35番、創世会の佐藤和良です。ただいまより、質疑を行います。
大きな第一点は、市長提案要旨説明について、であります。
一つは、令和5年度の市政運営に当たっての基本的な考え方についてのうち、「移住定住・流出抑制」の職員採用試験の見直しについて、です。
SPI試験の導入について、若者に本市に戻っていただく方策の一つとして、職員採用試験を見直し、新たな試験方法としてSPI試験=「総合適性検査」を導入するとしましたが、自治体における事例を踏まえ、目的の優秀な人材の確保は可能なのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
地方公務員採用試験の受験者数、競争率は全国的に減少傾向にあります。
その要因として、少子化や就業意識の多様化などの影響のほか、公務員試験独自の勉強や準備に係る受験者の負担が挙げられています。
こうした状況を踏まえ、採用試験の実施方法を見直す自治体が増えており、具体的な見直し内容の一つとして、SPI試験の導入があります。
SPI試験は、一般社会人として広く必要とされる資質を測定する適性検査として、民間企業の採用試験において広く採用されている試験方法であり、県内で先行導入した郡山市では、受験者数が倍増したとの報告を受けています。
従来の試験方式に加えて、SPI試験を導入することにより、専門試験の対策に負担を感じていた学生や、十分な勉強時間を確保することが難しい社会人など、幅広い層の受験者の増加が見込まれます。
これにより、優秀な人材の確保の可能性が高くなるものと考えています。
大きな第二点は、議案第1号 いわき市中山間地域支援基金条例の制定について、であります。
一つは、設置目的並びに積立額等について、です。
1点目、設置目的について、中山間地域の維持及び活性化を支援するための施策の推進のために、基金を設置するとされますが、支援施策の推進は具体的にどう行うのか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
中山間地域の皆様が安全に安心していきいきと住み続けることができる地域社会の実現を目的に策定した「里山の暮らしを支える地域づくり方針」に位置付けた取組みを、当該基金も財源としながら、推進していきます。
具体的には、地域との意見交換や有識者懇談会を今後も重ねながら、地域交通や医療・福祉、買い物等生活に欠かすことができないサービス機能の整備、さらには、地域活動の担い手やなりわいの確保など、暮らしを支える「まちづくり」「ひとづくり」「しごとづくり」の3つの方針を柱に必要な取組みを進めていきます。
2点目、積立額について、基金の積立額は毎年度予算で定めるとされ、令和5年度予算案では中山間地域支援基金寄付金として60万円が計上されていますが、寄付金など積立財源や目標額を含めて具体的にはどのように進めるのか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
積立財源につきましては、中山間地域に立地する事業者からの寄附金をはじめ、本市に縁のある事業者や出身者などから寄附を募りたいと考えています。
当該基金の趣旨をご理解いただきながら、必要な取組みを安定的かつ継続的に推進していくための財源の確保に努めていきます。
3点目、管理について、金融機関への預金その他の有利な方法による保管は、具体的にはどのように行うのか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
基金の管理につきましては、基金原資取崩しのための流動性の確保、厳しい財政状況や今後の経済動向を踏まえ、より効率的な資金運用の視点に留意しながら、毎年度作成する基金の資金運用計画に基づき、普通預金、通常貯金、定期性預貯金及び債券により行っていきます。
4点目、運用益金の処理について、特段の考えはあるのか、お尋ねします。
—答弁(市民協働部長)
基金の運用から生ずる収益につきましては、一般会計歳入歳出予算に計上して基金に編入し、中山間地域の維持及び活性化を支援する事業の財源として活用していきます。
大きな第三点は、議案第36号 令和5年度いわき市一般会計予算について、であります。
一つは、歳入18款1項2目寄附金の総務費寄附金の元気なまちいわき・ふるさと寄附金について、です。
1点目、元気なまちいわき・ふるさと寄附金(ふるさと納税)について、元気なまちいわき・ふるさと寄附金の申込件数や申込額を含めて、平成29年度以降5年間の決算額はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
元気なまちいわき・ふるさと寄附金のうち、個人から寄せられた件数及び、金額を百万円単位で順に申し上げますと、平成29年度が14,114件、3億8,100万円、30年度が17,600件、4億3,100万円、令和元年度が18,304件、4億7,500万円、2年度が24,646件、5億8,700万円、3年度が25,846件、5億5,000万円、となっています。
2点目、ふるさと納税事業の収支状況について、ふるさと納税の歳入は本市への寄附金であり、歳出は寄附して頂いた方々への返礼品の経費などですが、返礼品等所要経費を含めて、平成29年度以降5年間の収支状況はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
ふるさと納税の収支につきましては、まず、収入である本市に寄せられた寄附金から、支出である寄附者への返礼品等に係る経費を控除します。
