8月17日午後、全国都道府県の自治体議員でつくる、福島原発震災情報連絡センターと「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟は、「原発事故被災者支援施策等の改善を求める政府交渉」を行いました。
福島原発事故は終わっておらず、いまだ多くの被災者が、理不尽な避難生活を強いられています。センターは、原発震災で放射能汚染と被曝を強制される人々の生存権を守るため、2012年の発足以来、被災者に寄り添い、いのちと健康を守るための諸活動を続けており、毎年この時期に、次年度の予算要望を行ない、各省庁交渉を行ってきました。
今年度も、来年度予算への反映をめざし、7月29日付け提出の「原発事故被災者への支援施策等の改善を求める要請書」(下記に掲載)で要請した9項目について、関係7省庁(21人)による回答を受けた上で、原発事故被災者支援施策等の改善を求めたものです。
まず、共同代表の佐藤和良いわき市議より、要請書を読上げて、復興庁の担当者に手交しました。交渉には、窓口になっていただいた山崎誠衆議院議員はじめ被災当事者や関係団体などの皆さんも参加しました。
このうち、放射線副読本の2021年改訂版に、新たにALPS処理水の説明を盛り込み、「誤った情報に惑わされないために。誤った情報を広げて苦しむ人を出さないために」とする復興庁チラシ「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」が折り込まれた問題では、山崎誠衆議院議員から「世界で流していると書いているが、どこで流しているのか。福島と同じアルプス処理水を流している国を教えてください」という鋭い質問に復興庁職員も「ないです」と回答、山崎誠衆議院議員は「では完全に嘘を書いている」と指摘しました。
誤った情報を公教育の場に流していることは許されません。今や復興庁チラシの「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」は回収しなければならない事態です。
9項目のやりとりの概要は、以下の通りです。
1.避難者の実態調査と支援策について、事故から11年を経て、避難者の実数や生活実態調査をあらためて行い、当事者に加え、避難先自治体や支援団体から丁寧に意見聴取し、避難者のニーズを的確に把握するとともに、適切な支援策を充実させること。
【復興庁】避難者数は公表している。ニーズ把握に努めている。福島県の生活再生拠点は20件に減少。東京と沖縄で意見を聞く会開催。私自身も出席。必要な支援を引き続き実施していきたい。
●全国避難の会(大賀):新潟に避難。福島県設置の20拠点に減っていて、2−3ヶ所では福島県内の団体によって「連携復興センターの連絡先があって、こちらに電話してくださいとなっている。福島県内の団体に相談してどう解決への道筋があるのか疑問を感じている。支援団体の支援者の方から福島県、復興庁に要望することはあると思うが、生の声を含めて広く聞いていく機会は非常に少ない。オンラインなどもあるのに非常に残念。実数調査、千何百人も不明として、避難者統計から外すのはどうか。ゼロにするのは避難者数減らしで疑問に感じる。オンラインで声を聞いてほしい。
【復興庁】いただいたご意見は福島県に報告。市町村の数の立ち上げ、そこにいないのは市町村から除いて報告するようにと。直接伺っている。オンラインも含めて聞いている。全国に3.5万人いるので難しいが、引き続き声を聞いていきたい。
●山崎議員:支援拠点で話を聞くというが、来られないくらい困っている人はたくさんいる。支援にアクセスできない方が困っている。調査をしっかり、対応を考えていただきたい。来年度に向けて要望する。
2.失業状態の継続、非正規就労による生活費の不足など、経済的困難に陥っている避難者が多いことから、従前の就労支援策の問題点を検証の上、避難先において避難者の従前のキャリアを活かせる就労機会の提供等の実効的な就労支援策を実施すること。
●避難の協働センター(瀬戸):2020年に早稲田大学辻内先生の6,000人の調査では、37%失業、44%経済的に困っていることが明らかになっている。国家公務員住宅で追い出し、避難先で警備員、清掃、軽作業という仕事しかない。相談だけではなく、どうやって問題解決を図るかのリソースを考えなくてはならない。
PTSDが4割を超える。就労のマッチング、就労支援プログラムを提供するなど、具体的な支援を。
