原発立地自治体を始め全国都道府県の自治体議員でつくる、福島原発震災情報連絡センターは、文部科学省、経産省自然エネルギー庁と「放射線副読本『汚染水』追記問題」に関する政府交渉を咋年12月24日に行った。
福島原発事故に由来するトリチウム等タンク貯蔵汚染水の処分方法について、政府は海洋放出方針を決定しゴリ押しが進むが、福島県漁連や全漁連など全国の漁業者、福島県内の第一次産業はじめ関連産業、7割の反対及び慎重の意見書を政府に提出した自治体議会など福島県民の反対の声は収まらない。
そのような状況で、文部科学省が全国の小中高等学校に直接郵送して児童生徒に配布している放射線副読本改訂版に「この水は、ほとんどの放射性物質を取り除き、大幅に薄め、健康や環境への安全を確保するための基準を十分に満たした上で、海に放出される方針」などと追記された件に関し、政府交渉(文科省と経産省)したもの。
1,「放射線副読本」への追記を計画することになった経緯及び追記の判断は、内閣府、経産省からの要請か、文科省の独自の判断であるのか。
●文科省;4月に決定した基本方針は、風評被害を生じさせない,タスクフォースで、国内に安全性について発信する。事業者の理解を深めることを徹底する。こととしている。風評被害、タスクフォース、政府一丸となって正確な情報を発信すること。副読本にも記載をした。政府全体に方針が示されたものである。
○センター;どういう追記なのか?
●文科省;これまでの改訂と同様、関係省庁と協力し、作成協力者一覧に掲載している専門家と学校関係者にも協力してもらう。
○センター;4.13の政府方針に見合った追記を刷るのか?
●文科省;記載については,処理水が、廃炉に向けた取り組みの中の一つとして,廃炉の過程の中で発生していること,特別な施設を用いて浄化・希釈することで健康や環境の安全性を確保して海に放出すること。科学的根拠に基づいて対応する。
○センター;海洋放出ありきの追記ですね?冒頭で述べたように関係者福島県民こぞって反対しているが,それは書かないのか?
●文科省;環境や生物に風評を心配する声があるとの記載はする。
○センター;事業者は実害を心配する,魚を捕っても売れない。汚染されていないものをされているかのこごく風評が立っている,のではなく、事故後の炉心の燃料デブリに触れた放射能に、触れた汚染水を処理したとして放出したが,事故後の放射性核種に触れているもの。13,14核種もとりきれないと東電も言っている。
敷地境界の基準でやれば良いとするが,影響が明らかではない。それを安全だとして教育現場で進めていくのは、誤った現実を政府が教えることになる。
風評を心配する声があるのではなく反対する声があると少なくとも書くべきだ。
●文科省;4月の基本方針を踏まえて,関係省庁といっしょに,処理水に関する書ける情報を書く。今のことを書くことは考えていない。
○センター;政府の考えを一方的に教えることになる。副読本自体が,以前は原発安全神話の虜になっていた。5つの壁で守られているから安全、放射能はださない。二酸化炭素も出さず地球に優しい。と言っていた。事故が起き12万人が全国に避難し,甲状腺がんが2千人にも上っている。安全神話に一役買っていたのが副読本。その反省に立ってやるべき。事故からの教訓をきちんと踏まえる。海洋放出ではない陸上保管の方法もあるということを記載しなければ、教育の中立を保てないと思う。
●文科省;国が4月に出した基本方針を踏まえて,風評被害を出させない,安全性を発信することを踏まえて情報発信すること、
○センター;現実に反することを教えていることになる。文科省はもう少し踏みとどまった方が良い。
教育が、産業関係にすべて飲み込まれて,中立性がなくなるのは良くない。いったん立ち止まって考えるべき
●文科省;文科省として,安全性についてコメントする立場にない。政府全体の方針を踏まえていく。
○センター;安全神話を振りまいた反省はどうなっているのか?人だけではなく,環境に関する影響を見直すことになっている。科学を所管する文科省がそれをきちんとすべき。子ども被災者支援法には,人体への影響は未解明と明言しているが,安全だと断言する。それは法律違反。安全だという前提で風評被害として、実害があることを無視している。安全神話に先祖返りしている。東電がひどいことをやって問題を起こしている。そういう人たちがやっている。
文科省で安全と認めても机上の空論。教育の現場で机上の空論を教えるのはおかしい。現実を見ていない。
