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理解なしで8月放出強行するのか、中止を求め東電交渉

 脱原発福島ネットワークなど福島県内の10市民団体は、5月19日午後、いわき市内で再開第72回東電交渉を実施しました。
 今回は、汚染水の海洋放出をめぐって重大な局面を迎え、3月16日に提出した、「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」の回答と質疑の一部が行われました。
 質疑では、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁連等との文書約束を守ることについて、東電側が「遵守するとの方針に変わりはない」というのに対し、市民側は「漁連も地元も反対が多数、現段階では流せない」「海水浴場、流さないでと言う意見。流さないでとの意見は広がっている」と主張、東電は「理解を得るよう、並行して努力していく」「懸念の声は承知している。理解の基準は難しい」とし、市民側の「最終的に東電が決めるのか」に対し、東電は「国の考え」としたため、市民側は「理解なしで夏8月に放出を実施するのか、政府に延期を進言するのか」と迫まりましたが、回答は次回とし、夏の放出中止を明言しませんでした。
 また、IAEAの安全指針GSG8(GSG-8 「公衆と環境の放射線防護」)では、放射性物質が国境を超えて流された場合は「害よりメリットが上まわなければならい」とされ「このIAEAガイドラインに今回の放出が抵触するのではないか」との問いにも答えられず、次回の回答としました。
 市民は、政府と東京電力の夏8月の海洋放出の強行を許さず、海に流すなの声を広げます。

●東京電力の回答と主な質疑内容は以下のとおりです。
 
1、3月16日提出の「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」への回答と質疑

① 「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁連等との文書約束を守り、理解と合意のない汚染水の海洋放出は中止すること。
[回答]
・多核種除去設備等処理水(以下、「ALPS処理水」という)に関し、当社として、「2015年の漁業関係者の皆さまからの申し入れ」に対するご回答を遵守するとの方針に変わりはありません。
・当社としては、ALPS処理水の取り扱いに関し、安全な設備の設置や運用などの計画に基づく安全確保や科学的根拠に基づく国内外への情報発信、海域モニタリング強化などの政府の基本方針を踏まえた取り組みをしっかり進めるとともに、引き続き、漁業関係者の皆さま、地元をはじめとする皆さまのご懸念やご関心に真摯に向き合い、ALPS処理水の取り扱いに関する当社の考えや対応について丁寧に説明をさせていただく取り組みを重ねてまいります。

[市民質問] 
・理解なしに処分はしないと言うことですね?
[東電回答]
・方針としては変わらない。
[市民質問] 
・漁連も地元も反対が多数、現段階では流せないですね?
[東電回答]
・理解を得るよう、並行して努力していく。
[市民質問] 
・海水浴場、流さないでと言う意見。流さないでとの意見は広がっているが丁寧な説明の内容は?
[東電回答]
・懸念の声は承知している。理解の基準は難しい。データの公表などでご理解をいただき、安心を広げたい。
[市民質問] 
・最終的に東電が決めるのか?
[東電回答]
・国の考え。我々はファクトを示していきたい。
[市民質問] 
・文書約束したのだから理解を得たと言う文書を交わすのが普通では?
[東電回答]
・その先どう言う手段で進められるか。現段階では決まっていない。
[市民質問] 
・2015年の大臣と社長の角印を押印した文書を覆せるのか?
・約束遵守というなら放出設備作れないはずではないか?
[東電回答]
・設備は急にできないので。
[市民質問] 
・理解なしで夏8月に放出を実施するのか、政府に延期を進言するのか?
[東電回答]
・次回、回答

② 放出する全放射性核種の濃度、総量などの全情報を公開し、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮による放射能の蓄積とフィードバックを再評価すること。
[回答]
・情報公開については、正確かつタイムリーに処理水ポータルサイト等のホームページに好評を予定しています。
・人および環境への放射線影響評価については、国際原子力機関(IAEA)安全基準文書、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に従って評価しており、2023年2月にはALPS処理水の海洋放出に係る放射線環境影響評価報告書(建設段階・改訂版」として公表しております。
放射能の蓄積等の考え方については、同報告書の中において、海水と海底土又は海産物の問題で、通常では放出開始数年経過しなければ到達することがない平衡状態(吸着と離脱がバランスした状態)に瞬時になることを仮定し、放出期間中に発生する最も高い被ばく線量を計算したものであることを明確に記載しております。
今後、放出を開始した後であっても、運用に関する検討の進捗、各方面からいただいた意見、第三者によるクロスチエックなどを通じて得られる知見を適宜適切に反映するとともに、必要な場合には評価を見直し、本報告書を改訂するとともに、さらに必要に応じて放出計画等に反映してまいります。

[市民質問] 
・放出の2ヶ月前にHPに公表に信頼性があるのか?
[東電回答]
・2ヶ月前は短縮する。
[市民質問] 
・なぜ29核種の測定になったのか?
[東電回答]
・29核種は許可上の核種。その他68核種測定できる。 NDも分析する。
[市民質問] 
・ALPSの稼働、利用状況は?
[東電回答]
・次回、回答。
[市民質問] 
・IAEAの安全指針GSG8(GSG-8 「公衆と環境の放射線防護」)「放射性物質が国境を超えて流された場合、害よりメリットが上まわなければならい」、このガイドラインに今回の放出が抵触するのではないか。
[東電回答]
・次回、回答。
[市民質問] 
・タンク貯留水の各種の全てがわからないと環境影響評価ができない。10基で30lのサンプル分析は驚き。

