35番、創世会の佐藤和良です。
通告順に従い一般質問を行います。
大きな第一点、いのちを守る、災害に強いまちづくりについて、です。
1点目は、流域治水について、です。
令和元年東日本台風などの激甚な水害を踏まえ、本市においても、河川流域のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害の軽減を図る「流域治水」を進めており、夏井川・鮫川・藤原川の3水系について、河川管理者の県や流域市町村と連携して、河川改修等のハード整備や避難・水防等のソフト施策を示した「流域治水プロジェクト」を策定し、水害の防止・軽減に向けた取り組みを推進しています。
①まず、本市における流域治水の現状について、夏井川・鮫川・藤原川の3水系の流域治水協議会の設置により流域治水プロジェクトを策定し防災対策を進めていますが、それぞれの進捗状況はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
流域治水プロジェクトは、国・県及び流域市町村等で構成された流域治水協議会において、各水系ごとに、流域市町村に係る施策を取りまとめたものであり、その数は217となっています。
そのうち、市内で位置付けられている施策数は、191であり、水系ごとに申し上げますと、夏井川水系では全77のうち63、鮫川水系では全75のうち61、藤原川水系では全67であり、その全てにおいて着手済みです。
②次に、流域治水プロジェクトの追加更新について、夏井川・鮫川・藤原川の3水系の流域治水プロジェクトを策定後、新たな取り組みなどの追加更新はどのようなものがあるか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
新たな取組みによる追加更新としましては、本年3月に3水系合同で開催した流域治水協議会において、水田に降った雨を一時的に貯留する田んぼダムの取組みを追加しました。
具体的には、夏井川水系の神谷地区及び鮫川水系の山田地区で県が進める「ほ場整備事業」において、雨水の流出を抑制する排水桝を設置するものです。
③次に、流域治水プロジェクトの令和5年度事業について、緊急重点河川改良事業、緊急重点河川等堆積土砂撤去事業、河川洪水ハザードマップ整備事業の概要はどうなっているか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
令和5年度におきましては、河川堤防の強化を行う「緊急重点河川改良事業」とて、普通河川山王田川など19河川について実施する予定です。
また、河川内に堆積した土砂の撤去を行う「緊急重点河川等堆積土砂撤去事業」として、準用河川新田川など24河川について実施する予定です。
さらに、「河川洪水ハザードマップ整備事業」として、二級河川神白川及び末続川について、作成・公表する予定です。
④次に、本市における流域治水への住民参画について、「流域治水はあらゆる関係者が連携・協働して取り組む治水対策」として、「施策への積極的な住民参画が必要」と指摘されており、住民参画に向けての「知らせる」「意見をきく」については、どのような取り組みを進めるのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
住民の皆様に参画して頂くためには、流域治水の考え方を広くお知らせし、意見を聞くことが大切です。
この「知らせる」、「意見をきく」取組みについては、市ホームページや出前講座等での周知・啓発に加え、河川に係る団体等との勉強会を実施してきました。
今後におきましては、更なる周知のため、県と協力しながら、河川改良工事等の現場見学会の開催やパンフレットの発行などを行っていきます。
また、広く意見を聞くため、流域の関係者の皆様との意見交換会などについても開催していきます。
⑤次に、地域住民の積極的な参加について、民間有識者からは、行政区単位などで年1回協議の場を設置すること、草刈り・畑・レジャーなど住民による河川敷の活用を進めること、新堤防に階段を設置して川と接する住民参加を進めること、防災拠点の「夏井川防災ステーション」などを活用することなどの提案がありますが、住民参加を日常的なものにするためこれらの提案にどう対応するのか、お尋ねします。
—答弁(土木部長)
民間有識者から頂いた提案については、地域住民と河川管理者が協働により、流域治水を推進するための有用な取組みであると考えています。
そのため、夏井川河川防災ステーションにおいては、流域住民等により組織された団体からの要望を受け、「防災・環境教育の場」として、また、「地域の防災活動やコミュニティ活動の場」として利活用が図れるよう、昨年度、管理運営に関する要領を策定しました。
