1 いのちを守る、災害に強いまちづくりについて(第1回)
(1)流域治水について
(2)いわき市雨水管理総合計画について
(3)藤原川水系の谷地川排水区における浸水対策について
2 いのちを守る、障がい者福祉の充実について(第2回)
(1)障がい者福祉における人材の確保について
(2)障がい者就労施設等における物品及び役務の調達量の拡大について
(3)農福連携の現状について
(4)視覚障がい者の日常生活用具「点字ディスプレイ」給付対象について
3 いのちを守る、子育て環境の整備について(第2回)
(1)「不適切な保育」について
(2)保育士・幼稚園教諭の人材確保策の強化について
4 いのちを守る、原子力災害対策について (第3回)
(1)汚染水の海洋放出等への本市の対応について
大きな第四点は、いのちを守る、原子力災害対策について、です。
1点目、汚染水の海洋放出等への本市の対応について、です。
政府は「海洋放出の時期は本年春から夏頃」としています。
先月開かれた、国・東京電力といわき市漁協・小名浜機船底曳網漁協との意見交換会では、「後継者不足に拍車がかかるのではないか」「漁業継続のための国の支援はいつまで続くのか」「関係者の理解なしに放出しない、との約束をどう守るのか」など不安と不満の声がきかれたと報じられています。
28、まず、汚染水の海洋放出に関する動向について、国、県並びに近隣諸国や太平洋諸島フォーラムなど諸外国の動向について、本市はどのように認識しているのか、お尋ねします。
—答弁(危機管理部長)
令和3年4月13日に、多核種除去設備等処理水いわゆるアルプス処理水の海洋放出方針の決定後、国内の漁業者はもとより、中国や韓国など近隣諸国や太平洋諸島フォーラムなど諸外国は、海洋放出による環境汚染や健康影響及び風評被害を懸念し、海洋放出の反対や延期を求めております。
さて、国や諸外国の動向についてですが、国においては、漁業者をはじめ地元住民等との車座対話や事業者・各種団体との意見交換、テレビCMや新聞広告等を活用した情報発信、さらには国際会議や二国間対話の場での説明など、幅広く国内外向けに理解醸成の活動を実施しております。
加えて、海域モニタリング体制の強化や国際原子力機関IAEAによる国際的な基準に基づく調査受入など、安全性・透明性の確保に係る仕組みを強化しています。
一方、諸外国等の動向については、先月20日、G7広島サミットの首脳声明におきまして、「アルプス処理水の海洋放出についてIAEAの検証を支持する」、「科学的証拠に基づくIAEAと日本の透明な取り組みを歓迎する」と明記されました。
市といたしましては、国外においては、海洋放出について、一定の理解が進んだものの、国内においては、福島県漁連をはじめ関係者等の理解が十分に広がったとは言えないものと認識しています
29、次に、汚染水処理の放射性汚泥(スラリー)の保管容量の逼迫について、現在、多核種除去設備ALPSの汚染水処理で発生する高線量の液体状二次廃棄物は、ポリエチレン製容器に詰められ、コンクリート製ボックスカルバートに収納して、一時保管施設に保管されていますが、保管容量が2025年6月で逼迫するということで、海洋放出は30年間以上続くことから、保管場所なくなればスラリーの行先がなく、ALPSの稼働が不可能になります。汚染水処理にとって、放射性汚泥の保管施設の増設と安定化処理設備の設置が喫緊の課題ですが、本市は、国と東京電力にどう対応するのか、お尋ねします。
—答弁(危機管理部長)
アルプスで発生した放射性汚泥いわゆるスラリーの保管については、高性能容器いわゆるHIC(ヒック)に収納し、使用済みセシウム吸着塔一時保管施設に保管しております。
議員お質しのとおり、東京電力は、ヒック保管容量について、2025年6月に逼迫するとの予測を示しております。
また、スラリーのヒック保管についても、ベータ線照射影響による漏えいリスクを有していることから、スラリーを脱水・固体化する安定化処理設備の運用を2025年3月から開始し、スラリー保管量を低減していく想定でおりました。
しかしながら、昨年9月の特定原子力施設監視・評価検討会で示された、安定化処理設備の運用開始後における作業員の被ばくリスクの論点を踏まえ、東京電力では、当該設備の設計を見直したことから、運用開始時期が2026年度末に変更されております。
なお、安定化処理設備の運用開始遅延によるヒック保管容量逼迫に対するリスクに対しては、東京電力はヒック発生量を低減しつつ、保管施設を増設することにより対応するとのことです。
市といたしましては、現在計画している保管施設の増設及び安定化処理設備の配置について、計画通り進めるよう、県の廃炉安全監視協議会等を通して、進捗を確認してまいります。
30、次に、いわき市海水浴安全対策会議での関係者の意見について、7月15日から8月15日まで4海水浴場でオープンしますが、この海水浴安全対策会議では、関係者から「春夏を避けてとか、関係機関に働きかけをお願いしたい」「海水浴期間に放出されたら、やはり風評被害が来て、流したら来る人はいない」と、夏の放出の影響を懸念する声も出されております。市長は国と東電に対して、海水浴期間中はもとより海洋放出の中止を求める考えか、お尋ねします。
—答弁(市長)
先月16日に開催されましたいわき市海水浴安全対策会議におきまして、出席者から、海水浴場開設期間中のアルプス処理水海洋放出に係る風評発生を懸念する声が上がっております。
この声を受け、先月25日に国及び東京電力に対しまして、「新たな風評を生じさせないよう、広く国民に対しまして、安全・安心に関する情報発信を行うこと。」、そして「放出時期ありきではなく、関係者の理解を得る取り組みを丁寧に積み重ねること。」の2点を要望させていただいたところです。
今後とも、国及び東京電力に対しまして、海洋放出ありきではなく、関係者の理解醸成に向けてしっかりとした説明責任を果たすよう機会をとらえて要望して参ります。
31、最後の質問ですが、本市の今後の対応について、『関係者の理解なしには如何なる処分も行わない』という福島県漁連などに対する国と東京電力の2015年の文書約束の完全な履行を求めて、改めて強力に働きかけるべきではないか、合意なき海洋放出の強行をしないように働きかけるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(市長)
私は、これまでも国及び東京電力に対しましては、何度も申し入れてきたとおり、「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」とする福島県漁連との約束を、しっかり履行していただきたいと考えております。
さらに、漁業者をはじめとした関係者の方々が再び風評の犠牲となってはならないと考えております。
そのためには、国及び東京電力が、科学的根拠を示しながら、分かりやすく積極的に情報を発信するとともに、漁業者等の不安にも耳を傾け、関係者等に対して丁寧に説明し、理解を得ることが重要であると考えております。
しかしながら、国や東京電力において、昨年夏頃以降、様々な理解醸成活動を強化していることは承知しておりますけれども、漁業関係者をはじめ市民の皆様の理解が十分に広がっているとは評価できない状況であると考えております。
なお、先月25日に開催した国、東京電力と漁業関係者との意見交換会においても、処理水の海洋放出に伴う影響を懸念する声が上がったと伝えられていることから、未だ十分に理解醸成が進んでいる状況とは言えないと認識しております。
ついては、漁業者をはじめ、広く関係者等の理解を得ることに全力を尽くすよう、今後とも様々な機会をとらえ、国及び東京電力に対して強く求めていきます。