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理解と合意なき海洋放出、事前了解に同意しないで!工事中止を!福島行動

 5月25日午前、汚染水を海に流すな!理解と合意なき海洋放出設備工事の6月着工中止を求める!アクション福島行動が行われました。
 原子力規制委員会が、海洋放出計画の「審査書案」を了承し、6月17日まで1カ月間の意見公募を実施した後、7月にも正式認可する見通しという中で、東京電力は、計画認可後、福島県などが「事前了解願い」に同意すれば、本格工事に入り、来年春、放出を開始するとしています。現在も、漁業者をはじめ県民の放出反対の声を無視して、事前了解の必要のない場所から海洋放出の事前工事を進めており、多くの福島県民に不信感が広がっています。
 今後の本格工事の開始は、ひとえに福島県など自治体の同意にかかっています。
 福島行動は、夏日の日差しの照りつける福島市で、午前9時すぎから東京電力福島復興本社福島分室前のスタンディングを開始、さらに30分から代表による本格着工中止の5項目の「理解と合意なき汚染水海洋放出設備工事の中止を求める要請書」(下記掲載)を東電側に提出しました。
 要請では、事前工事の強行に抗議するとともに、5月13日の本社申し入れの際、福島の母親の「綺麗な海を残して欲しい」との訴えに、原子力センター所長が「約束できない」発言したことについて、原発事故の責任を顧みない住民無視として、取り消し謝罪するよう求め、『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会等との文書約束を守ることが先であり、強引に本格着工を強行するなと訴えました。
 10時30分からは、福島県庁で、危機管理部原子力対策課長に対し、要請書「あらためて福島第一原発汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解について」(下記掲載)を提出し、「福島県は、『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会との文書約束が守られない以上、理解と合意なき海洋放出の事前了解には同意しないこと」や「福島県は、政府と東京電力に対し、本件に関する説明・公聴会を県内及び全国で開催するよう求めること」など4項目の要請を行い、意見交換しました。
 東京電力と福島県に対しては、6月15日までの文書回答を求めています。
 その後、11時30分からは、県庁前でのスタンディングと県庁記者クラブでの記者会見が行われました。

 ●4つの要請項目についての原子力対策課長のコメントは、概ね以下の通りです。

1、事前了解について、福島県は、政府と東京電力による『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会との文書約束が守られない以上、理解と合意なき海洋放出の事前了解には同意しないこと。
 →約束は重い。引き続き、廃炉安全監視協議会などで約束を守るよう求める。処理水は、国としての責任ある取り組みを求める。

2、情報公開と放射線影響評価の見直しについて、福島県は、政府と東京電力に対し、放出する全放射性核種等の濃度、総量などの全情報を公開させるとともに、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮による放射能の蓄積とフィードバックの再評価など放射線影響評価と安全確認の徹底を求めること。
 →62核種以外の放射性核種の情報開示を求める。化学物質も含めて水質データを確認する。処理水が安全か、具体的な数字を確認する。

3、汚染水対策について、福島県は、政府と東京電力に対し、地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンク長期保管案やモルタル固化保管案など、汚染水対策の確立を求めること。
 →汚染水発生量の低減を引き続き求める。柴崎先生の考えも認識しており、国と東電にも伝えた。

4、本件の説明・公聴会について、福島県は、政府と東京電力に対し、本件に関する説明・公聴会を県内及び全国で開催するよう求めること。
 →小団体などに説明しているとの報告をは受けている。

 

●要 請 書
 あらためて福島第一原発汚染水の希釈放出設備等の実施計画変更に関する事前了解について

福島県知事             2022年5月25日
内堀 雅雄 様 

これ以上海を汚すな!市民会議  
共同代表 織田千代 佐藤和良
 

(要旨)
1、事前了解について、福島県は、政府と東京電力による『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会との文書約束が守られない以上、理解と合意なき海洋放出の事前了解には同意しないこと。
2、情報公開と放射線影響評価の見直しについて、福島県は、政府と東京電力に対し、放出する全放射性核種等の濃度、総量などの全情報を公開させるとともに、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮による放射能の蓄積とフィードバックの再評価など放射線影響評価と安全確認の徹底を求めること。
3、汚染水対策について、福島県は、政府と東京電力に対し、地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンク長期保管案やモルタル固化保管案など、汚染水対策の確立を求めること。
4、本件の説明・公聴会について、福島県は、政府と東京電力に対し、本件に関する説明・公聴会を県内及び全国で開催するよう求めること。