●文科省;私の立場で言うと、安全神話の反省はコメントする立場にない,政府全体の立場で考える。
○センター;そういう自分の立場だけで、政府方針だったとしても踏みとどまり科学の立場から検証し、踏みとどまる。安全だと振りまくことではなく、自分の仕事だけやればおしまいという話では納得できない。
○センター;教育課程の専門家助川さん、野口さん、副読本が科学的にも現在の社会的事象に、
客観的事実に基づき,妥当性がないと、副読本として脆弱。事故前の副読本はそういうものだった。火力発電から出る煙は真っ黒、原発から出る希ガスは透明として示した。
●文科省;事故前のは承知していない。あくまで科学的知識、専門家の意見を聞いて作成している
○センター;静岡で浜岡原発を抱えている。副読本に防災のことが書かれている。半袖姿の子どもが逃げる。静岡で話すときに、放射能汚染が発生したときは長袖にしなければならないのではないかと議論された。汚染水のことで風評を避けると言うことで専門家に聞いた,と言うが,記載の中身が、実害があって反対しているとかトリチウム以外の核物質が入っていることとか、どういう記述をするかによって現場で混乱する。初等中等教育管轄する立場は印刷しますと、子どもにどう教えて良いのか現場で悩む。科学的事実について判断しなくてはいけない立場だろう。安全性についてコメントする立場にないとするのでは,現場の先生たちは混乱、困る。どう考えているのか?
●文科省;今夏の海底は,専門家、関係省庁、関係者にも意見を聞いている。対応している。
○センター;防災で逃げるにはどうしたら良いのか、だけでも、静岡でアンケートを取ったりしているが、防災教育をやっているので,矛盾点も見えやすい。作る時には、価値観が入る。学校現場で混乱が生じる。問題点をチェックし、調べるべき。コメントできる立場にないでは困る。
○センター;現実的に放出されるアルプス処理水は、トリチウムだけで1以下であれば良いとするだけ。核種についてきちんとはかっていない。カーボンは取り切れないことは認めている。
政府の方針では不安だから、各組合も自治体議会の7割も反対している。福島県の復興と廃炉に両立が基本方針としているが、復興を目指す漁業者が本格操業始めようとする矢先に、毎年20兆ベクレルで30年間放出。漁業等が打撃を受ける。
それを冷凍庫を作る,販促を首都圏でやるから良いですではない。20年度の予算にこれだけあげます、金目の問題ではない、生業も,誇りも,復興に頑張ってきた人が根絶やしにされる問題。
副読本に入れるのはおかしい。福島県以外ではこういうことで丸め込むことでしょ。
以前、読本が安全神話の虜になって,それを宣伝、児童生徒を取りこむものだったとの反省に立てば、軽々に追記はできないはず。
実際に苦しんでいる福島県民にしたら,また福島いじめだ,ということでしかない。二つの県内紙でも反対論調。軽々に来年度から配布するとすべきではない。
ここでは、同じ話の繰り返しになると思うので、2点について指摘するので、持ち帰って、回答ください。
2,福島県内外及び国際的な汚染水に関しての世論はどのように認識しているのか。
●経産省自然エネルギー庁原発事故収束対策室;4月の政府方針決定。福島県の海洋放出への懸念・心配・安全性、風評被害を認識している。安全性の確保と風評被害に対して。
○センター;市民の中に入って,話をしていることは知っているが,59自治体の7割が反対という姿勢を崩していない。県の新聞2紙も風評対策の問題、
東電の提案者として資格があるのかどうか?柏崎刈羽での対応
汚染水の放出を30年やるから安心とはとても思えない。
県内は反対と,大きくとらえられるのではないか。
●経産省;民意、報道は承知しているが、声は,安全性の確保、風評を起こりうるのではないか,それをどう抑えられるのか,で心配や懸念を持っていると考えている。安全性や風評の心配を払拭することが何より大事と考えている
○センター;風評ではなく、漁業ができずに廃業するのは実害。火のないところに煙が立っているのではなく、火が実際にぼうぼう燃えている。火の元は燃料デブリ。その火元を完全に絶って,地下水を止水できているのであればまだいい。
実際には凍土遮水壁は去年から溶けていて、140tも入っていて、またパイプを埋め込む。そもそも対応が間違っていて,それをしないで,海洋放出をするなんて言うから,福島県民は安心できない。出水しているのはこうしてとめる。分離技術を開発や、等々を総合的に対応すべき。
