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東電刑事裁判控訴審、不当判決に怒りの抗議

 1月18日、東電刑事裁判控訴審の判決公判があり、東京高裁第10刑事部(細田啓介裁判長)は、一審無罪判決に対する指定弁護士の控訴を棄却し、全員無罪の原判決を維持するとの判断を示しました。
 控訴棄却というこの不当判決は、第1審よりひどく、長期評価の信頼性を全面的に否定し、東電3被告=原子力事業者を免罪する酷い反動的判決でした。
 被害者、被災者を再び踏みじった、東京高裁判決を許すことはできません。福島第一原発事故は終わっておらず、「被害者地獄、加害者天国」でいいはずはありません。東京高裁の不当判決に満腔の怒りを込めて、抗議します。
 私たちは、福島原発事故の責任を明らかにするまで、闘い続けます。
 被害者、被災者はあきらめません。指定弁護士の最高裁への上告をお願いします。
 福島原発刑事訴訟支援団は、被害者遺族はじめ弁護団、全国の支援者のみなさんと力を合わせて闘い続けます。
 
 以下に、「判決に対する指定弁護士のコメント」と福島原発告訴団・刑事訴訟支援団弁護団の「東電刑事裁判東京高裁不当判決に抗議する声明」を掲載します。

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判決に対する指定弁護士のコメント

長期評価の信類性を全面的に否定した本日の判決は、到底容認できません。

 最高裁判決(令和4年6月17日第二小法延判決)は、長期評価の信類性について明言はしていませんが、東京電力が行った試算は「安全性に十分配慮して余裕を持たせ、当時考えられる最悪の事態に対応したものとして合理性を有する試算であったといえる。」と判示して、長期評価の信類性や、試算結果について一定の評価をしていると解釈できます。
 ところが本日の判決は、第1審と同様、長期評価の信頼性を全面的に否定し、試算結果をないがしろにするもので、最高裁判決の趣旨にも反します。
 判決は、繰り返し「現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報」ではなかったとして、発生の確実性の情報の必要性を求めていますが、とりわけ津波のような自然災害に基づく原子力発電所事故というシビアアクシデントにまで、このような見解をとれば、およそ過失責任を問えないことになり、不合理と言うほかありません。
 本日の判決は、国の原子力政策に呼応し、長期評価の意義を軽視するもので、厳しく批判されなければなりません。
我々としては、この判決内容を詳細に分析して、上告の可否等について改めて検討していきたいと考えています。
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東電刑事裁判東京高裁不当判決に抗議する声明
                    2023.1.18
       福島原発告訴団・刑事訴訟支援団弁護団

 本日、東京高裁第10刑事部(細田啓介裁判長)は、一審無罪判決に対する指定弁護士の控訴を棄却し、原判決を維持するとの判断を示しました。
 この判決は、一審判決をそのまま、無批判に是認した判決であり、この事故によって、命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決だと思います。
 推本の長期評価について、判決は、一応「国として、一線の専門家が議論して定めたものであり、見過ごすことのできない重みがある」とは述べましたが、この見解には、これを基礎づける研究成果の引用がなく、原発の運転を停止させる「現実的な可能性」を基礎づける信頼性はないとして、これに基づく、津波対策の必要性自体を否定しました。
 事故対策を基礎づける科学的な知見について「現実的な可能性」を求めることは、地震学の現状からして、明らかに間違いです。このような判決は、必要な事故対策をしないことを免罪し、次の原発事故を準備する危険な論理となっていると思います。
 また、判決は、地裁では判断されなかった貞観津波について、さらに検討を加え、知見が劇的に進展していると認めたにもかかわらず、津波高さは9メートル前後だとして、10メートル盤を超えていないとしました。しかし、この計算は詳細なパラメータースタディを経ない概略計算であり、詳細計算を行えば、10メートルを超えることとなったことは明らかであるのに、これを無視しました。さらに、ここでも、研究課題が残っているとして、知見の成熟性を否定しています。
 延宝房総沖のモデルによる津波の試算(13.5メートル)については、被告人らが、検討を依頼した土木学会でもこのモデルで委員の意見が一致を見たにもかかわらず、これも成熟した知見と認められないとして、津波対策を基礎づけるものではないとしたことも、著しく不合理な判断です。
 結果回避措置について、水密化の対策は他の対策とセットでなければ、事故の結果を避けることはできなかったと判断しましたが、そのような判断には何の根拠も示されていません。また、津波の浸水高さが高くなったと指摘もされたが、津波の水密化の対策をとるとした場合に、かなりの余裕を見込んで設計がなされたはずであり、水密化の津波対策がとられていれば、それだけで、すくなくとも過酷事故の結果は避けられた可能性が高いとの東京地裁の株代訴訟判決には、これを裏付ける東電技術者の明快な調書が存在しており、こちらの方が正しいと思います。
 このような判断を確定させると、まさに次の重大な原発事故を繰り返してしまうことが危惧されます。いずれにしても、この判断を確定させてはならないと思います。指定弁護士の先生方には、ぜひ、事件を最高裁に上告していただき、昨年6月の最高裁判決との矛盾を掘り下げて、この判決を覆していただきたいと思います。

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by kazu1206k | 2023-01-18 23:31 | 脱原発 | Comments(0)