東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う東電刑事裁判は、控訴審の第2回公判で、東京高等裁判所第10刑事部の細田啓介裁判長が、第1回公判で検察官役の指定弁護士が請求した裁判官による現場検証と新たな証人調べについて、「必要性がないため不採用」と決定。検察官役の指定弁護士は「原発の状況や津波の痕跡を認知することは必要不可欠」「審理に大きな禍根を残す」「憲法違反、決定を取り消せ」と異議を申し立てましたが、裁判長は棄却しました。
一方で、東京高裁・細田裁判長は、指定弁護士側が証拠採用を求めた書証のうち、長期評価の信頼性を認めた損害賠償請求の千葉訴訟の東京高裁判決文などは採用しました。東京高裁・細田裁判長は、採用した千葉避難者訴訟の住民勝訴判決から長期評価の信頼性を認めるべきです。
21年2月、千葉避難者訴訟について東京高裁(第22民事部 白井幸夫裁判長)は、東電と国の責任を認める判決を言い渡しました。この判決の推本の長期評価の信頼性と国の責任に関する判示部分は、刑事裁判の帰趨に大きく影響するものです。判決は、長期評価が法に基づき設置された国の機関である地震本部の地震調査委員会として公表されたものであることを正確に認定しています。このことから「推本の長期評価が、津波対策を基礎づける信頼性を有しているという前提に立ち、一審の誤った無罪判決を破棄し、被告人らに対する有罪判決を下すべきである」と海渡雄一弁護士は指摘しています。
6月6日の第3回公判では、指定弁護士側と弁護側双方が書証の補充弁論を行い、被害者も心情意見陳述を行って、結審する見込みです。
「呆れ果てても諦めない!」と、福島原発告訴団、福島原発刑事訴訟支援団は、この11年、様々な苦しみ、悔しさ、憤りを抱えながら、なぜ、取り返しのつかない原発事故が引き起こされたのか。真相を究明し二度と事故を起こさせないために、政府と東電に抗い、何度も立ち上がり、ともに手をつなぎ歩んできました。その結果、刑事裁判で明らかになった事実が民事裁判での最高裁勝利判決にもつながりました。
福島原発刑事訴訟支援団は、第3回公判ー結審に向けて、「東京高裁は被害者の声を聞け!長期評価の信頼性を認め有罪判決を!」と、4月5日正午、東京高裁前での意見書提出行動を行い、東京高裁に意見書を提出します。また、4月10日には13時半より郡山市のビックパレットで福島県民集会を開く予定で、皆様の参加を訴えています。
正念場です。力を出し合いましょう。
【東京高裁への意見書提出行動&東京集会】東京高裁は被害者の声を聞け!長期評価の信頼性を認め有罪判決を!
■日時 4月5日(火)
12:30~13:00 東京高裁前 アピール行動
13:00 意見書提出
14:30~15:30 院内集会
■会場 参議院議員会館・Bー104
【福島県集会】東京高裁は被害者の声を聞け!長期評価の信頼性を認め有罪判決を!
■日時 4月10日(日)14:00~15:30
■会場 安積綜合学習センター 集会室
*「福島県民集会」は、事前予約をお願いいたします。
連絡先:080-5739-7279
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