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最高裁に上告を!上申書を提出、東電刑事裁判

 東電刑事裁判の東京高裁による不当かつ反動的な控訴審判決について、1月20日、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団、被害者参加代理人弁護団は、検察官役の指定弁護士に対して、それぞれ上申書を提出して、最高裁への上告を訴えました。
 福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団は、「亡くなられた双葉病院の患者さんのご遺族をはじめ、告訴・告発人でもある多くの原発被害者が全く納得できないものでした。現場検証や証人尋問、避難者訴訟最高裁判決や東電株主代表訴訟判決の証拠採用もせず、審理を尽くさず下した判決の不当さに胸がえぐられる思いでした」「原発事故を引き起こした責任を取るべき経営陣を正しく裁くことができなければ、必ず次の原発事故を招いてしまう」などとして、指定弁護士に上告を求める上申書です。
 さらに被害者参加代理人弁護団は、「この判決は一審判決をそのまま無批判に是認し、命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決です」「このような判断を確定させると、まさに次の重大な原発事故を繰り返してしまうことが危惧されます。いずれにしても、この判断を確定させてはならないと思います。指定弁護士の先生方には、ぜひ、事件を最高裁に上告していただき、昨年6月の最高裁判決との矛盾を掘り下げて、この判決を覆していただきたいと思います」「控訴審判決は、原発はその事故被害の悲惨さ故に、他の施設とは異なる高度な安全性が求められるという、原発事故の責任を検討するための核心から目を背けています。また事実誤認、証拠評価、法的判断の誤りも散見されます。このような不当判決では、本件原発事故の責任を正しく裁いたとはいえません。遺族はもとより、福島原発事故の被災者らも控訴審判決に対して納得していません」「指定弁護士の先生方におかれて、この不当判決に対して、ぜひとも上告を申し立てていただきたい」などとして、指定弁護士に上告を求める旨の上申書です。
 検察官役の指定弁護士は、判決言渡し後の記者会見で、「判決は到底容認できない」とし、「判決は、国の原子力政策に呼応し、長期評価の意義を軽視するもので、厳しく批判されなければなりません。我々としては、この判決内容を詳細に分析して、上告の可否等について改めて検討していきたい」との見解を示していました。

 私たちは、福島原発事故の責任を明らかにするまで、闘い続けます。
 被害者、被災者はあきらめません。指定弁護士の皆さまには、最高裁への上告を切にお願いするものです。
 福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団は、被害者遺族はじめ弁護団、全国の支援者のみなさんと力を合わせて闘い続けます。
 
●告訴団・支援団が上告を求める上申書

令和元年刑(う)第2057号
(原審 令和元年9月19日判決(平成28年刑(わ)第374号業務上過失致死傷被告事件))
被告人 勝俣恒久、武黒一郎、武藤栄

上告を求める上申書

2023年(令和5年)1月20日

指定弁護士 石田 省三郎 先生
指定弁護士 神山 啓史 先生
指定弁護士 山内 久光 先生
指定弁護士 渋村 晴子 先生
指定弁護士 久保内 浩嗣 先生

                福島原発告訴団 団長     武藤類子
                福島原発刑事訴訟支援団 団長 佐藤和良

 指定弁護士の皆様には、強制起訴の決定以来、一審、控訴審を通して多大なるご尽力を頂きましたことを深く感謝申し上げます。

 私たちは2011年の福島第一原発事故に被災し、また多くの被災者が様々な被害を受けていることを見聞きし、当然事故を引き起こした者が裁かれるのだろうと思っていました。しかし一向にそのような動きがないことから、翌2012年に福島原発告訴団を立ち上げ、集団告訴に至りました。二度と自分たちと同じ悲劇が繰り返されないように、真実を明らかにし、原発事故の責任を問う事を切に望んで行ったものでした。

 2019年の一審の無罪判決に続き、控訴審での再びの無罪判決は、亡くなられた双葉病院の患者さんのご遺族をはじめ、告訴・告発人でもある多くの原発被害者が全く納得できないものでした。現場検証や証人尋問、避難者訴訟最高裁判決や東電株主代表訴訟判決の証拠採用もせず、審理を尽くさず下した判決の不当さに胸がえぐられる思いでした。福島の地方紙でも県民の落胆と怒りの声が数多く掲載されています。2023年1月19日付福島民報「論説」では、「上告審の場で厳しく審理してほしい」「前向きに考えるべきではないか」と指摘しています。

