東電福島原発事故の刑事裁判に心を寄せるみなさま。
1月24日、東電刑事裁判は控訴審の無罪、不当判決を許さず、検察官役の指定弁護士が最高裁判所に上告しました。闘いは、最高裁に舞台を移します。
1月18日、東京高裁第10刑事部(細田啓介裁判長)は、東京電力福島第一原発事故で業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久・元会長、武黒一郎・元副社長、武藤栄・元副社長に対する指定弁護士の控訴を棄却し、全員無罪の原判決を維持しました。この不当判決は、第1審よりひどく、長期評価の信頼性を全面的に否定し、東電3被告=原子力事業者を免罪する酷い反動的判決でした。
被害者、被災者を再び踏みじった、東電刑事裁判の東京高裁による不当かつ反動的な控訴審判決について、1月20日、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団、被害者参加代理人弁護団は、検察官役の指定弁護士に対して、それぞれ上申書を提出して、最高裁への上告を訴えました。
福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団は、「亡くなられた双葉病院の患者さんのご遺族をはじめ、告訴・告発人でもある多くの原発被害者が全く納得できないものでした。現場検証や証人尋問、避難者訴訟最高裁判決や東電株主代表訴訟判決の証拠採用もせず、審理を尽くさず下した判決の不当さに胸がえぐられる思いでした」「原発事故を引き起こした責任を取るべき経営陣を正しく裁くことができなければ、必ず次の原発事故を招いてしまう」と訴えました。
さらに被害者参加代理人弁護団は、「この判決は一審判決をそのまま無批判に是認し、命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決です」「このような判断を確定させると、まさに次の重大な原発事故を繰り返してしまうことが危惧されます。いずれにしても、この判断を確定させてはならないと思います。指定弁護士の先生方には、ぜひ、事件を最高裁に上告していただき、昨年6月の最高裁判決との矛盾を掘り下げて、この判決を覆していただきたいと思います」「控訴審判決は、原発はその事故被害の悲惨さ故に、他の施設とは異なる高度な安全性が求められるという、原発事故の責任を検討するための核心から目を背けています。また事実誤認、証拠評価、法的判断の誤りも散見されます。このような不当判決では、本件原発事故の責任を正しく裁いたとはいえません。遺族はもとより、福島原発事故の被災者らも控訴審判決に対して納得していません」「指定弁護士の先生方におかれて、この不当判決に対して、ぜひとも上告を申し立てていただきたい」と述べました。
検察官役の指定弁護士も、判決言渡し後の記者会見で、「判決は到底容認できない」とし、「判決は、国の原子力政策に呼応し、長期評価の意義を軽視するもので、厳しく批判されなければなりません。我々としては、この判決内容を詳細に分析して、上告の可否等について改めて検討していきたい」との見解を示していました。そして、刑法一般の「現実的な可能性」と、原発が想定すべき可能性の違いについて「自然災害から原子力発電所を守る時の注意義務として、このような(判決のような)考え方でいいのか、議論の余地がある。我々としては議論をもっともっと深めていきたい」と話していました。
私たちの願いが、指定弁護士の皆さんに通じました。
検察官役の指定弁護士の最高裁判所への上告によって、裁判の舞台は最高裁判所に移ります。
まもなく、福島原発事故から12年。
私たちは、福島原発事故の責任を明らかにするまで、闘い続けます。
被害者、被災者はあきらめません。
福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団は、被害者遺族はじめ弁護団、全国の支援者のみなさんと力を合わせて闘い続けます。