その他、地域住民との協議の場の設置や草刈りなどの維持管理を含めた河川敷の活用と、それに必要となる堤防への階段等の設置については、今後、県と連携し、地域の皆様の意見を聞きながら検討を進めていきます。
⑥次に、大型再生エネルギー施設建設に伴う問題点について、平成元年と令和元年の過去2回の大規模水害の経験を踏まえ、民間有識者からは、多数の風力発電施設の設置に伴う林地開発などが被災要因の増大となる可能性が指摘されていますが、これら被災要因の増大となる問題点に対して、本市はどのように対応するのか、お尋ねします。
—答弁(農林水産部長)
森林は、土砂流出の防止や洪水緩和等の公益的機能を有しています。
それらの機能が無秩序な開発によって、損なわれないよう、森林法により一定のルールが定められています。
具体的には、開発面積が1haを超える場合は、県の林地開発許可が必要となり、1ha以下の場合は、市への小規模林地開発計画書の届出が必要となります。
市内における、大型再生エネルギー施設の建設は、そのほとんどが、県の林地開発許可を受け、事業が実施されている状況にあります。
このため、今後におきましても、森林の有する公益的機能が損なわれることがないよう、県と十分に連携を図りながら、林地開発許可制度の適正な運用に努めます。
⑦次に、大型再生エネルギー施設建設に伴う森林部の保水力確保について、民間有識者は、阿武隈山系への集中立地による大規模な自然環境の改変が、雨・土砂流出率の増大、地下水脈への影響、低周波による健康障害、生息生物環境の変化、景観の変化など、建設地域の自然環境と生活の生業と対立することを指摘していますが、流域治水の観点から、本市として森林部の保水力の確保策を検討すべきではないか、お尋ねします。
—答弁(農林水産部長)
本市の流域治水プロジェクトにおいては、森林部の保水力の確保に向けた取り組みとして、「適正な森林整備の推進」及び「治山事業の実施」を位置付けています。
市といたしましては、このプロジェクトの趣旨を踏まえ、間伐等の森林整備を行う森林経営管理事業や山腹の法面保護及び治山ダムを整備する治山事業を今後も着実に実施して参ります。
こうした取組みを通じ、森林の有する土砂流出防止機能や洪水緩和機能の維持・強化に取り組んでいきます。
この流域治水という考え方で、新しい、関係者、国、県そして各自治体、自治体の地域住民ということで、全体で、治水について対応していこうという考え方でございますので、今ほどの両部長の答弁もございますが、この今問題になっている再生可能エネルギー施設の開発、設置に伴う様々な問題点についても、やっぱり県、市がよく協議をしつつ、立て付けがかなり問題な訳ですけれども、そういう中でも、ひとつ住民の被害ということがないように、やっぱりこの風力発電等の開発についても、対応していただきたいと思います。この多数の風力発電施設設置による大規模な自然環境の改変が、雨、土砂流出率の増大や地下水脈へも影響することから、やはり流域治水の観点から、森林部の保水力の確保・強化を要望いたしまして、次に移りたいと思います。
2点目は、いわき市雨水管理総合計画について、です。
本市は、「いわき市雨水管理総合計画」を策定し、下水道区域内の施設整備や内水ハザードマップの作成などの雨水対策を進めています。
近年の気候変動の影響を踏まえ、国が「雨水管理総合計画策定ガイドライン(案)」により、雨水対策を見直したため、本市も令和5~24年度までの20年間の計画改定の素案を作成し、市民の皆様からのご意見を募集しました。
⑧まず、いわき市雨水管理総合計画の目標について、整備目標・対策目標など前計画から変更された主なものはどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
主な変更内容については、施設の整備基準となる計画降雨を、これまでの1時間あたり47.4mmから、52.1mmに引き上げ、それに対応できる施設の整備を進めていくこととしています。
また、浸水想定区域を設定するための対象降雨を、これまでの1時間あたり91mmから120mmに引き上げ、今後は内水ハザードマップの見直しを行うこととしています。
⑨次に、いわき市雨水管理総合計画の課題整理について、選定した優先度の高い排水区の課題はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
本計画においては、市内300排水区のうち、11排水区を特に優先度の高い対策区域に選定しています。
対策区域における課題については、ポンプ設備等において、供用開始から約50年が経過しており、設備の老朽化が著しく、施設の改築更新が急務であること。
また、ポンプ設備等の排水能力の不足により、浸水被害が発生しやすくなっていることなどです。