 原発事故は終わっていません。今も7つの市町村に帰還困難区域が存在します。福島第一原発の「廃炉」の定義さえ、まだ決まってはいないのです。裁判所は原発事故の被害の実相や双葉病院の避難の過酷さをどこまで理解しているのか、原発の安全性をどこまで重大なものとして捉えているのか、疑問に思える判決でした。また、かつて例のない原発事故の責任を問う裁判を行っているという気概も誇りも感じることができませんでした。折しも政府が原発回帰の方針を打ち出してきた今、原発事故を引き起こした責任を取るべき経営陣を正しく裁くことができなければ、必ず次の原発事故を招いてしまうでしょう。このまま、この控訴審判決を確定してはならないと強く思います。

 再び大変なご苦労をお掛けすることになりますが、どうか最高裁への上告をして下さることを、切にお願い申し上げます。私たちも最後まで、できることの全てを行っていきたいと思っています。何卒宜しくお願い申し上げます。

                              以上

●被害者参加代理人弁護団 上申書

令和元年刑(う)第2057号
(原審 令和元年9月19日判決(平成28年刑(わ)第374号業務上過失致死傷被告事件))
被告人 勝俣恒久、武黒一郎、武藤栄

上申書(上告を求める上申)

2023年(令和5年)1月20日

指定弁護士 石田 省三郎 先生
指定弁護士 神山 啓史 先生
指定弁護士 山内 久光 先生
指定弁護士 渋村 晴子 先生
指定弁護士 久保内 浩嗣 先生

                被害者参加代理人弁護士 河 合 弘 之
                    同       海 渡 雄 一
                    同       甫 守 一 樹
                    同       大 河 陽 子

 一昨日(1月18日)、東京高裁第10刑事部(細田啓介裁判長)は、一審無罪判決に対する指定弁護士の控訴を棄却し、原判決を維持するとの判断を示しました。
 この判決は、一審判決をそのまま、無批判に是認した判決であり、この事故によって、命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決です。

 推本の長期評価について、判決は、一応「国として、一線の専門家が議論して定めたものであり、見過ごすことのできない重みがある」とは述べましたが、この見解には、これを基礎づける研究成果の引用がなく、原発の運転を停止させる「現実的な可能性」を基礎づける信頼性はないとして、これに基づく、津波対策の必要性自体を否定しました。
事故対策を基礎づける科学的な知見について「現実的な可能性」を求めることは、地震学の現状からして、明らかに間違いです。このような判決は、必要な事故対策をしないことを免罪し、次の原発事故を準備する危険な論理となっています。

 また、判決は、地裁では判断されなかった貞観津波について、さらに検討を加え、知見が劇的に進展していると認めたにもかかわらず、津波高さは9メートル前後だとして、10メートル盤を超えていないとしました。しかし、この計算は詳細なパラメータースタディを経ない概略計算であり、詳細計算を行えば、10メートルを超えることとなったことは明らかであるのに、これを無視しました。さらに、ここでも、研究課題が残っているとして、知見の成熟性を否定しています。

 延宝房総沖のモデルによる津波の試算(13.5メートル)については、被告人らが、検討を依頼した土木学会でもこのモデルで委員の意見が一致を見たにもかかわらず、これも成熟した知見と認められないとして、津波対策を基礎づけるものではないとしたことも、著しく不合理な判断です。

 結果回避措置について、水密化の対策は他の対策とセットでなければ、事故の結果を避けることはできなかったと判断しましたが、そのような判断には何の根拠も示されていません。また、津波の浸水高さが高くなったと指摘もされましたが、津波の水密化の対策をとるとした場合に、かなりの余裕を見込んで設計がなされたはずであり、水密化の津波対策がとられていれば、それだけで、少なくとも過酷事故の結果は避けられた可能性が高いとの東京地裁の株代訴訟判決には、これを裏付ける東電技術者の明快な調書が存在しており、こちらの方が正しい認定です。

 このような判断を確定させると、まさに次の重大な原発事故を繰り返してしまうことが危惧されます。いずれにしても、この判断を確定させてはならないと思います。指定弁護士の先生方には、ぜひ、事件を最高裁に上告していただき、昨年6月の最高裁判決との矛盾を掘り下げて、この判決を覆していただきたいと思います。

 ごく一部ですが、控訴審判決に対する被災者らの声、地元の声を紹介します。

・福島原発告訴団の武藤類子団長(福島県三春町)
 「「はらわたが煮えくり返る思い。最高裁に上告してほしい」
 「悔しい」
 「一審判決を再現しているような早口で、東電側の主張を全部うのみにして言っているようだった」。
 「裁判所はこれでいいのか」
(資料1・2023年1月18日付東京新聞「「恥を知れ」と怒声が飛んだ…高裁が出した無罪判決に被災者から怒りの声 東電旧経営陣の刑事裁判」)

・地脇聖孝さん(福島県西郷村で被災)
 「事実を見ない不当判決。最高裁での逆転有罪を目指したい」
(資料1・同上)

