コロナ感染症の情報提供で市に提言、いわき市議会

　2月9日、いわき市議会は、いわき市長に「新型コロナウイルス感染症にかかる情報提供のあり方などについて」提言書を提出しました。

　提言書は、いわき市議会災害等対策特別委員会が新型コロナウイルス感染症対策として、市民への情報提供が対策の基本的事項であることから、調査・検討を行なってきたもので、このほど正副議長に報告され、本日、執行部側に提出したものです。

　大峯議長が内田市長に提言書を手渡した後、内容の「１市民の不安払拭につながる情報発信」「２これまでの感染事例等の分析を踏まえた予防策の発信」「３全庁一丸となった情報共有」についてを説明。内田市長が、クラスター公表基準の改定や感染事例の周知など感染防止対策に係る情報提供について現況を説明しました。

　提出には、議会側から佐藤副議長、坂本災害等対策特別委員会、執行部側から新設された感染症対策監も同席して、意見交換しました。

　以下に、提言書を掲載します。

提言書

　新型コロナウイルス感染症に係る対策等のため、日夜御尽力されている市長をはじめ多くの市職員に敬意を表します。

　議会においては、市民生活に甚大な被害をもたらす自然災害や、日常の生活習慣や経済活動にまで多大な影響を及ぼす感染症に対して、防災・減災・克災等の政策の調査・提言を行うことを目的に、令和２年12月定例会において「災害等対策推進特別委員会」を設置し、以来、鋭意検討を重ねているところであります。

　このような中、特別委員会では、昨今の新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、当該感染症の対策として特に検討を要すべき事項について、調査・検討を行ってまいりました。

　当該感染症の感染状況としましては、当局による様々な取組はもとより、医療従事者等の御尽力に加え、市民及び事業者等の皆様の御協力もあり、第５波を乗り越えることができたものの、現在はオミクロン株などにより感染が急激に拡大し、本市の指標でレベル４に達するなど第６波の真っただ中におり、市民の間で風評による誹謗中傷や差別が生じることが懸念されています。

　当該感染症については、状況も刻一刻と変化し、臨機応変な対策が必要でありますが、この度、特別委員会においては、市民への情報提供が、市民にとって対策の全てに関わる基本的事項であるという観点に立ち、情報提供の在り方に論点を特化し、提言をいたすものであります。

　当局におかれましては、クラスター公表基準や感染事例の周知等をはじめ、様々な感染防止に関わる情報提供を行っているところではありますが、今般、感染症対策監を新設され、感染症に対するさらなる体制強化を推進するに当たり、当該提言について、特段の御配慮をお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症に係る情報提供の在り方などについて

１　市民の不安払拭につながる情報発信

　市民における感染情報の捉え方は様々であり、風評等が拡散することで、誹謗中傷が生じるなどの事例が見受けられた。

　これまで本市における情報発信においては、市民の憶測などから生じた不安を払拭するために意を用いた情報提供は比較的少なかったことから、当該感染症に関して正しく理解し正しく恐れることで、市民一人一人が適切な行動を取ることが可能となり、かつ、正しい知識の定着・向上につながるような情報提供を行うこと。

　また、国等の最新の知見に基づいた有益な情報については、分かりやすい形で速やかに市民への情報提供を行うこと。

２　これまでの感染事例等の分析を踏まえた予防策の発信

　本市における第５波では、県内他市に比べて感染拡大後の収束が停滞するなど、これまでに経験のない深刻な事態が生じたことから、専門機関による遺伝子レベルの解析等も参考にし、感染の経路や分布の検証を行うなど、本市において感染が拡大した原因等を分析するとともに、これまでの知見・経験も生かした具体的な感染防護策について情報提供を行うこと。　　

３　全庁一丸となった情報共有

　感染対策の情報については、クラスターが発生した機関等の所管部署の職員に相談した際、情報共有・連携が取られているとは言い難い事例が見受けられたことから、今後は、保健所単体の対応とならないよう、庁内各所属職員においても所管に広く関連する情報を共有することで、市民・事業者等に対し、求められたときには市としての適切な助言を行えるよう心掛けること。

　特に、本市における第５波については、子供からの家庭内感染が主な要因であり、感染対策が困難な部分であったと捉えられている。第６波においてもこうした状況を踏まえ、保健福祉部をはじめ、こどもみらい部、教育委員会など、子供に携わる部署等においては、共通の認識を持って感染症対策に当たること。