これに加えて、いわき市民が市外の自治体へ寄附した際の住民税の控除額が本市の収入から減少すること、更には、控除額の75%は地方交付税として補てんされる仕組みとなっていることを勘案する必要があります。
それらを踏まえた上で、収支を試算いたしますと、いずれも黒字であり、平成29年度が2億3,000万円、30年度が1億9,500万円、令和元年度が2億6,200万円、2年度が2億8,400万円、3年度が2億3,600万円となっています。
二つは、歳出2款1項2目総務費の総務管理費の人事管理費の人材マネジメントシステム整備事業費について、です。
1点目、人材マネジメントシステムの導入について、システムの内容はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
人材マネジメントシステムの導入に当たりましては、現在、人事給与システムで管理している職員の勤務経歴や研修の受講実績、保有している資格の情報に加え、新たに、人事評価の結果や配置を希望する分野・部署等の情報についても一元的に管理するものです。
2点目、職員情報のデータベース化について、職員にとってのメリット、デメリットをどのように捉えているか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
人材マネジメントシステムによりデータベース化された人事情報を活用することにより、職員の適性や意向を把握した上で、それぞれの職員にとって最適な人材育成や能力開発、人事配置につなげることなどが可能になるものと考えております。
3点目、「最適な人事配置等に資する」という目的について、透明性や公正性はどのように担保されるのか、お尋ねします。
—答弁(総務部長)
先ほど答弁いたしました人材マネジメントシステムを活用した最適な人事配置などに加え、システム導入に併せ人事評価制度を見直すことにより、公正性・透明性の向上につなげることとしております。
三つは、歳出2款1項13目総務費の総務管理費の芸術文化交流館費の芸術文化交流館事業費について、です。
1点目、維持管理費について、PFI事業による施設維持管理が終了して、令和5年度から包括的民間委託による運用に移行しますが、本市にとってのメリット、デメリットをどのように捉えているか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
包括的民間委託のメリットとしては、PFI事業と同様 、施設の維持管理を高い技術水準を保ちながら行えること、また、それらを一元的・効率的に行えることなどがあげられます。
デメリットとしては、PFI事業と比較した場合、年度間の財政負担の平準化が図りづらいことがあげられます。
2点目、施設維持管理の内容について、PFI事業から包括的民間委託となって、施設維持管理上、内容の変更や追加はあるのか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
包括的民間委託においても、基本的に施設の維持管理上の変更はありません。
なお、 PFI 事業の対象外であった別館の一部を維持管理対象に含めるなど、契約対象の見直しなどを行っております。
3点目、令和5年度の組織再編について、「企画協働課」と「施設運営課」が新設されますが、運営体制上どのような効果を発揮すると考えているのか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
新設した「企画協働課」では、事業企画に加え、地域や企業と連携した芸術文化活動の推進、また、「施設運営課」では、市民による施設を活用した芸術文化活動への支援や情報発信など、交流拠点としての機能強化にも新たに取り組みます。
このように、今回の運営体制の変更は、市民の皆様との連携や交流の促進に大きな効果を発揮するものと考えています。
4点目、自主企画事業について、令和5年度における鑑賞系、アウトリーチ事業、人材育成・交流事業、市民協働型事業等21の自主企画事業の実施にあたって、市民並びに地域の各種団体との連携はどのように行うのか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
市民及び地域の各種団体の皆様との連携につきましては、新たな組織体制のもと、地域に出向き、積極的に交流を図るなどしながら取り組むこととしています。
具体的には、自主企画事業の実施にあたり 、「おでかけアリオス 」における地域と連携したプログラムの作成や各種会合等における意見を事業へ反映させるなど、きめ細やかに対応していきます 。
5点目、いわき芸術文化交流館アドバイザーについて、会議開催の状況やアドバイスの内容も含めて、アドバイザーの意見はどのように反映されているか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
アドバイザーの皆様とは、年一回を目途に会議を開催し、運営体制や施設利用などに関する様々なご意見をいただいております。
これらを踏まえ、 PFI 事業後の運営体制の見直しや、ネーミングライツの制度設計、また、市内観光事業者との連携などに取り組んできたところであります。
四つは、歳出4款2項4目衛生費の清掃費の塵芥処理費の施設整備費について、です。
1点目、最終処分場整備事業について、新たな最終処分場の整備事業の概要はどうか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
新たな一般廃棄物最終処分場につきましては、現在、「燃やさないごみ」などを埋め立てている最終処分場の埋立終了を見据え、山田町にあるクリンピーの丘に隣接する土地を建設候補地として、整備しようとするものです。
