人気ブログランキング | 話題のタグを見る

一般質問の報告2ー障がい者福祉人材の確保・農福連携、保育士等の処遇改善を

 いわき市議会6月定例会の一般質問の詳細を3回に分けてご報告いたします。
 第2回は、「いのちを守る、障がい者福祉の充実について」「いのちを守る、子育て環境の整備についてです。

1 いのちを守る、災害に強いまちづくりについて(第1回)
 (1)流域治水について
 (2)いわき市雨水管理総合計画について
 (3)藤原川水系の谷地川排水区における浸水対策について
 
2 いのちを守る、障がい者福祉の充実について(第2回)
 (1)障がい者福祉における人材の確保について
 (2)障がい者就労施設等における物品及び役務の調達量の拡大について
 (3)農福連携の現状について
 (4)視覚障がい者の日常生活用具「点字ディスプレイ」給付対象について
 
3 いのちを守る、子育て環境の整備について(第2回)
 (1)「不適切な保育」について
 (2)保育士・幼稚園教諭の人材確保策の強化について

4 いのちを守る、原子力災害対策について (第3回)
 (1)汚染水の海洋放出等への本市の対応について

----------------------------------------------------------------------------

大きな第二点、いのちを守る、障がい者福祉の充実について、です。

1点目は、障がい者福祉における人材の確保について、です。

まず、本市における福祉人材の現状について、若い人の参入が少ない、賃金が他産業と比べて安い、仕事が大変などの理由から、障がい者福祉の担い手不足が続いており、高齢者介護人材の求人と比較しても求人への反応が少ないという声が障がい者福祉事業所などから指摘されていますが、本市は昨年から今年にかけて実施した市障がい者計画の中間見直しに伴うアンケート調査やヒアリングを踏まえ、現状をどのように把握しているか、お尋ねします。
 —答弁(保健福祉部長)
 第5次市障がい者計画の中間見直し等に係る事業所へのアンケートの中で、事業運営で困難となっていることについて調査を行いました。
 その回答としては、「介護人材の不足」を挙げた事業所が38.8%と最も高く、次いで「人材の育成」が32.6%となっております。その他、「職員の定着」や「職員への研修」との回答が上位を占めております。
 以上の結果から、約4割の事業所が、人材の確保や育成等に苦慮しているものと把握しております。

次に、本市における障がい者福祉人材の確保の取り組みについて、これまで、いわき市地域自立支援協議会での検討や庁内各分野での取り組み、学校での福祉出前講座の強化など教育機関や地域の関係団体との連携を進めてきましたが、処遇改善策を含めて、現状を変えるために、本市は障がい者福祉における人材の確保の取り組みを、今後どう進める考えか、お尋ねします。
 —答弁(保健福祉部長)
 国は、障がい者福祉人材の確保・処遇改善に向け、昨年10月に障がい福祉サービス等報酬の臨時の改定を行いました。
 その改定では、処遇改善加算を取得している等の要件を満たす事業所等の福祉・介護職員を対象に、1人当たり収入を3%程度、月額平均9,000円相当を引き上げるための措置が講じられています。
 本市では、人材確保の取組みとして、これまでも、市自立支援協議会での検討を踏まえ、人材確保の取組みを積極的に行っている法人の職員を講師として、事業所の職員を対象に、人材育成や定着支援を図る研修を開催してきました。
 また、中学生等を対象に、障がい福祉分野への興味関心を持ち、将来の職業選択の一助としてもらうことを目的とした出前講座を実施しております。
 今後におきましては、引き続き、研修や出前講座を実施していくとともに、人材確保につながるより魅力的な内容となるよう努めます。
 また、処遇改善に資する報酬改定があった際には、説明会を開催するなど、事業所の加算取得を支援するほか、更なる処遇改善へ向け対策を講じるよう、中核市市長会などを通じて、国へ要望していきます。
 これらの取組みを通して、自立支援協議会等の関係機関とも連携しながら、障がい福祉の人材確保に努めていきます。

2点目は、障がい者就労施設等における物品及び役務の調達量の拡大について、です。

まず、障害者優先調達推進法による本市調達の現状について、本市の過去5年間の年度毎の調達目標と調達実績はどうなっているか、お尋致します。
 —答弁(保健福祉部長)
 調達目標額に対する実績額につきまして、年度ごとに申し上げますと、平成30年度は、550万円に対し1,012万円、令和元年度は、 1,000万円に対し912万円、令和2年度は、930万円に対し 875万円、令和3年度は、1,000万円に対し964万円、令和4年度は、1,046万円に対し919万円となっております。

