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核燃料再処理計画の中止、先制不使用支持宣言と非核三原則の法制化を求め、CNIC声明

 原子力資料情報室は、このほど、声明「 橋を渡す前に日本にはすべきことがある ―使用済み核燃料再処理計画の中止、先制不使用支持宣言と非核三原則の法制化―」を公表しました。
 日本は、核保有国と非保有国の間の橋渡し役を自認し、さまざま取り組んできたが、6月に開催された核兵器禁止条約(TPNW)の第1回締約国会議に参加しませんでした。
 声明は、「核をめぐる緊張緩和のためには、日本は橋を渡す以前にすべきことがある。それは日本が進めている核兵器に転用可能なプルトニウムを取り出す使用済み核燃料の再処理計画の中止と、米国による核兵器の先制不使用宣言の支持、それに非核三原則の法制化だ。」「ウクライナ情勢をめぐり、核戦争すら否定できない状況だ。だからこそ、核兵器廃絶にむけて積極的に行動する必要がある。唯一の戦争被爆国であり、福島原発事故という未曽有の被害が起きた日本は、核兵器廃絶はもちろんのこと、TPNWでも認められている核の平和的利用をも拒絶する、核エネルギーに依存しない世界を創造する倫理的責務を負っている。橋渡し役を称するのであれば、まず日本から始めるべきだ。」と指摘しています。


【原子力資料情報室声明】
橋を渡す前に日本にはすべきことがある ―使用済み核燃料再処理計画の中止、先制不使用支持宣言と非核三原則の法制化―

2022年6月23日

NPO法人原子力資料情報室

 核兵器禁止条約(TPNW)の第1回締約国会議が2022年6月21日~23日に開催されている。TPNWは核兵器を禁止するという極めて画期的なものであり、これまで「究極的核廃絶」を訴えてきた日本政府はもろ手を挙げて賛成するべき条約だ。しかしながら、日本政府は、これまでTPNWに批准するどころか、第1回締約国会議に参加すらしなかった。核兵器をめぐる現実を変えるためには核兵器国の協力が不可欠だが、TPNWには核保有国が一か国も参加していないからだというのが主な理由だ。

 これまで、日本は核保有国と非保有国の間の橋渡し役を自認し、さまざま取り組んできた。そのこと自体は評価される点もある。しかし、核をめぐる緊張緩和のためには、日本は橋を渡す以前にすべきことがある。それは日本が進めている核兵器に転用可能なプルトニウムを取り出す使用済み核燃料の再処理計画の中止と、米国による核兵器の先制不使用宣言の支持、それに非核三原則の法制化だ。

 日本は46.1トン(2020年末現在)のプルトニウムを保有している。非核兵器国中、最大の保有量だ。IAEAは 1個の核爆発装置の製造の可能性を排除し得ないプルトニウムの量を8kgとしていることから、現在、日本が保有しているプルトニウム量だけで、原爆 5,800個分以上に相当する。これほど大量にプルトニウムを保有しながら、さらに2022年度上期までにプルトニウムを最大年間8トン(1,000個分相当)取り出すことが可能な六ヶ所再処理工場の竣工を計画している。使用済み核燃料の再処理技術は核兵器製造にも転用可能な技術である。それを日本が保有していること自体、諸外国に日本の核兵器開発能力についての疑念を抱かせる。大量にプルトニウムを保有する中でさらに、プルトニウムを増やそうとする行為はその疑念に拍車をかけることにつながる。

 一方で、北東アジアに目を向けると、中国が使用済み燃料再処理工場を建設中、韓国が研究開発中だ。日本の再処理技術への固執自体が、近隣諸国への再処理技術拡散を触発している現実を直視しなければならない。さらにはウクライナ危機で、核関連施設への攻撃が現実のものとなった。もし日本で戦争が起これば、核兵器の原料を生み出す再処理工場は、敵国の格好の攻撃・占領目標となるだろう。

 米国が検討していた核兵器の先制不使用(NFU)とは、どのような状況でも核兵器を先に使わないという方針のことを指す。仮にすべての核保有国がNFUを採用すれば、どの国も自国から核攻撃をしないことになる。米国が一方的に採用したとしても、核戦争リスクは大幅に削減される。つまり、NFUは核廃絶に向けた大きな一歩である。

 NFUはこれまでも何度か検討され、その度に様々な理由から見送られてきた。その大きな要因は、同盟国の反対、なかでも日本のそれだ。米国では、核兵器開発能力を持つ日本が米国の抑止力に不安を持つと、核武装する可能性があると指摘されてきた。

 だが、日本が今、使用済み燃料再処理計画の中止と、米国の核兵器の先制不使用支持を宣言し、非核三原則の法制化を行えば、諸外国の疑念を払しょくし、究極的核廃絶にむけたきわめて強い後押し要因となることは間違いない。

 ウクライナ情勢をめぐり、核戦争すら否定できない状況だ。だからこそ、核兵器廃絶にむけて積極的に行動する必要がある。唯一の戦争被爆国であり、福島原発事故という未曽有の被害が起きた日本は、核兵器廃絶はもちろんのこと、TPNWでも認められている核の平和的利用をも拒絶する、核エネルギーに依存しない世界を創造する倫理的責務を負っている。橋渡し役を称するのであれば、まず日本から始めるべきだ。

以上












by kazu1206k | 2022-07-12 21:07 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k