整備計画の概要としましては、事業面積約11万6,000㎡、埋立容量12万6,000㎥、埋立期間20年としています。
2点目、最終処分場用地測量・補償調査業務委託について、積算根拠はどうか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
用地測量や境界確定に要する経費として、約9,900万円、立ち木や工作物等の補償物件調査に要する経費として、約3,400万円、あわせて、1億3,366万4千円を計上したところです。
3点目、整備事業の見通しについて、用地交渉など進捗状況も含めて整備事業の今後の見通しはどうか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
本年度におきましては、地元地区の皆様や地権者の皆様へ計画についての説明を行い、用地測量等についての概ねの了解を得ました。
令和5年度は、用地測量等を実施し、その後、用地取得に向けた交渉を開始する予定としています。
用地取得後は、基本設計や生活環境影響調査、実施設計などを行い、現在の最終処分場の埋立て終了見込みである令和18年度頃までには、供用開始したいと考えています。
五つは、歳出8款5項1目土木費の都市計画費の都市計画総務費の湯本駅周辺基盤整備事業費について、です。
1点目、事業費の積算根拠について、市街地再整備に必要な基盤整備等の具体的な事業費の積算内容はどうか、お尋ねします。
—答弁(都市計画部長)
昨年10月に策定した「常磐地区市街地再生整備基本計画」においては、「駅周辺の再編と交流空間の創出による市街地の再生」をまちづくりの目標として掲げています。
当 該事業は、その実現に向け、湯本駅周辺地区において、土地区画整理による基盤整備や周辺環境の再整備を行うものです。
令和5年度の事業費につきましては、土地区画整理事業の認可取得に必要となる、実施設計や換地設計、既存建物等の補償調査に加え、事業区域に近接する急傾斜地の法面調査に係る委託費等を計上しています。
2点目、地権者等の理解と合意について、基盤整備に必要な地権者等の理解と合意は進んでいるのか、お尋ねします。
—答弁(都市計画部長)
当地区におきましては、空き地等の集約・再編により、集客力の高い空間を創出するため、土地の区画形質の変更、公共施設の整備、及び権利関係の整理を一体的に実施する土地区画整理の事業化を進めているところです。
当該事業においては、宅地の権利移動等が伴うため、権利者の皆様との合意形成に向けた、丁寧な説明が必要であると認識しています。
このようなことから、これまで事業説明会や個別面談等を重ねてきたところであり、事業に対する概ねの合意が図られている状況にあります。
令和5年度においても、宅地の再配置、いわゆる換地計画の検討や事業認可に向けて、より具体の説明を実施することとしており、事業に対する皆様の不安を解消しながら、円滑な事業推進を図ります。
六つは、歳出8款5項6目土木費の都市計画費の都市公園事業費の都市公園整備事業費(中心市街地活性化分)について、です。
1点目、事業費の積算根拠について、(仮称)磐城平城・城跡公園の整備事業費の具体的な積算内容はどうか、お尋ねします。
—答弁(都市計画部長)
(仮称)磐城平城・城跡公園については、令和2年度から実施した埋蔵文化財の調査状況を踏まえ、
昨年6月に基本計画の見直しを行いました。
現在、見直した基本計画に基づき、まちなかで歴史、文化、自然に親しむことのできる空間となるように整備を進めています。
令和5年度の事業費については、アプローチ階段や園路、広場などの整備を行う工事請負費、埋蔵文化財の調査結果の取りまとめやガイダンス施設内に展示・設置する、模型やデジタルコンテンツ制作などの委託費、これらに関連した備品購入費などを計上しています。
2点目、今後の整備事業の見通しはどうか、お尋ねします。
—答弁(都市計画部長)
来年度からは、本市の歴史を学び・伝える場などとなるガイダンス施設の建設が本格化し、その周辺の園路や広場等の施設の整備にも着手していきます。
また、いわき駅北口からの主要なアクセス動線となるアプローチ階段の整備にも着手し、事業全体として、令和6年度末の完成を目指します。
七つは、歳出10款5項6目教育費の社会教育費の文化振興費の地域で守る文化財保護費について、です。
1点目、事業費の積算根拠について、「文化財サポーター」制度の創設による事業費の具体的な積算内容はどうか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
文化財サポーターに係る積算内容については、主なもので申し上げますと、文化財の保全活動などに協力していただけるボランティアを募集するためのチラシや会員証の印刷製本費が約18万2千円、保全活動等を行う際の専門家による指導報酬・旅費が約8万1千円などとなっています。
その他、白水阿弥陀堂の浄土庭園のハスの再生等に係る経費として約461万7千円を計上しています。
2点目、文化財の良好な保全に向けた今後の見通しはどうか、お尋ねします。
—答弁(観光文化スポーツ部長)
文化財については、所有者や保存団体、地域住民等の尽力により、保全が図られてきたところですが、所有者等の高齢化などによる担い手不足が課題となってきています。
そのため、文化財サポーター制度を創設し、市民の皆様と協働で天然記念物「差塩湿原」などの保全活動に取り組んでいきます。
また、保全活動や文化施設でのイベント参加などを通して、身近な文化財や地域の歴史・文化への理解・関心を深め、郷土愛を醸成することで、将来にわたって文化財の良好な保全が図られるよう努めてまいります。