脱原発弁護団全国連絡会事務局から、地震学者で元原子力規制委員会委員長代理を務めた島崎邦彦さんの渾身のノンフィクション、『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』の発刊のお知らせが届きました。以下に紹介します。
3月24日、地震学者で元原子力規制委員会委員長代理を務めた島崎邦彦さんの著書が発売されました。
現在、アマゾンの思想・社会の法律のカテゴリで1位となっております。
3・11直前の3月9日に公表されるはずだった長期評価第二版では、仙台平野の奥深くまで、津波の襲来の可能性を示していました。
公表されていれば、報道され、一般市民の津波への警戒が全く異なったと思われます。
しかし、原子力ムラの妨害によって、公表されることはありませんでした。
しかも、3・11当日夜の会議では、想定されていたにもかかわらず、「想定外」という言葉を一人歩きさせる評価文を出すことになる。
その裏には、たびかさなる秘密会議がありました。
関わった人物を実名で挙げています。
岸田政権の原発回帰の折、福島第一原発事故から12年のこの3月に出版された意義はとても大きいと思います。
脱原発弁護団全国連絡会のウェブサイトにも紹介いたしました。
多くの方にお読みいただき、この事実を知っていただきたいと思います。
広めてください。
すでにお読みになって、広めてくださっている方にも、感謝申し上げます。
どうぞよろしくお願いいたします。
島崎邦彦/著
『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』
3.11の大津波から12年
渾身のノンフィクション
国の地震対策本部責任者で地震学者が内部から告発!
きちんと対策すれば、大津波地震による福島原発の事故は防げ多くの人たちが助かった。
しかし東京電力と国は、対策をとらなかった。
いったい、何があったのか? なぜ、そうなったのか?
そして、いまも状況は変わっていない。
二〇一一年の3・11大津波と原発事故は、多くの人たちの命を、暮らしを、家族と友を……全てを奪った。今もたくさんの人たちが苦しんでいる。
この災いは、どのようにして起こったのか。なぜ、止めることができなかったのか。やりきれない思いを胸の奥にとどめて、多くの人たちが忙しい毎日を過ごしているのではないか。
何が起こったのか。それを知って欲しいと思い、私はこれまで科学雑誌で書いてきた。この本には、これまで書いたことのまとめと、あたらしくわかったことを書いた。そして私が思ったこと、感じたことも書いた。この災害は人災だと思う。
大津波の警告は、二〇〇二年の夏、すでに発表されていた。この警告に従って対策していれば、災いは防げたのだ。3・11大津波の被害も原発事故も防ぐことができたのである。
「まえがき」より
まわりで、おかしなことが起こっている。それはわかった。
今思えば、まわりに多くの原発関係者がいた。その人たちは何が起こっているかを、わかっていたと思う。が、声をあげた人はわずかだった。その声は多くの人には伝わらなかった。もし私が背後の動きを察することができたらと、本書を書き終えてから想像する。結局、何もできなかったかもしれない。
大事なことは声をあげること、広く声を伝えること、そしてみなで支えることだ。本書がその一助になれば、これにまさる喜びはない。
島崎邦彦
●島崎邦彦(しまざき くにひこ)
東京大学名誉教授・元日本地震学会会長
1946 年 東京生まれ
1968 年 東京大学理学部地球物理学科卒業
1970 年 東京大学大学院修士課程終了
1974 年 理学博士(東京大学)
1970 ~ 1980 年 東京大学地震研究所助手
1980 ~ 1989 年 東京大学地震研究所助教授
1989 ~ 2009 年 東京大学地震研究所教授
1995 ~ 2012 年 地震調査委員会委員、長期評価部会長
2001 ~ 2004 年 海溝型分科会(第一期)主査
2006 ~ 2008 年 日本地震学会会長
2009 年 東京大学地震研究所教授を定年退職
2009 年~ 東京大学名誉教授
2012 ~ 2014 年 原子力規制委員会委員長代理