次に、調達促進に向けた仕事の拡大について、障がい者就労施設等における物品及び役務の調達量の拡大に向けた仕事拡大を具体的にはどう進めるのか、お尋ねします。
 —答弁(保健福祉部長)
 市では、販売する製品や提供できる役務の内容などを掲載したガイドブック「はんどめいどいわき」を作成し、市内の企業等に配布するなど、障がい者就労施設等が行う事業について、調達量の拡大に努めています。
 また、庁内各課に対し、物品や役務に係るニーズ調査を実施し、その結果を障がい者就労施設等へ情報提供することで、マッチングの機会を増やし、調達量の拡大を図る取組みを実施しています。
 今年度からの取組みといたしましては、一層の調達量拡大に繋がるよう、就労継続支援事業所などが製作する授産製品の情報について、画像によって視覚的にメッセージを伝えることができるインスタグラムを主軸として、各種SNSを活用した情報発信を行っています。
 今後は、新型コロナウイルス感染症により、各種イベント等が中止になった影響を受け、受注が低迷したとの声も聞かれることから、機を捉えて、市内のイベント情報を積極的に事業所へ提供していきます。
 なお、事業所で組織する就労継続支援事業所連絡会においても、各事業所の作業内容や授産製品の情報共有を密にしながら、新商品の開発や、販路を拡大する方策について検討しているところです。

3点目は農福連携の現状について、です。

 本市では、農業と福祉が連携する農福連携について、令和3年4月に設立された市農福連携協議会にJAや福島県授産事業振興会などをメンバーに加え、農福連携の普及・啓発に取り組み、関係者による農福連携スタディツアーなどを実施してきました。

まず、いわき市における農福連携の実施状況について、障がい者による除草作業やハウスにおける収穫作業など現状はどうなっているか、お尋ねします。
 —答弁(農林水産部長)
 市内の農福連携の実施状況について、令和4年度に行なった農業者及び就労継続支援事業所に対する意識調査の結果で申し上げます。
 農業者が障がい者を直接雇用している事例が6事例あり、大型のトマト栽培施設では、収穫作業や葉欠き作業、清掃作業などに従事しています。
 また、福祉事業所が自ら実施している事例が7事例あり、ぶどうを生産している福祉事業所では、利用者である障がい者が一部作業を除き、育苗から収穫、加工、包装、販売の全工程に従事しています。
 さらには、農業者と福祉事業所が作業受委託契約している事例が8事例あり、事業所職員の支援のもと除草や収穫などに従事しています。
 農業者や福祉事業所の状況により雇用形態は異なりますが、障がい者一人ひとりがそれぞれの適正に応じた業務に従事されています。

次に、農福連携の課題ついて、これまでの取り組みを通して、課題をどのように整理しているのか、お尋ねします。
 —答弁(農林水産部長)
 先ほど申し上げた意識調査によりますと、農福連携の認知度は、前回の令和2年度と比較し、福祉事業所においては、11ポイント上昇の97%となっています。
 一方、農業者においては、16ポイント上昇しているものの58%に留まっており、さらなる認知度の向上が課題です。
 また、農福連携に興味があると回答があった一部の農業者や福祉事業所からは、「障がい者の作業可能範囲が分からない」、「農作業の具体的な内容が分からない」などの意見が寄せられています。
 このように、農業者と福祉事業所の相互理解が十分ではないことが課題として挙げられ、そのため、農福連携に踏み出せない状況にあると捉えています。

21、次に、障がい者団体との農福連携の協議について、農福連携について障がい者団体から官民協議体の設置要望もあるが、本市の福祉・農業等の関係部署とJA及び障がい者団体との農福連携協議を具体的に進めてはどうか、お尋ねします。
 —答弁(農林水産部長)
 本市の農福連携の推進に向け、令和3年4月に、市が事務局となって、いわき市農福連携推進協議会を設置しました。
 その構成員として、福島さくら農業協同組合、福島県授産事業振興会、県いわき農林事務所及び市の関係各課を配し、全農福島及び福島県農業協同組合中央会にアドバイザーとして参加をいただいています。
 本協議会においては、情報発信と普及・啓発活動、マッチング支援などの取組みにかかる各機関の役割分担と相談先を明確にした支援体制を整備したところです。
 このため、支援体制についてさらなる周知を行うとともに、必要に応じ、市内の障がい者団体から本協議会に、ご意見をいただくなど、情報共有を密にしながら、農福連携に取り組んでいきます。