【厚生労働省】各種事業を実施している。県外被災者全国のハローワークにおいて、きめ細やかな職業紹介。大都市圏、避難者多い県は専門的な係で福島への帰還支援も行っている。福島労働局、支援協議会で技能講習会、説明会、資格、職場体験、求人開拓、雇用確保セミナー等サービスを講じている。
●避難の協働センター(熊本):避難者、就労支援に関しては、実際には避難者向けの情報などで仕事がみつかったというのは、資格を持っていた人。資格を持たない人の就労は依然として厳しいまま。職場が遠い、見つからず、非正規で収入低い、10万/月の人も。帰還しない人、避難することも認めてほしい。土壌汚染、就職、就労機会も人口減で見込めない。
【厚生労働省】貴重なお話ありがとうございます。避難者だけの問題だけではない。非正規が多い、資格のない人が就職できない。全国で非正規で困っている人が多い。労働省と非正規支援、賃上げ、全体として取り組んでいかなくてはならない課題。地域課題対策課と県内の雇用を増やそうと別の事業でやっている。
3.避難先自治体の行政職員、社会福祉協議会職員等の連携、戸別訪問等により、生活困窮者を早期に発見して必要な生活支援を行うこと。
●避難の協働センター(瀬戸):この通りにしっかり連携してやってほしい。練馬で避難者支援連絡会、コロナ禍で復興支援員も訪問を止めている。避難者も訪問をいやがることが長く続いた。生活が苦しいけど、避難者であることを言わなくなっている。避難者に対しては違う事情がある。孤立への状況など、具体的に個別訪問の再開などをやらないと、どんどん埋もれていってしまう。2年間で急速に避難者の姿がみえなくなっている。
【厚生労働省】生活困難者支援担当。被災に関係になく、生活困窮者自立支援制度がある。加えて、被災者に特化した支援、被災者見守り支援事業。窓口一つで網羅的に支援できることではないから、連携して支援取り組みを。
●震災センター(片山):自治体はあまり一生懸命やっていないので、把握を。
4.経済的困難にある避難者に対し、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づく家賃補助と同様の制度設計で、家賃補助の再開、公営住宅に単身世帯でも入居できるよう入居要件を緩和すること。民間住宅を公営住宅とみなして入居できるようにすること。住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティーネット法)に基づく、賃貸住宅の所有者に対する助成、一定の要件を満たす原発事故の被災者向けの住宅に対しても行い、低廉な賃料による賃貸住宅を提供すること。
●避難の協働センター(瀬戸):住宅支援が打ち切られた問題。状況を見て来た。あまりにも杜撰。都の委託先の団体がきて、ただ紹介して終わり。初期費用が払えないなど、30万円貯められない。紹介したのに受け入れられなかったと。入居要件外になる。リソースをたくさんつくる。長期的な補償をするということを実行しなかったこともあるとしても。高齢住宅の入居要件を緩和するなど、避難者には適応するなど、尼崎など応用している。民間を借り上げ、低廉な費用で住めるなど。家賃補助はやらなくてはいけないと前厚労省大臣も言っていた。居住貧困の問題は深刻。ネットカフェで暮らす家を失った人はどれだけいるか。非正規で住宅さえ借りられない。
●避難の協働センター(熊本):避難の恊働センター2018年に交渉。罹災証明書があればいいと国交相の職員がいた。私の知り合いでは持っている人にはいなかった。特定入居要件にあるのだが、罹災証明書は原発避難者にはない。2011年に既にあった政令、原発避難ある。罹災証明は家が壊れることが条件。家が壊れない原発事故への法的な検討がされていない。災害救助法が規定している狭い避難ではなく、全国に及ぶ避難への対応。母子避難で家族が分離することへの対応、半減期が30年という長期にわたる事故への長期にわたる住まいの確保、それに応えるものがなければならない。裁判をおこさなくてはならないことではないことを要望。
【国土交通省】公共団体への取り組みに国が支援する仕組み。公共団体の判断。地域優良賃貸住宅、セーフティーネット登録住宅も始めている。単身世帯でも入居可能。地域の実情で条例で規定されるとなっている。借り上げ公営住宅も可能。公共団体と協力して居住の安定を図りたい。
