7月15日、衆議院第一議員会館で「原発事故避難者住まいの権利裁判追加提訴 715決起集会」が開かれました。
集会は、経済的理由などで退去できなかった国家公務員住宅に区域外からの避難した避難者が、毎月送られてくる「2倍家賃」の請求書、期限を付き立ち退き通告書、親族宅への圧力など、2年以上にわたる福島県の執拗な攻撃に耐えかねて、東京地裁に精神的損害賠償を求めて提訴した裁判の第1回口頭弁論が、7月25日(月)13時30分、東京地裁103号法廷で開かれることから、支援者の傍聴で大法廷をうめ、原告を支えていこうと開かれたものです。
避難者が何故、精神的賠償請求に訴えるしかなかったのか、裁判の論点を参加者と共有して社会に広げていこうと、約50人が参加。支援する会の経過報告、ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)と県の交渉の経過報告、弁護団から裁判提訴の論点が説明されました。
ひだんれんは、これまで区域外避難者の住宅無償提供打ち切りの撤回を求める運動を展開。この問題は避難者の住まいの権利を確立するものとして、国や福島県と交渉を続けてきましたが、国も県も要請や提言は一切聞き入れず、裁判に訴えて避難者の追い出しをはかるところまで突き進んできた経過があります。
人権を蔑ろにする福島県を訴えて住まいの権利を問うこの裁判は、避難者の人権について真っ向から闘いを挑むものとなります。
集会には、連帯のメッセージが寄せられ、最後に集会アピール「今こそ人権の旗を掲げて手をつなごう」が読み上げられて、7月25日の第1回口頭弁論に臨む決意を共有しました。
●7月25日(月)12:30 東京地裁前集合
東京地裁103号法廷
住まいの権利裁判 7.15集会アピール
いまこそ人権の旗を掲げて手をつなごう
突然の原発事故によってふるさとを奪われ、避難先でかろうじて命をつないでいる人々の住まいを、公権力が強制的に奪う。そんなことが、21世紀のこの国で許されるのか。東京・埼玉の国家公務員宿舎に住んでいる11名の避難者訴訟が、私たちに問いかけています。
毎月送られてくる「2倍家賃」の請求書、期限付き立ち退き通告書、親族宅への圧力。2年以上にわたる福島県の執拗な攻撃に耐えかねて、東京地裁に精神的損害賠償を求めて提訴した裁判の第1回口頭弁論が25日 (月 )に始まります。福島県はこれを逆手にとって、立ち退きと「2倍家賃」請求の提訴議案を6月定例県議会に提案、議会は可決しました。これを受けて原告・弁護団は6月29日 、いずれもその義務がないことを確認する訴えを追加請求、全面的に闘う態勢を整えました。
原発事故は、何の落ち度もない人々の日常生活を破壌し、住まいを奪い、ふるさとを壊し、人生設計も粉々に打ち砕きました。あらゆる人権が踏みにじられたのです。国は、その責任を認めようとしないばかりか、未曽有の被書に蓋をし、無かったことにしようとする政策を進め、福島県もこれに追随してきました。生存権に関わる住まいの保障の打ち切りを、あたかも一般の賃貸契約であるかのように装い、強硬に遂行 しようとしているのです。
2017年3月の福島県による一方的な住宅提供打ち切りは、多くの避難者の命と生活を脅かしました。父親との別居を悲 しんで命を絶った高校生。これを悔やみ精神を破壊された父親。家族間に生じた溝に耐え切れず、公園の木の枝に身を預けてしまった母親。数知れぬ2次被害、私たちはこれらの悲劇を忘れることはできません。
憲法は、健康で文化的な生活の保障を国の最大の義務と定め、子ども被災者支援法は被害者の住まい、生業の確保を国の責務と規定しています。国際人権法は、国内避難民である原発被害者の住まいの強制退去を禁じています。これらの全てに目をつぶって強行されようとしている「追い出し」は、断じて許すことはできません。
幾多の苦難の末に築き上げてきた人権保障の枠組みを、権力によつて、いともたやすく踏みにじろうとする動きに抗して、今こそ人権の旗を高く掲げて、声を掛け合い、手をつなぎましよう。私たちは、その温もりの力によって、歴史の逆転に歯止めをかける決意を確認 したことをここに宣言します。
2022年7月15日
福島原発避難者の住まいの権利裁判 7・15集会参加者一同