(理由)
 昨年12月、東京電力は、福島第一原発事故由来のタンク貯蔵汚染水を希釈した「ALPS処理水」の海洋放出設備について、原子力規制委員会に「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請を行い、福島県、大熊町、双葉町に対し、周辺地域の安全確保に関する協定に基づき、「事前了解願い」を提出しました。
 原子力規制委員会は、本年5月18日の定例会合で、海洋放出計画を審査した結果、「審査書案」を了承し、6月17日まで1カ月間の意見公募を実施した後、7月にも正式認可する見通しです。
 東京電力は、計画認可後、福島県などが「事前了解願い」に同意すれば、6月に本格工事に入り、来年春、放出を開始するとしていますが、現在でも、漁業者をはじめ県民の放出反対の声を無視して、事前了解の必要のない場所から海洋放出の事前工事を進めており、多くの福島県民が不信感を抱いています。
 今後の本格工事の開始は、いつにかかって、ひとえに福島県など自治体の同意にかかっております。
 翻って、事故から11年経っても、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。福島第一原発の廃止措置の完了形態は、法的に定められていないのに、政府は、「復興と廃炉の両立」の名の下、「廃炉を計画的に進める必要」「デブリ取り出し等に大きなスペースが必要」があるとして、昨年4月、汚染水の処分方法のみ、海洋放出と決定しました。
 これは、『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という政府と東京電力の福島県漁業協同組合連合会などに対する2015年の文書約束を反故にするものです。福島県内農林水産業・消費者4協同組合組織はじめ、福島県内自治体議会の多くが、海洋放出の反対・慎重の意見書を採択して、海洋放出に反対してきたことを無視する暴挙です。
 130万トンを超えるタンク貯蔵汚染水を、年間22兆ベクレルを上限に30年以上も福島県沖へ放出する計画は、トリチウムや炭素14を含め公表された64核種を、告示濃度限度以下に海水で薄めて流しても総量は同じです。放出水に含まれる全ての放射性核種の定量確認もしないまま、多量の放射性核種が福島の海に流され、そこにつながる太平洋が人工放射能で汚染されます。
 また、東京電力の「放射線影響評価報告書」は、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮は「1年以内で平衡になる」として、放出による放射能の蓄積とフィードバックを考慮せず、実施計画は、安全性の過小評価の疑念が残ります。
 5月18日には、福島第二原発で核物質防護規定違反がありました。これまでも、柏崎刈羽原発や福島第二原発でIDの不正入室事件やID紛失事件など核防護管理上、重大な逸脱が頻発し、東京電力は原子力事業者として著しく適格性に欠けています。
このような中で、政府と東京電力は、被害の発生を前提にして「風評対策」を公表していますが、約束を守らず、被災者にさらなる負担と苦悩を強いるもので到底認められません。
 私たちは原発事故の被害者・被災者として、福島県は、県民の反対または慎重対応を求める世論を尊重し、政府と東京電力に対し、『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会との文書約束を守らせるとともに、放出水の全ての情報公開、放射線影響評価と安全確認の徹底、汚染水対策の確立、県民に対する説明・公聴会の開催を求め、それが実現されるまでは、本件事前了解に同意しないよう、強く要請し、6月15日までに誠意ある回答を求めるものです。     
以上