【国土交通省】公営住宅の特定入居について、基本的には住宅を失っている人対象が立て付け。自主避難者に一応に適応するのは困難。自主避難者の住宅確保H26.6、優先入居、避難元に住居があっても可能。離れて暮らしている家賃査定1/2入居の円滑化に関する通知を出している。円滑化区域については、3月に公共団体に向けて発出して問題提起をしている。
●避難の協働センター(熊本):厚労省で尽力してくれた方には感謝。現実に解決に至っていないことが問題。該当しなかった人が怒っている。60未満の単身者、優遇できる要件に合わなかった。子どもが20歳を過ぎていた。多子世帯一人でも要件に合わなければ602世帯 募集は300世帯、実際入居は142世帯。いまだに安定した住まいが見つからない人が大勢いる。数としては多くはないので、きちんと対応を。
●避難の協働センター(松本):具体的にどのような通知をしているのか
【国土交通省】メールを送って終わりではなく、公営住宅に勉強会、通知の説明を行なっている。
●避難の協働センター(松本):困っている人が通知を見ているか。帰還を前提にしているが、もう帰れない人。
11年経って、復興庁、厚労省が何をして来たのか。帰れない人がたくさんいる。公共団体に、ハローワークに丸投げ。避難者はコロナ禍で就職もできずに困難になっている人がいるのに、非正規雇用で生活している人たちのことを本気で考えているのか。支援団体、自治体に丸投げ。原発というのは50数基ある。また事故が起これば同じことが起こるのか。戻れない人の住宅を奪わないでほしい。丸投げはやめていただきたい。
【国土交通省】ご意見としては承るが、避難している人、H26年6月1日の通知に則って、公共団体に円滑化に支援をお願いさせていただいている。
●山崎議員:全く動いていない。それに対して松本さんもいっている。入れない方に2倍請求。それに対してなんとかしてほしいというのか今回。今までの繰り返しでは解決できない方が残っている。そこのご検討をお願いしたい。
コロナ禍での貧困に避難者が埋もれてしまっている説明に聞こえた。大事なことは11年経っても原発事故は続いている。その方々にどう対応するのか、特別に切り出していただきたい。来年度の予算にどう反映するのかが問題。どの事業を充実させるのかを考えていただきたく、肝に銘じておかえりいただきたい。
●避難の協働センター(瀬戸):初期費用の支援給付金を出している。民間団体が給付金を出して転居してもらう。避難者がなぜ、国家公務員住宅を出て新しい住宅に行ってほしい中、どんな対策を講じる必要があるのか、個別把握が必要。調査で、どんな特例制度が必要なのかが明確になる。支援団体は民間の寄付金でやっている。通知文書の効力はない場合が多い。扶養照会でよくわかっている。もう時間がない。
5.広域避難者支援について、支援団体への補助金削減や打ち切り等により、多くの団体が存続の危機にあり、団体スタッフの雇用が継続できない状況にある。災害ケースマネジメントの先駆けとして、次の災害に教訓を引き継ぐためにも、避難者支援を行う民間支援団体への助成等の公的支援を打ち切るのでなく、継続と充実をはかること。
●避難の協働センター(瀬戸):全国の相談拠点から訴えてほしいとの声。来年からNPO存続はできない。帰還生活支援補助金、臨時雇用職員とアルバイトのみ。専従の人件費がでない。機関紙の発行は支援の対象外。自由行動は原則不可。交流会の飲食代も上限200円、飲み物だけ。補助金が打ち切られ、活動継続ができない悲鳴が届いている。避難先で早期発見、必要な支援を行うと、民間の支援団体の補助金を打ち切って、だれが見守りをするのか。
【復興庁】来年度の予算要求について、復興支援総合交付金の枠組み、支援団体の話を伺い、福島県の中が厳しくなっている。被災者のためであり、団体存続のためではないので、お気をつけいただきたい。
●避難の協働センター(瀬戸):おかしくないか。26の相談拠点と連携してきた。避難者の交流会とか委託事業としてやってきたんでしょ、なぜ避難者の団体としての話になるの。
【復興庁】団体の存続のためではない。
●避難の協働センター(瀬戸):営利事業としてやっていない、避難者が孤立しないよう、交流会、ニュース
避難者支援のために作った団体でしょ。2022年2億7400万だったと思うが、
【復興庁】全体では100億、地方公共団体からの要求で出している。公共団体におまかせしている。適切に運営していると理解している。要望は福島県とシェア。