・古川好子さん(福島県富岡町、現在は横浜市)
 「こんなに多くの人が苦しんでいるのにどうして無罪なのか。本当に悔しい。」
(資料2・2023年1月18日付毎日新聞「東電強制起訴、2審も無罪 被災者ら怒り「誰が責任を取るのか」」)

・菅野正克さん(双葉病院に入院していた父親を亡くした)
 「裁判を終えて怒りとむなしさだけが残りました。2審の判決には多少は期待していましたが、2度も地獄にたたき落とされた気持ちです。市民感覚からかけ離れた判決内容で、この判決をもって経営陣の責任がなくなったわけではないので、そのことを忘れないでほしい」
(資料3・2023年1月18日付NHKニュース「【詳細】東電旧経営陣3人に無罪判決 東京高裁 判決のポイント」)

・匿名の方
 「つらいですね…。起こしたことの責任をとるという方向にいって欲しい。そういう社会じゃないと繰り返される。」
(資料4・2023年1月18日付福島中央テレビニュース)

・福島県川内村の遠藤雄幸村長(原発事故の発生当時から福島県川内村の村長を務め、全ての住民に避難指示を出した。)
 「時間はあらゆるものを過去に追いやってしまうが、事故が起きたことは決して忘れてはならず、事故の記憶が薄らぐ中でも責任の所在を明らかにしていくべきだ。最高裁の判断はまだなので、最高裁の最終的な判断を待ちたい」
(資料3・NHKニュース)

 福島の地元紙である福島民報社も2023年1月19日付「論説」(資料5)で、福島原発事故の避難者らが原告として国に対して賠償を求めた事件の最高裁判決が補足意見で「「長期評価の正確性、重要性などの検証や津波防護措置の検討ペースがあまりにも遅すぎたのではないか」と指摘したことを挙げ、「漫然とした姿勢に対する最高裁の問題提起は、原子力政策の在り方を議論する上で重い。刑事的な責任についても上告審の場で厳しく審理してほしい。」と上告を求めています。

 また朝日新聞は、次のとおり、控訴審判決は原発事故前からあった原発の安全確保の考え方に反する旨を指摘しています。
 「自然現象の予測は宿命的に不確実さを抱える。「現実的」にとらわれていては事故は防げない。」
 「原発は事故を起こせば手をつけられなくなり、周辺に取り返しのつかない被害をもたらす。このため厳しい安全管理が求められてきた。不確実でもそれなりの可能性があるなら、最悪の事態に陥らないように手を打つ。これは事故前からあった安全の考え方だ。
少なくとも、福島沖での津波地震発生は否定できる状況にはなかった。だからこそ担当社員も、対応の準備を進めていた。だが旧経営陣は動こうとはせず、報告待ちに終始した。」
 「多額の賠償を認めた昨年7月の株主代表訴訟判決はこの旧経営陣の動きの鈍さを厳しく批判した。一方で今回の判決は、組織の役割分担だとして容認した。対策を組み合わせれば事故を防げたという考え方も「後知恵」だと退けた。」
 「原発を動かす責任の大きさと、どこまで真剣に向き合っているのか。形ばかりの安全を追い求めるだけでは、事故を繰り返しかねない。」
  (資料6・朝日新聞2023年1月19日「視点」)

 控訴審判決は、原発はその事故被害の悲惨さ故に、他の施設とは異なる高度な安全性が求められるという、原発事故の責任を検討するための核心から目を背けています。また事実誤認、証拠評価、法的判断の誤りも散見されます。このような不当判決では、本件原発事故の責任を正しく裁いたとはいえません。遺族はもとより、福島原発事故の被災者らも控訴審判決に対して納得していません。
 指定弁護士の先生方におかれて、この不当判決に対して、ぜひとも上告を申し立てていただきたい旨を上申します。

添付資料
 資料1 2023年1月19日付東京新聞「「恥を知れ」と怒声が飛んだ…高裁が出した無罪判決に被災者から怒りの声 東電旧経営陣の刑事裁判」(写し)
 資料2 2023年1月18日付毎日新聞「東電強制起訴、2審も無罪 被災者ら怒り「誰が責任を取るのか」」(写し)
 資料3 2023年1月18日付NHKニュース 「【詳細】東電旧経営陣3人に無罪判決 東京高裁 判決のポイント」(写し)
 資料4 2023年1月18日付福島中央テレビニュース(写し)
 資料5 2023年1月19日付福島民報「論説」(写し)
 資料6 2023年1月19日付朝日新聞「視点」(写し)

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by kazu1206k | 2023-01-20 23:12 | 脱原発 | Comments(0)