんであること。(遺伝性が認められているのは髄様がんのみ。)
⑤ 原告らの甲状腺がんは進行して手術、再手術に至ったのであって、ラテントがんではないこと。
などから、原告が甲状腺がんを発症したのは、東京電力の事故が原因である蓋然性が極めて高い。
したがって、被告側で、原告らのがんが被ばく以外の原因によるものであることを立証しない限り、原告らのがんの原因は事故による被ばくであると認められるべきである。
なお、一般に訴訟上の因果関係の立証は「特定の事実が特定の結果発生を招いた高度の蓋然性」を証明することとされているが、公害訴訟の判決では、原告住民側が公害物質によって健康被害を生じた蓋然性を証明すれば、被告企業側がそれ以外の原因を証明しない限り、因果関係を認めるという判断が積み重ねられてきた。本件においても、同様の判断枠組みを主張することになる。

4、原告の状況(各論)
(原告の特定は人権侵害を生む恐れがあるため、非公表です。)

5、請求額(損害論)
原告らは、いずれも被ばくによって甲状腺がんを発症し、2名が片葉切除、4名が全摘となっている。しかし、損害はそれだけではなく、甲状腺を全摘した場合には、生涯ホルモン薬の投与を続けなければならず、再発ないし転移の危険に常に脅かされながら生活することになる。
また、いずれの原告も10歳代で発病し、進学や就職、結婚、出産などに困難を来し、将来の夢を描くこと自体を諦めてしまった者もいる。原告らが奪われたのは、ごく普通の人生そのものである。
本訴訟では、基本的に個々の原告ごとの個別の損害に立ち入らない包括一律請求として請求するが、上記のような差異を考慮し、再発・全摘の原告については1億円、片葉切除の原告については8000万円を損害と考えている。ただし、片葉切除の原告についても、今後再発した場合には、請求を拡張する可能性がある。
金額の根拠として、小児期ないし青年期にがんにり患し、人生の大部分を再発に怯えながらがん患者として生きていくことを余儀なくされたこと、平均年収500万円×45年稼働=2億2500万円程度の生涯賃金が見込まれるところ、その相当割合を失うであろうこと、外見的にも手術痕などの後遺障害が遺っていること、本人及び家族の苦しみが大きいこと、医療保険への加入ができず、多大な医療費がかかる可能性があること、住宅ローンも組めなくなること、事故には東電に重大な過失があり、その後も東電は原発事故被災者に対して不誠実な態度をとってきたことなどを考慮して決定している。
交通事故に伴う損害賠償よりも高額となっているが、それは損害の実態が上記のようなものである以上当然であり、被爆者援護法に基づいて支給される手当(月額14万円強)と比較して高額ではない。

6、本訴訟のポイント(まとめ)
(1)被ばくと病気との間に因果関係が認められるかどうかが主たる争点。
(2)原告らが事故によって相当量の被ばくをしている以上、被告側において原告らのがんが被ばく以外の原因によるものであることを立証すべき。
(3)被ばくによって未成年ががんを発症するという深刻な損害が生じている。
(4)内部被ばくをめぐる訴訟としては、広島の「黒い雨」裁判および長崎被爆地域拡大訴訟と類似している。
(5)原発事故と甲状腺がんの因果関係を扱う本邦初の裁判。
(6)本訴訟が、福島原発事故の被害をめぐり、他の避難者訴訟(主に区域外避難の損害論)に影響を与える可能性がある。


1月27日、「311子ども甲状腺がん裁判」提訴_e0068696_09452161.jpg












by kazu1206k | 2022-01-24 22:36 | 福祉医療 | Comments(0)