●避難の協働センター(瀬戸):職員の人件費はカットされると説明を受けている。現状の説明だと言われている。ちゃんと把握してくださいよ。避難者に寄り添っている支援団体の人たちの雇用がなぜ守れないのか。
●震災センター(片山):詳しいことを把握されていないのでは。
【復興庁】把握しています。福島県からも伺っています。福島県とのやりとりは控えさせていただきます。条件が厳しくなっていることは誤解があるのかと。
●山崎議員:福島県とどんな関係をつくっているのか。福島県ができないときは国が表に立って。福島県がやってるんだけど困りましたね、としか聞こえない。団体が成り立つベースがあって支援が成り立つんじゃないの。存続の危機だと言われていることを真剣に捉えていただかないと、支援できなくなりますよ。
【復興庁】必要な支援のために団体があるわけで、生き残るためにお金を用意しましたではない。
●避難の協働センター(満田):避難の恊働センター。公がやることを支援団体が身をすり減らせてやってきた。支援団体が存続できなかったら、支援できない。必要があるから公がやるべきことをやっているんじゃないか。できなくなったらどうするのか。状況把握もされないまま、補助金を打ち切って。
【復興庁】誤解があったら申し訳ない。理解不十分な部分もあるのかも。現場で話を聞き、勉強させていただきたい。支援団体の話も伺いながら考えていきたい。
6.原発事故の損害賠償について、国及び原賠審は、確定した各控訴審判決の内容の調査・分析にとどまらない、原子力損害の実態についての広範かつ十分な調査と評価を行い、迅速に結果を公表し、調査結果を踏まえた中間指針等の改定を行い、被害者の救済に取り組むこと。
●震災センター(佐藤):判決の前に中間指針の見直しが要望であるにもかかわらず、原陪審の致命的な欠陥体質。迅速と言っても遅きに失している。
【文部科学省】公平中立な議論いただくものと。
●避難の協働センター(村田):判決の分析は必要だが、少なくとも原陪審は指針を下敷きにして行われている。最終的に2014年、帰還困難区域の追放が最後、その後全く触ろうとしなかった。避難指示区域外の賠償について、賠償とは言えない金額しか出ていない。2011年8月に出した指針が残念ながら生きている。2011年は避難の実態もない中で作ったもの。出た判決の分析をずるずるとやっていては困ります。
【文部科学省】8月8日57会審査会、賠償すべき損害の範囲、金額考え方が異なっている。審査会では、専門委員の調査分析がおこなわれている。次回の審査会で報告をしっかりやりたい。次回はまだ伝えられない。
7.「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」について、子どもたちや実施団体に寄り添った事業改善と事業費増額を図り、県外民間団体による事業への補助制度を充実・整備すること。
【文部科学省】体験活動の重要性は認識、活動減少も。福島県とも連絡取り合いながら、のべ42万人が体験活動に参加。震災を改めて学ぼう、人材を育てよう。趣旨を見直しながら県も取り組んでいる。民間団体への補助、意見交換はしているが、県の意向は計画に関しても団体と丁寧にやっている。県内の学校と団体対象。福島県の意向で、今年去年は市外への支援はない。
●震災センター(松谷):社会的行動制限をやらないという国、静岡で2泊3日、参加者を絞って2世帯枠で2回、4世帯やった。応募が前期8、後期11世帯と応募があった。選ぶのに議論した。母子、障害を抱えている世帯を選んだ。需要がある。低線量。放射能のないところで自然体験をさせたいという要望。そこを開く方策を検討していただきたい。県外の基準など。
●FOEジャパン(矢野):コロナのために発足した事業だが、保養団体にアピールした。2万1000ベクレルから5万ベクレル安全だと言われても、そこで子どもを育てている親にとって、安全だと言えないそれぞれ。たくさんの民間がやっている保養は、本来国がやるべきことではないかと。自分勝手で出て来ている親ではなない。県外の保養団体にも支援を。2014〜15年アンケート結果では234団体の内107団体から返答があり、9000人の子どもが県外に。1人7万円かかっている。
【文部科学省】県のリソース、文科省でれきる範囲を見極めていくことが必要。自立支援プロジェクト活用もありがたい。またお電話させてください。色々聞かせてください。