⑩次に、いわき市雨水管理総合計画の段階的整備・対策方針と段階的対策計画について、雨水管渠整備、ポンプ施設整備、雨水貯留施設等の整備など効果的な雨水対策とされる施設の能力増強や貯留施設等による防災対策や減災対策として、当面の令和5〜9年の期間に事業着手する対策はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
防災対策の主なものとしては、玉川排水区における林城ポンプ場の建替や、関田排水区における関田ポンプ場の能力増強などを予定しています。
また、減災対策としては、主に下水道施設の耐水化や、内水ハザードマップの見直しなどを予定しています。
⑪次に、今後の課題について、今回の計画改定で選定した11排水区以外の今後の対応はどのように考えているのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
新たな計画降雨である1時間あたり52.1mmに対応した、排水施設の能力評価等を、施設の老朽化状況や浸水実績等を考慮して順次行いながら、雨水管渠やポンプ場等の施設の整備を進めていきます。
しかしながら、これらの施設の整備には長期間を要することから、整備に着手するまでの間は、適切な施設の管理・運用を図るとともに、内水ハザードマップのさらなる周知に努めます。
3点目は、藤原川水系の谷地川排水区における浸水対策について、です。
令和元年9月定例会で谷地川排水区を取り上げ、泉町滝尻地内の道路冠水の解消と浸水対策を要望しましたが、令和元年東日本台風や大雨時に度々冠水が発生し、浸水しやすい状況が続いています。
⑫まず、谷地川排水区の現状について、泉町の六枚内交差点付近は、藤原川水系谷地川の越水氾濫等により、浸水の常襲地帯となっていますが本市は現状をどのように認識しているか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
谷地川排水区は、市道渚・滝尻線周辺のJR常磐線付近から二級河川藤原川に至る範囲を排水区域としております。
その下流部に位置する六枚内交差点付近において、ゲリラ豪雨等が発生した際に、道路冠水が発生していることを認識しております。
⑬次に、行政区等地域住民の藤原川水系谷地川の浸水対策の要望について、平成26年度には地元の泉町滝尻区会6区長連名のうえ代表区長から、本市に対し藤原川水系谷地川の浸水対策についての要望書が出されていますが、これに対する対応はどのようなものだったか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
平成26年度の地元からの要望を受けて、平成29年度から、谷地川1号雨水幹線の通水断面を確保することを目的として、護岸補修工事を進めています。
また、定期的な堆積土砂の撤去及び除草等を継続して実施しているところです。
令和元年東日本台風の時には、コンビニのあたりから大規模に越水してしまい、六枚内交差点は全面冠水した上で、周辺の田んぼが全面池のようになり、あと10センチ程度で付近の住家に浸水するというようなところまで行っているのです。ですから、従前の断面確保のための、東日本大震災の後から堤防の補修も行なって断面確保ということで、草刈り等々もやってるのはわかるのですが、それだけでは対応しきれないという状況が出てきておりますので、もう少し抜本的な策を練る必要があるのではないか、と考えております。
⑭次に、谷地川1号雨水排水幹線への対応について、浸水状況の改善に向けて、今後どのように対応するのか、お尋ねします。
—答弁(生活環境部長)
谷地川排水区の現状把握に引き続き努めるとともに、谷地川1号雨水幹線の通水断面を確保するための取組みを継続します。
また、順次行っている排水施設の能力評価等を今後実施する予定としており、その結果を踏まえ、どのような浸水対策が必要かの検討を行います。
どのような対策が必要か、今後も検討していくということでありましたけれども、令和元年東日本台風で、結局は、藤原川からバッククラッシュといいますか、谷地川方向に、結局は流入して、それが飲みきれなくて、越水すると。それで、周辺で冠水するという状況が、最大今まで経験した中ではあるわけですね。それで、従来から、あの付近は、現在のようなあのバイパスができて、住宅ができて、という前から、藤原川の氾濫が常襲地帯であったところでありまして、そういう意味での歴史的経過もありますので、抜本的な対策を講じていく必要があるだろうと思うんですね。
6月2日の大雨でも、先ほど申しましたように冠水が発生しましたし、今後、今年は、少し荒れるんじゃないかなという予想もありますから、よくやっぱり検討をしていただきたいなというふうに思います。その意味で改めて、この甚大な被害の前に、谷地川1号雨水排水幹線の浸水状況の改善のために、ポンプ施設の整備も含めて、効果的な対策の確立を要望しまして、次に移りたいと思います。
続く