 今ほど、部長から答弁ありましたように、農福連携協議会の中で、一定の情報共有ができて課題を共有して取り組みを進めることを要望させて貰いたいと思います。
 
4点目は、視覚障がい者の日常生活用具「点字ディスプレイ」給付対象について、です。

22、日常生活用具「点字ディスプレイ」の給付について、昨年度まで視覚と聴覚の両方に障害のある方のみを給付対象にしており、視覚障がい者団体から視覚障がい者においても、日常に欠かせない生活用具であるため、視覚障がい者のみの方にも対象を拡大してほしいとの要望が昨年度だされていましたが、本年度から本市としてどのように対応しているのか、お尋ねします。
 —答弁(保健福祉部長)
 点字ディスプレイにつきましては、パソコン画面の文字の点訳のほか、点字によるメモを容易とする機能を有するなど、視覚障がい者が日常生活を送るうえで、大変有用な用具であると認識しています。
 このため、本年度から、聴覚障がいを併せ持つという要件を外し、障害等級が2級以上の視覚障がいのみの方に対して、給付できるよう対象を拡大したところです。
 なお、対象者の要件が変更したことについては、関係する障がい者団体を通じて、対象となる方に対し、周知をしています。

 ありがとうございます。周知をぜひ徹底していただいて漏れのないようにお願いしたいと思います。これまで障がい者福祉におけるそれぞれの事業の内容をお聞きしてきましたが、今後も障害者福祉の充実に向けてご尽力くださることを要望して次に移ります。

大きな第三点は、いのちを守る、子育て環境の整備について、です。

 こども家庭庁が「不適切な保育」の実態調査を行い、昨年4~12月に全国の保育所で、園児の心身に悪影響を及ぼす「不適切な保育」が計914件確認されたとし、うち90件は激しく揺さぶるなどの虐待と判断しました。いわき市でも2件不適切な保育が疑われるとされました。
再発防止には、共通の認識と実態把握の仕組みを整え、日々の保育の振り返りや研修も重要です。そして何より必要なのは、保育現場の慢性的な人手不足という構造問題を解決することです。

1点目は、「不適切な保育」について、です。

23、「不適切な保育」について、政府は、再発防止には、自治体による巡回支援の強化や、対応窓口の設置が重要だと強調していますが、本市としては実情を踏まえ、今後どのように対応する考えか、お尋ねします。
 —答弁(こどもみらい部長)
 保育施設等における虐待等と疑われる事案、いわゆる「 不適切な保育 」 については、幼稚園や保育所、認定こども園などの施設形態にかかわらず、広く相談を受け付けるため、本年1月に、専用の窓口をこどもみらい課に設置したところです。
 また、 保育の質の向上のための取組として、各種研修を実施しており、昨年度は、研修カリキュラムにこどもの人権・人格を尊重する保育をテーマとして組み込むなど、人権意識のさらなる醸成に努めています。
 さらに、より良い保育の認識を保育現場と確認・共有するため、公立幼稚園・保育所及び認可外保育施の巡回支援を実施しています。
 今後におきましてもこれらの取り組みを継続しながら 、「不適切な保育」の防止に努めていきます。

2点目は、保育士・幼稚園教諭の人材確保策の強化について、です。

24、まず、人材確保のための処遇改善手当について、4月下旬に中核市及び県内他市を調査したところ、保育士では中核市62市中28市、県内では13市中3市で、幼稚園教諭では中核市62市中11市、県内では13市中2市で処遇改善手当の支給制度が整備されています。市内で働く保育士・幼稚園教諭等の人材確保のための処遇改善手当について、本市として手当支給制度を検討すべきではないか、お尋ねします。
 —答弁(こどもみらい部長)
 現在、 公立保育所及び幼稚園に勤務する保育士及び幼稚園教諭に対しては、給与改定に基づく賃金改善を行っています。
 また、民間の保育所等に対しては、国の施策に呼応した保育士等の処遇改善に着実に取り組んでいます。
 さらに、本市独自の支援策として、職員の人件費にも充当可能な施設運営に係る補助を実施しており、各施設が職員に対する給与等の処遇改善を柔軟に行うことができます。
 お質しの本市独自の手当支給制度については、保育人材の処遇改善に直接つながる施策であると考えておりますが、制度導入には、多額の財政負担を伴うこと等の課題があります。
 このため、今後、他自治体で実施している施策も参考に、保育事業者等の意見を伺いながら、保育士等の人材確保に効果的な事業の再構築も含め、検討していきます。

25、次に、家賃補助制度について、保育士等の定住を促進し働きやすい環境を整備する目的で、事業者に対し、保育士の宿舎借り上げを実施する費用補助を行う、保育士宿舎借り上げ支援事業が、国の保育対策総合支援事業費補助金などの財源を活用して、各地の自治体で実施されており、本市でも令和5年度より保育士宿舎借り上げ支援事業が実施されますが、補助対象者である事業運営者からは7年制限の延長や撤廃の要望もあり、本市は今後どのように対応するのか、お尋ねします。
 —答弁(こどもみらい部長)
 保育士等宿舎借り上げ支援事業は、保育士等の人材確保策の一環として、国の補助を活用し、本年度から実施する新たな取組みです。このため 、当面は、国の制度設計に基づき事業を実施した上で、 本事業の趣旨である保育士等の施設への定着や離職防止策として効果的な取組みとなっているか 、事業の検証を継続的に行っていきま す。
 また、補助対象期間の拡充など補助要件の見直しにつきましては、県や中核市市長会を通じて国へ働きかけていきます。