●震災センター(松谷):自然体験の放射能支援のノウハウ、体験、学ぶ、積み重ねが大事。中断すると再開が難しい。継続し、放射能の怖さがなくてやれること。支援を考えてほしい。
8.リアルタイム線量測定システムの配置について、廃炉作業完了までの予算措置を確実に講ずること。
【原子力規制庁】来年度当面維持する。線量計、子どもたちが利用する場所に。モニタリングは今後も進めていく。
9.2021年度改訂版の放射線副読本について、これまでも再三指摘している通り、福島原発事故による汚染の深刻さなどの記載が無くなり、被ばく線量と健康影響との関係に関する記述についても「安全神話」に基づく一方的かつ一面的なものである。文科省は「専門家の検討を踏まえた」ことを強調するが、「3.11」原発事故前に「専門家」によって確認された副読本の記述が間違っていたことは明らかであり、その反省が活かされていない。さらに、地元の多くの自治体・市民や全国の漁業関係者の反対を押し切って強行されようとしている汚染処理水の海洋放出についても、その安全性を一方的に強調する資源エネルギー庁・復興庁のチラシが副読本とともに教育現場に押し付けられているが、異論や反論、課題などの情報が示されないのは科学的公正性を欠く。教育現場は政府の政策を押し付ける場ではない。このような副読本やチラシは撤回・回収すること。
●震災センター(中山):2011年以前の副読本が全国に安心神話を広げていた。汚染処理水が安全だと副読本に加えてチラシを挟み込むことを教育現場に。仮に理論上が安全だったとしても、3.11以前も理論上の安全をもとに行われ、安全を担う東電が言う安全神話を強調する副読本等を子どもたちに押し付ける。政治的主張を押し付ける場ではない。考えることを教える場。
【文部科学省】エネルギー、放射線、環境問題、認識を身に付けることは重要。放射線の専門家、教育現場、副同本で科学的な理解を深めることの一助となることを期待。撤回、回収は考えていない。
【復興庁】風評の対策担当。チラシについて、回収はかんがえていない。アルプス処理水の風評を防ぐために、科学的根拠に基づく情報を幅広い児童を対象におこなった。
【経済産業省】アルプス処理水、科学的根拠に基づいて発信することが大事。現時点では回収は考えていない。
●震災センター(佐藤):それだから間違っているんだといっている。風評風評とおっしゃるけれど、漁業が成り立たなくなるのは実害。トリチウムほか何核種入っているかわからない。科学的根拠というのは真っ赤なうそ。押しつけの根拠だ。実際には、放出水の放射性核種は2ヶ月前にしかわからない。どう理解と合意を進めるのか。理解と合意もないまま工事だけ始めたが、文書で国も東京電力も「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」といっている。理解と合意なしに進めるのは民主主義を逸脱した行為だ。聞けば聞くほど科学的根拠ではないことがわかってしまう。東電の海洋放出の環境影響評価自体が間違っているのではないか。実際に放出された核種が蓄積されていく。それが1年で平衡になるというのが根拠、本当に1年で平衡になるのか。それは難しい、実際は実害が起きますよ。
復興庁チラシの「誤った情報に惑わされないために。誤った情報を広げて苦しむ人を出さないために」というのは、そっくりお返しします。「ふざけるな」という状態。市民は。これは自治体も議会も市民も一緒。強く言っておく。県内はストップしているところが多い。強行すべきではない。民主的な手続きを踏むべき。何でも閣議決定すれば済むものではないということを再確認しておく。
●震災センター(中山):子ども被災者支援法第1条に何が書いてあるか。「放射線が及ぼす影響は、未解明な部分が多い」3.11前も間違っていたでしょ。5重壁で守られている。絶対事故は怒らないと言っていた。どう反省が生かされているのか。机上の空論ではOKであっても、担うのは東京電力。皆さんが言っていることには根拠がない。そのことを指摘したい。
【復興庁】貴重な意見として承る。チラシの内容は、トリチウムは自然界にもある。基準が決まっていること。
教育現場への届け方については、もっと丁寧にすべきだったという反省はある。
●山崎議員:アルプス処理水はトリチウムではない。原発事故からの処理水を正常な原発から放出されているものは違う。それを同じものとして安全だと説明するのは問題。科学的に間違っている。わざわざアルプス処理水と書いてある。違うものであることは明らか。小学生に誤解を与えるのは間違っている。風評を避けるのは正しい情報を流すのが一番大事。いい加減なチラシ作るから風評が広がる。間違った情報は一回回収して再検討すべき。