一方的に流すだけ流す、それで魚が売れなくても冷凍庫つくるとか、方法論が間違っている。
いったん立ち止まって考えるべき。
いつまでたっても平行線。国税を投入するが、海底トンネルにいくらかかるか、聞いても言わない。費用負担に答えない。いわき市も立地自治体並みになっている。そこにきちんと説明もできない東電が信用されるわけはない。
しっかり持ち帰って,考え直すべき。
3,国際的世論に訴えるとの説明もあるが、これまでの海洋放出基準は「人を防護対象」としており、ICRP(国際放射線防護員会)が2023年タスクグループで「ヒト以外の生物種を対象とした新基準」を2029年勧告に向け作業を開始するとされることをどのように認識されているのか。
●経産省;海洋放出基準は国内の基準。ICRPの考え方では,人や環境の影響を考慮した上で考えられていると,その上で国内の基準を考えている。人および環境への影響も考慮した上で決定されているものと認識している。
○センター;放射線医学を専攻した。現場から離れて久しいが、2023年に向けて、人以外の生物を対象にした検証は始めている。新しい動き。そういう動きがあることを認識して検証すべき。
ICRPだけではなく、気候危機で海洋の流れ自体が変わることが予想されている。薄めれば良いと考えているが、海洋は大規模な環境に放出すれば大丈夫、というのは従来の考え方。海洋の塩分、温度差が減少して海流自体が減少される,今後希釈されずに福島沖にとどまる可能性もある。科学的検証を様々な立場から考えるべき。従来の考え方で、一定濃度以下なら大丈夫とはならない。
●経産省;気候変動は起こりうる話。ICRPは規制庁が主にフォローしている問題。ICRPの考え方の中にも人や環境への影響を考えている。タスクグループの詳細な議論は検討中議論中。人や環境を考慮するという大本の考えは変わらないと認識は変わらない。
○センター;当時の環境は,具体的な生物種のことは考慮されていない。一般的な環境でしかない。それをまさに生物種を想定してやろうとしているのが新たな検証。一般的な環境でしかないことを確認してほしい。
○センター;人と環境に考慮して,ではなく人以外の生物種を対象にしたICRPの勧告について,再度認識を明らかにしてほしい。瑞穂事務所に回答を。
●経産省;人だけ,を対象が問題、と指摘されているととらえたので,人だけではなく環境への影響を考慮していると回答した。
○センター;タスクフォースは規制庁が把握、とした。経産省としてどういう認識をしているのか,あじきさんの立場では?
●経産省;最新の規制の話に関しては,規制庁等とやりとりをした上で認識している。担当省庁とやりとりした上で、きちんと回答している。
○センター;把握をしていないと聞こえている。実際,タスクフォースは規制庁がやっている
●経産省;任せっきりの話ではない。ICRPのタスクグループは今検討中。環境を考慮に入れた上で検討している
○センター;ICRPがいう環境は生物を考えていない。広島長崎の人への影響を考慮して出されていたものだけ。一般論としての空気土壌とかの環境、それは人への影響もあるから。生物についての影響は入っていない。人以外の生物への影響が
○センター;再確認してください。
4,原子力市民委員会(座長・大島堅一龍谷大学教授)による「海洋放水」に代わる汚染水対策に関する提言(2021年)についてどのような認識をされているのか。
●経産省;これそのものの名前で公表されているものか?スタッフでは認識していない。
4月に出されているものについて言えば、モルタル固化,大型タンクでの保管、を提言されていると認識しているが、モルタル固化は体積が増える、加工する際に蒸発すると大気に漏れる,タンクの大型化は、そこに入れる容量は大幅に増やせず抜本的解決にならない。4月に提言されているものについて、今この瞬間、この問題を解決するには課題があって代替案にはならないと認識している。
○センター;場所がないと言っているが30年放水し続けると言っている,30年かけて解決する。施設の敷地は燃料デブリの置き場としても、燃料デブリについては解決のめどが立っていない,敷地の用途についても、大型タンク化は代替案にならないのか。
●経産省;タンクを大型化してもすごく用量を増やすことにならないので、抜本的な解決にならない,大型タンクの工事には時間がかかる。タンクを増やして保管できるほど、容量が増える訳ではない。