③地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンク保管案やモルタル固化保管案等の検討、スラリー安定化処理設備の設置など、汚染水についての抜本対策を確立すること。
[回答]
・汚染源を「取り除く」、汚染源に水を「近づけない」、汚染水を「漏らさない」の3つの基本方針に沿って、地下水を安定的に制御するための、重層的な汚染水対策を進めていきます。
○地下水の止水
・中長期ロードマップに記載されている「2025年内に汚染水発生量を、1日当たり100㎥以下に抑制」目標の達成を目指して取り組みを継続しております。中長期的な汚染水抑制対策については、局所的な建屋止水と並行して、建屋外壁の止水性をさらに向上させる方策の検討を行い、それらの工法の組み合わせを含めて2028年度までに準備してまいります。局所的な建屋止水の効果及び建屋外壁止水の検討結果や、建屋周辺の燃料デブリ取り出しなどの廃炉作業の状況も踏まえて、て2028年度までに中長期的な汚染水抑制対策(建屋外壁止水)の進め方を具体化してまいります。
(回答続く)

[市民質問] 
・建屋外壁止水の内容は?
[東電回答]
・配管貫通部にモルタル注入を行う。
[市民質問] 
・凍土遮水壁耐用年数7年、老朽化は?
[東電回答]
・メンテナンスして使用。
[市民質問] 
・柴崎氏の提案の遮水壁は東電で検討したのか?
[東電回答]
・承知しているが、止水は建屋の近傍の方が良い。
[市民質問] 
・発生量が減っているなら急ぎ流さなくても良いのでは?
[東電回答]
・タンク貯蔵満杯の時期は、少し伸びたが、先送りできない。



●理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書

東京電力ホールデングス(株)代表執行役社長 小早川 智明 様  
                      2023年3月16日

 福島第一原発事故から12年。政府の原子力緊急事態宣言は未だ解除されず、「1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」では廃炉完了を2051年としていますが、福島第一原発の廃止措置の完了形態は、法的に定められていません。
 2021年実施予定だった燃料デブリ取り出しも不透明な状況で、貴社と政府は、「復興と廃炉の両立」の名の下、「廃炉を計画的に進める必要」「デブリ取り出し等に大きなスペースが必要」として、一昨年4月、汚染水の海洋放出を決定して以来、設備工事を進め、昨年8月以降、全国のテレビCM・WEB広告・全国紙の新聞広告などで、放出強行のために安全宣伝を実施し、被害発生を前提にした「風評対策」を公表しました。本年1月13日、政府の「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」は、「設備工事の完了、工事後の規制委員会の使用前検査やIAEA の包括的報告書を経て、海洋放出の時期は、本年春から夏頃と見込む」としました。
 これは、『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という貴社と政府の福島県漁連や全漁連に対する2015年の文書約束を反故にするもので、漁業者ばかりか、福島県内農林水産業・消費者4協同組合組織が反対し、福島県内自治体議会の多くが、海洋放出の反対・慎重の意見書を採択してきたことを無視するもので、約束を守らず、被災者にさらなる負担と苦悩を強いるもので、多くの福島県民が不信感を抱いており、到底認められません。
 翻って、132万トンを超えるタンク貯蔵汚染水を、年間22兆ベクレルを上限に30年を超えて福島県沖へ放出する計画は、トリチウムや炭素14を含めた核種を、告示濃度限度以下に海水で薄めて流しても総量は同じであり、放出水に含まれる全ての放射性核種の定量確認もないまま、多量の放射性核種が福島の海に流され、太平洋が人工放射能で環境汚染されていきます。貴社は、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮は「1年以内で平衡になる」と「放射線影響評価報告書」で放出による放射能の蓄積とフィードバックを過小評価していますが、検証が不十分です。
 また、多核種除去設備の汚染水処理で発生する高線量の液体状二次廃棄物(スラリー)は、現在、ポリエチレン製のHIC容器に詰められコンクリート製ボックスカルバートに収納され、使用済みセシウム吸着塔一時保管施設に保管されていますが保管容量が2025年6月で逼迫します。長期保管に伴う漏えいリスク低減のための脱水によるスラリー安定化処理設備の設置も見通が立っていません。HICの保管場所なくなればスラリーの行先はなく、ALPSの稼働が不可能になり、汚染水の二次処理どころではないのです。
 漁業者の反対、宮城県など周辺自治体の反対、アジアの近隣諸国はじめ昨年の国連総会で大統領が反対演説を行ったミクロネシア連邦やオーストラリアなど16ケ国が加盟する太平洋諸島フォーラムや全米海洋研究所協会などから安全性への懸念が世界に広がっており、貴社は、『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』という福島県漁業協同組合連合会等との文書約束を守ることが信頼回復の前提です。このまま強引に海洋放出を強行すれば将来に大きな禍根を残します。
 以下、放出の中止を強く要請し誠意ある回答を求めるものです。
        記
1、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁連等との文書約束を守り、理解と合意のない汚染水の海洋放出は中止すること。
2、放出する全放射性核種の濃度、総量などの全情報を公開し、海底土や海浜砂、生物への吸着・濃縮による放射能の蓄積とフィードバックを再評価すること。
3、地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンク保管案やモルタル固化保管案等の検討、スラリー安定化処理設備の設置など、汚染水についての抜本対策を確立すること。
4、本件の説明・公聴会を福島県内はじめ全国で開催すること。 

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by kazu1206k | 2023-05-20 20:28 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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