いわき市は、先ごろ、第三期水産業振興プランを策定し公表しました。
いわき市の水産業は、東日本大震災により水産業施設などが甚大な被害を受け、東京電力福島第一原子力発電所事故により、現在も多大な影響を受けています。沿岸漁業は、震災から10年後の令和3年3月にようやく試験操業を終え、本格操業への移行期間に入りました。沖合漁業は、再開後、首都圏への流通量が激減、海水温の上昇などの海洋環境の変化や水産資源の減少に伴い、主力魚種のカツオやサンマの漁獲量に激減、大変厳しい状況です。令和2年の漁獲は、数量 8,886 トン(平成22年の44.2%)、金額1,323,330 千円(平成22年の30.1%)となっており、震災前と比較すると大幅に減少しています。
この状況下で、プランは、「今後の本市水産業の復興及び振興のため、前計画に掲げた施策を総括し、課題の整理や新規施策の検討、さらに令和2年2月制定の『いわき市魚食の推進に関する条例』の趣旨を踏まえ、生産・流通・消費に関わる関係者で構成する『いわき市水産業振興協議会』の意見等を取り入れて、本市水産業の目指すべき姿とその実現方法」を定めたものです。
プランは、「魚食文化を守り、受け継ぎ、次世代につながる水産業を目指す」との基本理念のもと、令和4年度から令和7年度までを計画期間とし、基本理念の実現に向けて、「東日本大震災及び原子力災害からの復興」「水産資源の持続的利用と水産物の安定供給」、「本市漁業の特徴を活かした販売戦略の展開」、「魚食文化の継承と消費拡大」の4つの重点戦略とそれに対応する重点施策として「復興部門」などの4つの部門を設定し、水産業担い手の確保、魚食の推進等の施策を展開するとしています。
今後、生産者、加工・流通事業者、消費者など関係者市民と行政が一体となって、本市水産業の復興及び振興に邁進することが期待されています。