2月12日午後、郡山市で「最高裁へ! 東電刑事裁判 控訴審判決の報告集会」が開かれました。
佐藤和良刑事訴訟支援団長の挨拶に始まり、海渡雄一弁護士と大河陽子弁護士が「東電刑事裁判 誰も刑事責任を取らなくてよいのか」と題して、1時間半にわたり熱く語り報告しました。
報告を受けて質疑応答を行なった後、控訴審判決の傍聴者からも、傍聴者3人のスピーチとして東京高裁判決の誤りを鋭く指摘する報告が続きました。
「呆れ果てても諦めない」と武藤類子告訴団長が締め括ります。
福島原発刑事訴訟支援団、福島原発告訴団はじめ参加者は、被害者、被災者が一丸となって、二度と原発事故を繰り返さぬよう、最高裁での上告審を粘り強く闘い抜くことを誓いました。
報告集会の録画は、以下のYoutubeにアップしましたのでご覧ください。
[報告メモ]
1、東電刑事控訴審判決が東電株主代表訴訟の東京地裁判決と結論を異にしたのは何故か
・東京高裁の細田裁判長の控訴審判決は、次の原発事故を準備する危険な論理
ー一審判決をそのまま、無批判に是認。
ー福島第一原発事故で命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決。
ー長期評価について、一応「国として、一線の専門家が議論して定めたものであり、見過ごすことのできない重みがある」とは述べたものの、長期評価には、これを基礎づける研究成果の引用がなく、原発の運転を停止させる「現実的な可能性」を基礎づける信頼性はないと、これに基づく津波対策の必要性自体を否定。
ー原発事故対策を基礎づける科学的な知見について「現実的な可能性」を求めることは、地震学の現状からして、明らかに間違い。
ー必要な事故対策をしないことを免罪し、次の原発事故を準備する危険な論理となっている
・東電刑事控訴審判決
:原発事故被害を考慮していない誤り
ー判決要旨に原発事故の記載がない。原発の危険性を捉えていない。
一審で十分立証された、双葉病院事件。双葉病院からの避難の危機的状況。
被害者遺族の心情陳述。
:原子力関連法令の趣旨・目的を踏まえない誤り
ー原発関連法令の目的、趣旨触れていない
・東電株主代表訴訟判決
ー原発の危険性を正しく認定。
ー原子力事業者の義務。
・最高裁判決三浦反対意見:関連法令、憲法との関係ー人格権、憲法が保障する最も重要な価値。
2、刑事裁判で東電役員の責任を問うことは難しいのか
・原発事故対策を基礎付ける科学的な知見について「現実的な可能性」
・現実的な可能性ー津波が近い将来におきるかどうかではない,万が一にも起きないことに対応すべき。
ー耐震審査指針改訂版「残余のリスク」、耐震バックチェックの指示
ー2008.6 武藤と土木グループの会議ー10万年に1回の確率
ー長期評価、15.7mの計算結果を合理性を有する試算と認定
・最高裁判決判示との矛盾
ー東電刑事控訴審は、最高裁に反して15.7mの信頼性を否定
・指定弁護士の証人申請と検証申立を却下して、立証不十分と判示
・東電刑事控訴審は、東電株主代表訴訟が証拠に基づき認定した事実関係を否定できていない
・経営者の責任に対する他の判例
ー福知山線脱線事故:事故発生の危険性が高い曲線として認識できたと認められず。
福島は部下から提案されていた。
ーホテルニュージャパン事件ー消防が改善命令。
3、最高裁における闘い方
・真実は、東電刑事裁判で提出された証拠で明らかになりました。
告訴がなければ決して明らかになりませんでした。告訴団・支援団による大きな成果。
それを正しく認定したのが東電株主代表訴訟です。最高裁にも心ある裁判官がいると思います。
二度と福島原発事故を繰り返さないように、最高裁でも粘り強く闘いましょう。