●理解と合意なき汚染水海洋放出設備工事の中止を求める要請書

                             2022年5月25日
東京電力ホールデングス(株)
代表執行役社長 小早川 智明 様  

これ以上海を汚すな!市民会議  
共同代表 織田千代 佐藤和良
 
 昨年12月、貴社は、福島第一原発事故由来のタンク貯蔵汚染水を希釈した「ALPS処理水」の海洋放出設備等について、原子力規制委員会に「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請を行い、同年12月20日、福島県、大熊町、双葉町に対し、周辺地域の安全確保に関する協定に基づき、「事前了解願い」を提出しました。
 原子力規制委員会は、本年5月18日の定例会合で、海洋放出計画を審査した結果、安全性に問題はないとする「審査書案」を了承し、6月17日まで1カ月間の意見公募を実施した後、7月にも正式認可する見通しです。
 貴社は、計画認可後、福島県などが「事前了解願い」に同意すれば、6月に本格工事に入り、来年春、放出を開始するとしていますが、現在でも、漁業者をはじめ県民の放出反対の声を無視して、海洋放出の事前工事を進めており、県民の不信感が広がっています。
 翻って、事故から11年経っても、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。福島第一原発の廃止措置の完了形態は、法的に定められていないのに、政府は、「復興と廃炉の両立」の名の下、「廃炉を計画的に進める必要」「デブリ取り出し等に大きなスペースが必要」があるとして、昨年4月、汚染水の処分方法のみ、海洋放出と決定しました。
 これは、『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という政府と東京電力の福島県漁業協同組合連合会などに対する2015年の文書約束を反故にするものです。福島県内農林水産業・消費者4協同組合組織はじめ、福島県内自治体議会の多くが、海洋放出の反対・慎重の意見書を採択して、海洋放出に反対してきたことを無視する暴挙です。
 130万トンを超えるタンク貯蔵汚染水を、年間22兆ベクレルを上限に30年以上も福島県沖へ放出する計画は、トリチウムや炭素14を含め公表された64核種を、告示濃度限度以下に海水で薄めて流しても総量は同じです。放出水に含まれる全ての放射性核種の定量確認もしないまま、多量の放射性核種が福島の海に流され、そこにつながる太平洋が人工放射能で汚染されます。
また、東京電力の「放射線影響評価報告書」は、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮は「1年以内で平衡になる」として、放出による放射能の蓄積とフィードバックを考慮せず、実施計画は、安全性の過小評価の疑念が残ります。
 5月18日には、福島第二原発で核物質防護規定違反がありました。これまでも、柏崎刈羽原発や福島第二原発でIDの不正入室事件やID紛失事件など核防護管理上、重大な逸脱が頻発し、貴社は原子力事業者として著しく適格性に欠けています。
 このような中で、政府と貴社は、被害の発生を前提にして「風評対策」を公表していますが、約束を守らず、被災者にさらなる負担と苦悩を強いるもので到底認められません。
 5月13日、私たちは原発事故の被害者・被災者として、貴社の本社へ申し入れました。そこで、福島の母親が子どもたちのために「綺麗な海を残して欲しい」と訴えたのに対し、原子力センター所長は「約束できない」と発言するなど、原発事故の責任を顧みない住民無視の企業意識が現れ、参加者から怒りの声が上がりました。
 貴社は『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会等との文書約束を守ることが先であり、このまま強引に本格着工を強行すれば将来に大きな禍根を残します。以下、工事の中止を強く要請し、6月15日までに誠意ある回答を求めるものです。   
  
  記

1、海洋放出設備工事の本格着工について、福島第一原発事故及び汚染水発生の原点に立ち返り、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする政府の福島県漁連等との文書約束を守り、理解と合意のない汚染水海洋放出設備工事の本格着工は中止すること。
2、情報公開と放射線影響評価の見直しについて、放出する全放射性核種の濃度、総量などの全情報を公開するとともに、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮による放射能の蓄積とフィードバックを再評価して、原子力規制委員会に補正申請書を提出すること。
3、汚染水対策について、地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンク長期保管案やモルタル固化保管案等の検討など、汚染水についての抜本対策を早急に確立すること。
4、本件の説明・公聴会について、福島県内はじめ全国で本件の説明・公聴会を開催すること。  
5、原子力センター所長の発言について、5月13日の申し入れでの「綺麗な海を残して欲しい」との訴えに対する原子力センター所長の「約束できない」との発言は、原発事故の責任を顧みない発言として、取り消し、謝罪すること。             
以上

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by kazu1206k | 2022-05-25 17:01 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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