○センター;きちんと問題点はこうで代替案にならないと言うことを、明確に出してほしい
○センター;地下水の止水をきちんとする。いつまでたっても汚染水発生し続ける。早めにやる。海洋放出より止水を先にすべき。
●経産省;IEEAが提案している止水は将来的に向けた改題として止水を言っている,今この瞬間の課題として止水を行っているわけではない。止水することには課題がある,大規模な工事をするときに、近づいて作業することの難しさ、工事の壁を立てたとき,水が流れ込んで汚染水が返って増えてしまう、完全止水に問題点がある。
○センター;本末転倒。火事場泥棒のような話。
地質だって、ちゃんと調べていないと批判がある。
どこにバイパスを作るか、ちゃんと計画をする。止水のための長期、3年くらいのスパンで,完全止水のためのコンクリート壁もっと山側につくる提案もされている。それは難しいと切り捨てず,海洋放出だけ?簡単とは言ってもいくらかかるとは答えられないくらいかかる。数百億円か。
止水をきちんとしてください。
海洋放出すれば、太平洋で希釈しするから大丈夫というが、放射能プルームがあった。海洋学者は海の中でプルーム状になると言っている。出した瞬間にまぜこぜになって流れていくのではなく、プルームになって宮城沖から茨城沖を繰り返し行き来する可能性が言われている。
人以外の生物種の影響をやることは重要。
安全とは書けないはず。まだわからない。海洋プルームの挙動は、漁業者も納得していない。
対策室では頭に入れてやるべき。
○センター;2017年にICRPの報告書。生物種への影響を記載しているが、データを集めて、動物の生態を整理したもの。このレポートの考察は,断片的な考察の寄せ集めとしている。これから生物間の影響を考える。これを受けてタスクグループが検証している、評価しようとしているのは新しい動き。今、安全だと早急に談ずることはできない。
5,追記にあたり専門委員会を組織するとのことだが委員構成はどのように検討しているのか。
●文科省;専門委員会はない。作成協力者に協力をいただいている。
6,「放射線副読本」追記のスケジュールおよび財源についてどのくらいを想定されているのか。
●文科省;12/17に配布を開始している。全国の小中高校。生徒数分を直接学校に送付している。
財源は、印刷配布の経費、5100万円を計上。
文科省のHPには改訂分を掲載している。
○センター;いわき市で、前々回、前の室長の奥田さんとの意見交換会に参加。その時、奥田さんに海洋に流したらどういう影響があるかの論文をたくさんお渡しした。それは共有されているか。
●経産省;奥田へ渡した論文が何かはよくわからないが,そうした論文等は、フォローするようにはしている。
○センター;大丈夫だと言うだけではない論文を認識してほしい。1人の人間として猛烈に反省し,子どもや環境をどう守るかを必死で考え行動してきた。それ以上に原発推進してきたなたたちが反省し、その次にどうするかを考えるべき。それが全くないまま,当事者を無視して,大丈夫だからと事故前都同じことが起こっている。何で馬鹿にされなくちゃいけないのかと県民は怒っている。世界中が怒っている。ちゃんと認識してほしい。ご意見を伺う場ではなく,怒っている、反対していることを受け止めよ。
止水できないと、開き直られていても困る。それじゃだめだと声がたくさんあったのに、凍土止水壁を強行した。そこを反省すべき。
○センター;宿題の確認です
●文科省
・反省と教訓を考えているのか
・追記したことが問題ではないか
・人以外の生物種、海洋生物への基準があるのか
●経産省
・拡散されずにプルームとして流れることをどうとらえるのか。
・原子力市民委員会の提言についての意見をきちんと回答せよ。
○センター:今回福島県の状況を聞いて質問を書いた。それは、「希釈するから安全」は、嘘を書かれているとしか考えられない。
学校現場で活用し始める。教育に中立としながら、嘘としか言えないことを書かれていることに。怒りと安易な姿勢に厳しく批判をしたい。
宿題を書いていただき、前回も市民グループが全国で話し合いをしている。改めてやっていく。つくっただけでは済まない問題。
○センター;組織の一員として歯車として回答をしている。
子どもも守るという視点が欠けている。なんでも子どもの与えれば良いことではなく,子どもたちに考えさせる,そのことが将来世代に責任を担っている作業であるはず。