26、次に、修学支援貸付金制度等について、4月下旬に中核市及び県内他市を調査したところ、保育士では中核市62市中7市、県内では13市中3市で、幼稚園教諭では中核市62市中1市、県内では13市中3市で修学支援貸付金制度が整備されていました。国の保育対策総合支援事業費補助金などの財源を活用した修学支援貸付金制度や保育士資格取得支援事業を創設してはどうか、お尋ねします。
 —答弁(こどもみらい部長)
 本市では、 一定の要件のもと、市内への就職を希望する大学生等に対し、奨学金返還のための補助金を交付する「市未来につなぐ人財応援奨学金返還支援事業 」を実施し、保育士や幼稚園教諭等も含めた人材の市内定着の促進に努めているところであり、大学生等に対して、さらなる周知を図っていきます。
 このため、お質しの修学支援貸付金制度など保育士等人材確保のための施策については、新たな財政負担を伴うなどの課題があることから 、他市の実施状況なども踏まえ、引き続き検討していきます。

27、次に、保育士の配置基準の見直しについて、国の配置基準は1歳〜2歳児6人に対し保育士1人が55年間、4〜5歳児30に対し保育士1人は74年間変わっていません。保育所等での重大事故の増大や保育所開所の長時間化の拡大から疲弊する保育現場の現状を考えて、保育の安全を守る観点から、配置基準の改善見直しが指摘されています。4月下旬に中核市を調査したところ、国基準と同基準の自治体が41市、市独自の基準で国より手厚い配置基準としているのが21市でした。本市としては、国に対し配置基準の改善見直しを強く働きかけるとともに、本市としてもより手厚い配置を検討すべきではないか、お尋ねします。
 —答弁(こどもみらい部長)
 公立保育所及び幼稚園においては、障がい児保育、いわゆる統合保育や乳児保育などの実施に当たって、本市独自の配置基準を加え、国の基準を超える職員数を配置しています。
 現在、国において、保育士の配置基準の見直しが検討されていますが、国の責任において対応すべきであると考えています。
 本市といたしましては 、国の配置基準の見直しの動向を注視しながら、安全・安心で質の高い保育の提供や保育現場の環境の改善を図るため、中核市市長会等を通じて、配置基準の見直しが着実に行われるよう国へ働きかけていきます。

再質問①
 国の現在の異次元の少子化対策って中で配置基準を見直す動向になっておりますが、本市としての独自の上乗せは今のところ考えてないっていうことなんでしょうね。今の答弁はね。そういうことですか。
 —答弁(こどもみらい部長)
 繰り返しになりますけど、公立においては、先ほど申し上げたように障がい児保育、いわゆる統合保育において、例えば、重度のお子さんですと障がい児1人に対し、保育士1人ということで、本市独自の基準を設けている。ただ、これは公立ということでございます。私立に関しては、基本的には国の、今、見直しがなされていますので、これを注視しつつ、しっかりと着実に行われるように、私どもとしては働きかけていきたいと考えております。

再質問② 
 先ほども申し上げましたけど、人づくり日本一を目指すというのが内田市政のテーマですからね。そういう意味で、UターンであれIターンであれ、子育て世代がいわき市に増えるという、増やしていくということは、そういう環境が整備されてはじめて成り立つ議論なんですよね。だからこの点で市長はどのようなお考えかお聞かせいただけますか
 —答弁(市長)
 こどもみらい部長が答弁申し上げたとおりですけれども、市の児童福祉施設の基準よりも、かなり上乗せして障がい児に関しての基準を設けております。そのためですね、他の自治体よりも基準を上乗せしている分待機児童が1人とか2人とか出ている状況になっているわけでございます。充実しているっていうことの裏返しであるわけですけれども、そういった部分は御理解いただければと思っております。あとですね、基準だけ緩めた場合もですね、やはり、前までの問にも出ているように、やはり保育士の待遇とかですね、成り手が厳しいっていう状況もございますので、そういったこともあわせてやりながら、そういった基準っていうものに関しましてはですね、成り手の確保ということとあわせて検討していくべき課題かなと思っております。

 まさにおっしゃる通りで、全体としての処遇改善と合わせて、子育て環境の整備ということを、改めて内田市政の人づくり日本一の大きな課題として強化することを、要望して次に移ります。
 
  続く

一般質問の報告2ー障がい者福祉人材の確保・農福連携、保育士等の処遇改善を_e0068696_15284105.jpg













by kazu1206k | 2023-06-08 17:17 | 議会 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k