なぜ放射線の副読本が必要か。そこから問い直すべき。安全神話をつくるために歴史的にあった。3.11で学んだのは安全神話だった。再生可能エネルギーの副読本はなぜないのか。考え方が時代に逆行している。科学的根拠に基づいてと言い切るのは間違っている。福島と同じアルプス処理水を流している国を教えてください。
【復興庁】ないということは承知している。
●震災センター(片山):確認されたので、来年どうするかを考えていただきたい。
●震災センター(松谷):
理念法を具体的に実行していくのはみなさんの力にかかっている。現場を抱えているということは皆さんも同じ。アルプス処理水は他にはないことは確認できた。
◆原発事故被災者への支援施策等の改善を求める要請書
2022年7月29日
内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
復興大臣 西銘恒三郎 殿
国土交通大臣 斉藤 鉄夫 殿
総務大臣 金子 㤗之 殿
文部科学大臣 末松 信介 殿
厚生労働大臣 後藤 茂之 殿
経済産業大臣 萩生田 光一 殿
環境大臣 山口 壯 殿
原子力規制委員長 更田 豊志 殿
「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟
福島原発震災情報連絡センター
福島原発事故から11年が経過した今も、政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されていません。政府は、帰還政策を進め、支援策の縮小・打ち切りが進み、避難指示区域指定の解除、区域外避難者の住宅支援打ち切り、ふるさとを追われた家族や地域の分断、避難者の生活困窮、留まった者の長期低線量被曝を強いています。原発事故から長期間を経て、避難指定区域内外を問わず、また避難したかしないかに関わらず、被災者のニーズは多様化し、孤立や分断も進み、特に高齢となった被災者の健康や暮らしの課題も深刻化しています。
翻って、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「法」)は、「(被災者の)支援対象地域からの移動の支援」「移動先における住宅の確保」(法第九条)、「定期的な健康診断」「健康への影響に関する調査」(法第十三条第2項)、「子ども及び妊婦」や「その他被災者」への「医療の提供」や「費用負担の減免」(法第十三条第3項)等の施策を講ずることを定めています。しかし、当初から、政府の施策は法の趣旨の実現に遠く、被害の回復・復興の将来像も不明確なまま、具体的な支援も不十分な状況が続いています。
住宅の確保については、福島県の激変緩和措置による、民間賃貸住宅の家賃支援が2017年3月に打ち切られ、福島県が国家公務員宿舎の入居者に家賃2倍相当の損害金の請求を行い提訴し、経済的理由などで退去できなかった区域外避難者も、毎月送られてくる「2倍家賃」の請求書、期限付き立ち退き通告書、親族宅への圧力など、2年以上にわたる福島県の執拗な攻撃に耐えかねて、東京地裁に精神的損害賠償を求めて提訴しました。元々、国や県の住宅支援制度が限定的で、その対象外となっている避難者の声は放置されています。生存権に関わる住まいの保障の打ち切り強行は許されません。法の趣旨に基づく抜本的・継続的な住宅支援制度の再構築が必要です。
「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」等福島県の子ども支援は、政府の帰還政策促進によりニーズが増えており、コロナ禍にあっても引き続き予算と枠組みの拡大が求められています。
また、子どもが活動する保育所や学校、公園などリアルタイム線量測定システムを撤去するという原子力規制委員会の方針は一時棚上げされましたが、廃炉作業完了までは、引き続き継続配置の予算措置が必要です。
さらに、原発事故の損害賠償は、3月に最高裁が、損害賠償請求集団訴訟7件について、東京電力の上告及び上告受理申立てを退ける「3月決定」を行い、東京電力の損害賠償責任を認めた各控訴審判決が確定しました。これを受けて、国及び原賠審は、「3月決定」により確定した各控訴審判決の内容の調査・分析にとどまらない、原子力損害の実態についての広範かつ十分な調査と評価を行って結果を公表し、調査結果を踏まえた中間指針等の改定を行い、被害者救済に取り組むことが求められています。
