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汚染水政府交渉、海洋放出の費用34億円が1200億円に!

FoE Japanから8月17日汚染水に関する政府交渉の報告が届きました
以下にご紹介します。
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8月17日汚染水に関する政府交渉の簡単な報告です。
政府交渉では、参加者のみなさんの鋭い追及により、いろいろと重要なことが明らかになったと思います。
まさのあつこさんがまとめてくれました。ぜひご覧ください。
海洋放出ありきか:34億円→1200億円 88ヶ月→30~40年|地味な取材ノート
https://note.com/masanoatsuko/n/n3e19cb4ef406

質問書および経済産業省・東電からの回答を以下のサイトにアップしました。
https://foejapan.org/issue/20230810/13865/

〇「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束は遵守するのか?という問いに対して、経済産業省も東電も、遵守すると回答しました。
「遵守する」のに「海洋放出する」のか…。
どのように言葉の意味をねじまげるのでしょうか。
「言葉通りに遵守してください」と要請しました。

〇海洋放出の費用・期間について
今回の交渉で浮かび上がったのが代替案の検討のいいかげんさです。というか、最初から海洋放出ありきだったんでしょうね。
2018年当時、代替案を検討していたときの海洋放出の費用は17-34億円とされていたのが、現在では1200億円以上(つまり35倍以上)に膨れ上がっています。
期間も、52-88か月とされていたのが、30年以上になっています。
「これ以上海を汚すな!市民会議」の佐藤和良さんが追及してくださいました。
2018年当時のコストや期間については、以下の資料のp.32をご覧ください。
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/HPup3rd/5siryo.pdf

政府はトリチウムタスクフォースやALPS小委員員会で代替案を検討したとしてい
ますが、海洋放出の費用や期間が非常に過小評価されていたのです
「前提が大きく変わってきているのだから、一度立ち止まって考え直すべき」と参加者から強く要請しました。

〇モルタル固化処分案について
東電は、モルタル固化処分について「水和熱が発生する」などと反論してきました。しかし、これについては分割固化、水和熱抑制剤投入で対応可能です。
これについてきいたところ、東電は、「モルタル固化についてはALPS小委員会第14回(2019年9月27日)で議論した。資料5をご参照ください」と回答しました。
実際にその資料をみてみると、モルタル固化案ではなく地下埋設案について書いてあり、「固化による発熱があるため、水分の蒸発(トリチウムの水蒸気放出)を伴う」と2行書いてあるだけでした。
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/pdf/014_05_01.pdf
議事録をみても、ちゃんと議論されているわけではありませんでした。

モルタル固化案についてALPS小委員会の場で議論をした、というのはウソだったと思います。
また、水和熱の発生およびそれに伴う蒸発について東電はちゃんと計算をしたわけでもありませんでした。
ちゃんと検討しもしないのに、検討したと言い張る姿勢は大きな問題だと思います。

〇放出前の水の測定結果の公開から、放出までの期間は?
放出前の水について採取・測定→結果の公開まで、2か月を要する。結果を公開してから、放出の準備が整えば放出していく。
→つまり、パブリック・レビューの時間(一般の人が測定結果を見て、異議申し立てをする時間)を確保していないということになり、たいへん問題だと思います。

〇「年間放出管理計画」について
「年間放出管理計画」は策定していないのか、という佐藤和良さんの問いに対して、東電は、「まだ策定されたものはないが、放出するにあたっては策定したものを公表する」と回答。
佐藤さんは「22日に関係閣僚会議で放出開始時期を示すと言われているが、それなのに策定されていないというのはどういうこと?」と追及。
「福島県の技術連絡会に提出することになっていたのでは?」とも追及したのですが、東電は、「規制委員会に提出している実施計画に沿ったものを策定して、関係各所に出す」みたいなよくわからない回答ぶりでした。

→これについても、放出開始の決定時にささっと公開して、関係各所に連絡して、お茶を濁す気なのでしょうか。

〇トリチウム以外も基準を超えており二次処理しなければならない水(タンク水の7割くらい)について、いつ二次処理をするのか、そのタイミングをききました。
「ある程度、タンクが空かないと、二次処理した後の水を移送できないので、トリチウム以外について基準を満たしている水(3割くらい)を放出してから二次処理をする」という趣旨のお答えでした。
タンクのやりくりが相当厳しいということを意味していると思います。

〇最近においてもALPSの出口で告示濃度超えが発生…。
セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などです。
東電はさまざまな事情について説明していましたが、いずれにしてもトリチウム以外は、いつでもちゃんと除去できる、というわけではなさそうです。
参照データ)
https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/images/exit.pdf
これは原子力規制を監視する市民の会の阪上さんが指摘してくださいました。

〇敷地境界線上「追加」1mSv/年、については、やはり敷地内の放射線源や液体・気体廃棄物しか考慮していないとのこと。つまり事故で敷地外にとびちったものは考慮していないということです。
その法的根拠ですが、原子炉等規制法の第64条第1項の規定に基づき、福島第一原発を特定原子力施設に指定して、ある意味特別扱いにし、その上で原子力規制委員会が「措置を講ずべき事項」を指示しているということで、そちらに書いてあるとのことです。
原子力市民委員会の細川さんが追及してくださいました。
「現存被ばく状況」を前提にして施策を行い、かつICRPのガイドラインに沿えばそれを下げていく努力をしなければならないのに、さらに追加で放出をしようとしているということが明らかになったと思います。

さらに追及を続けていきたいと思います。

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by kazu1206k | 2023-08-20 21:24 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


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