大きな第三点は、いのちを守る、原子力災害対策について、です。
福島第一原発事故から12年になろうとしていますが、福島第一原発の廃炉は、廃炉措置計画が策定されておらず、廃炉の最終形態も法的に決まっておりません。
そんな中で、今年5月、東京電力及び電力会社や原子炉メーカーでつくる国際廃炉研究開発機構(IRID)が水中ロボットで第一原発1号機の原子炉格納容器の内部を調査したところ、厚さ1・2メートル、直径約6メートルの円筒状で、原子炉圧力容器を支える鉄筋コンクリート製の土台=ペデスタルの鉄筋がむき出しになり、熔融した核燃料由来とおもわれる物質がたくさん堆積しているのが見つかりました。
損傷したペデスタルが、地震に耐えきれず原子炉圧力容器が倒壊すれば、いわき市民もさらなる放射能汚染や放射線被曝の危機にさらされることになります。そこで、以下伺います。
1点目は、福島第一原発1号機の原子炉圧力容器を支えるペデスタルの損傷対策について、です。
25、まず、ペデスタルの損傷状況について、本市はペデスタルの損傷状況をどう把握しているか、お尋ねします。
—答弁(危機管理部長)
東京電力は、議員お質しのとおり、本年5月に、福島第一原子力発電所1号機において原子炉格納容器の内部調査を実施し、原子炉圧力容器を支える基礎、土台であるペデスタルのコンクリートの一部が溶融し鉄筋が剥き出しになっていること等を確認しました。
市におきましては、このことについて、ただちに国及び東京電力から直接報告を受けています。
また、本年10月に開催されました県廃炉安全監視協議会においても、当該事象について報告されておりまして、本市も改めて構成員として確認しているところです。
●佐藤和良:ペデスタルの図と写真資料示す。(図:特定原子力施設監視・評価検討会 (第100回) 資料3 P5写真:福島第一原子力発電所 1号機原子炉格納容器内部調査)下記に掲載。
26、次に、原子炉圧力容器倒壊の危険性について、国際廃炉研究開発機構(IRID)は、ペデスタルの約4分の1が損傷しても耐震性に問題はないと2016年度に試算していますが、その後2年続いて福島県沖地震が頻発する中で、「耐震性は十分なのか」「事態の悪化の恐れはないのか」と、市民は不安を持っています。元三菱重工で原発の耐震構造研究に関わり、実際に原発建設の現場責任者の経歴を持つ専門家は、ペデスタル内部の原子炉圧力容器と格納容器を繋ぐ円筒形のインナースカートのコンクリートが溶け鉄筋剥き出しで露出し耐震性が弱まっていると指摘、ペデスタルの支持機能が本来の8分の3程度まで低下していると試算し、「震度6強の地震に耐えられず、原子炉が倒れる可能性がある」と警告しています。本市は原子炉圧力容器倒壊の危険性をどのように把握しているか、お尋ねします。
—答弁(危機管理部長)
東京電力及び国際廃炉研究開発機構、通称アイリッドが、本年5月の調査結果をもとに、改めて耐震性・影響評価を実施したところによりますと、1号機原子炉圧力容器が、地震等により大規模な損壊等に至る可能性は低いとのことです。
その上で、万が一、原子炉圧力容器が大規模に損壊した場合における安全性への影響として、「燃料デブリの冷却機能不全」、「敷地外への放射性物質の飛散」、「再臨界」などのリスク評価を行い、その結果、周辺住民に対して著しい放射線被ばくのリスクを与えることは無いとしています。
本年10月に開催されました県廃炉安全監視協議会において、東京電力からこうしたリスク評価結果について報告されました。
出席者からは、「アイリッドが、過小評価とならないようリスクを高めに見積もるという意味で保守的に評価しているため問題は無いと思うが、今後の調査を慎重に実施し、再評価すべき」との意見が出たところです。
また、議員お質しのように、原子炉圧力容器が倒壊する可能性があることを指摘する声があることも、報道等を通して承知しています。
●佐藤和良:東電とアイリッドの評価が6月の特定原子力施設監視・評価検討会に出されており、それがホームページ上に掲載されておりまして、簡単に言えば「大丈夫なんだ」というふうに書いてあるんですが、この評価について、森重さんという元三菱の技師は、「剪断のモーメント」については解析評価しているけれでも「曲げのモーメント」については解析がなされていないと評価しておりまして、経済産業省に審査の請求をしておりまして、そのように専門家の間で「ちょっと待てよ」ともう少しきちんと解析した上で評価し直すべきだという声が現にありますので、市民の安全安心を考えれば、より安全の側に立って、地方公共団体としては、市民の安全を守る立場から国・東電に要望していく必要があるだろうということを考えまして、今回の質問になったということでございます。
27、次に、早期の詳細調査と緊急安全対策について、原子炉から30キロの本市は、炉心倒壊の事態が発生すれば、さらなる放射能汚染や放射線被曝の危機にさらされることから、市民の安全・安心を確保するため、国と東京電力に対し、早期の詳細調査と緊急安全対策の確立を求めるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(危機管理部長)
国や東京電力等が原発の耐震性等について科学的に評価したとしましても、本県において大きな地震が発生する度に、原発の状況を不安に思う方がいらっしゃるのは、当然であると思っております。
そのため、市といたしましては、先月28日、万が一の事態が起きないよう、詳細な調査を行い万全の対策を速やかに講じること、また、分かりやすく丁寧な説明を徹底すること等について、東京電力に対し、強く申し入れました。
その際、東京電力からは、今年度末にペデスタルの内部の調査を実施し、その上で再評価を実施する予定であるとの回答がありました。
今後も引き続き、市民の皆様が安心して生活を送ることができるよう、廃炉作業の安全かつ着実な推進について、国及び東京電力に対して求めて参りたいと思います。
●佐藤和良:28日に東京電力に対する市長からの要望活動の中で、この話も出していただいたと聞いております。引き続き、先にも専門家の分析解析の中で「剪断のモーメント」については解析評価しているけれでも「曲げのモーメント」については解析がなされていないといいうことが本当にあるとすれば、由々しき事態になりますので、具体的な問題について是非ともチェックしていただいて、どういう解析でこれが出ているのか、「曲げのモーメント」もやっているのかということも含めて。それで、年度内に東電側も詳細調査に、また10億もするロボットを中に入れて戻ってこないという作業を何回かやることになる、それだけ高レベル状態の中に入れて調査せざるを得ない、それだけ大変な困難な状況ではありますけれども、市民のいのち、暮らしがかかっておりますので、是非とも市民の安全・安心のため、国と東京電力に対して、早期の詳細調査と安全対策の確立するように強く再度申し入れていただければと思います。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。