全国の小中高校で使われている放射線副読本については、原発事故による深刻な影響などに関する記載が削除されているばかりでなく、2021年改訂版には、新たに処理水の説明を盛り込み、汚染水放出の「安全神話」を全国の教育現場に広めるもので、容認できません。「誤った情報に惑わされないために。誤った情報を広げて苦しむ人を出さないために」、副読本は改訂し、復興庁チラシの「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」は回収すべきです。
私たちは、原発事故被災者への支援施策等の改善を求め、2023年度予算に反映するよう、以下の通り要請します。
1.避難者の実態調査と支援策について、事故から11年を経て、避難者の実数や生活実態調査をあらためて行い、当事者に加え、避難先自治体や支援団体から丁寧に意見聴取し、避難者のニーズを的確に把握するとともに、適切な支援策を充実させること。
【復興庁・総務省】
2.失業状態の継続、非正規就労による生活費の不足など、経済的困難に陥っている避難者が多いことから、従前の就労支援策の問題点を検証の上、避難先において避難者の従前のキャリアを活かせる就労機会の提供等の実効的な就労支援策を実施すること。
【厚生労働省・復興庁】
3.避難先自治体の行政職員、社会福祉協議会職員等の連携、戸別訪問等により、生活困窮者を早期に発見して必要な生活支援を行うこと。
【厚生労働省・復興庁】
4.経済的困難にある避難者に対し、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づく家賃補助と同様の制度設計で、家賃補助の再開、公営住宅に単身世帯でも入居できるよう入居要件を緩和すること。民間住宅を公営住宅とみなして入居できるようにすること。住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティーネット法)に基づく、賃貸住宅の所有者に対する助成、一定の要件を満たす原発事故の被災者向けの住宅に対しても行い、低廉な賃料による賃貸住宅を提供すること。
【国土交通省・復興庁】
5.広域避難者支援について、支援団体への補助金削減や打ち切り等により、多くの団体が存続の危機にあり、団体スタッフの雇用が継続できない状況にある。災害ケースマネジメントの先駆けとして、次の災害に教訓を引き継ぐためにも、避難者支援を行う民間支援団体への助成等の公的支援を打ち切るのでなく、継続と充実をはかること。
【復興庁・内閣府防災】
6.原発事故の損害賠償について、国及び原賠審は、確定した各控訴審判決の内容の調査・分析にとどまらない、原子力損害の実態についての広範かつ十分な調査と評価を行い、迅速に結果を公表し、調査結果を踏まえた中間指針等の改定を行い、被害者の救済に取り組むこと。
【経済産業省・文部科学省・復興庁】
7.「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業 」について、子どもたちや実施団体に寄り添った事業改善と事業費増額を図り、県外民間団体による事業への補助制度を充実・整備すること。
【文部科学省・復興庁】
8.リアルタイム線量測定システムの配置について、廃炉作業完了までの予算措置を確実に講ずること。
【環境省・原子力規制委員会・復興庁】
9.2021年度改訂版の放射線副読本について、これまでも再三指摘している通り、福島原発事故による汚染の深刻さなどの記載が無くなり、被ばく線量と健康影響との関係に関する記述についても「安全神話」に基づく一方的かつ一面的なものである。文科省は「専門家の検討を踏まえた」ことを強調するが、「3.11」原発事故前に「専門家」によって確認された副読本の記述が間違っていたことは明らかであり、その反省が活かされていない。さらに、地元の多くの自治体・市民や全国の漁業関係者の反対を押し切って強行されようとしている汚染処理水の海洋放出についても、その安全性を一方的に強調する資源エネルギー庁・復興庁のチラシが副読本とともに教育現場に押し付けられているが、異論や反論、課題などの情報が示されないのは科学的公正性を欠く。教育現場は政府の政策を押し付ける場ではない。このような副読本やチラシは撤回・回収すること。
【文部科学省・経済産業省・復興庁】
以上