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ALPS処理汚染水の海洋放出に抗議するー「関係者の理解」は得られていない:FoE Japanの声明

 
 汚染水の放出を24日にも開始することを決めた、8月22日の関係閣僚等会議に対するFoE Japanの声明を紹介します。
 
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声明:ALPS処理汚染水の海洋放出に抗議するー「関係者の理解」は得られていない
https://foejapan.org/issue/20230822/14073/
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本日、日本政府は関係閣僚会議にて、福島第一原発でタンクに保管されているALPS処理汚染水(注1)の海洋放出を、早ければ8月24日にも開始することを決定した。モルタル固化処分などの代替案について公の場で議論がなされることはなく、「海洋放出ありき」のプロセスが強引に進められた。政府・東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束していたが、その約束は反故にされた。2018年8月以降、公開の場での公聴会は一切行われなかった。私たちは、漁業関係者をはじめ国内外での反対や懸念の声を無視した今回の決定に強く抗議する。

1.方針を決めてから「理解」を押し付け
2015年、東電および日本政府は福島県漁業協同組合連合会(以下県漁連)に対してALPS処理汚染水に関して、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した(注2)。その後も「約束を遵守する」と繰り返してきた。

「関係者」が誰を指すのかは明らかではないが、影響を受ける漁業関係者、福島の人々をはじめ、本件に関心を有する日本国内外の市民はすべて関係者に含まれるだろう。

県漁連の野崎会長は、岸田首相が今月7日、「漁業関係者との信頼関係は少しずつ深まっている」との認識を示したことについて「何を捉えているのか分からない」と述べている。(注3)

岸田首相は、20日、福島第一原発を視察し、東京電力幹部と意見交換を行ったが、福島県漁連関係者には会わなかった。21日、岸田首相は全国漁業協同連合会(以下全漁連)と面会ののち、「関係者の理解が一定程度進みつつある」と述べた。

地元の漁業者には会わない上での決めつけは許されるものではない。

県漁連、全漁連は、放出に対して繰り返し反対の意思表明をしており、4年連続で放出反対の特別決議を採択している(注4)。また、相馬双葉漁業協同組合は、2023年7月、「断固反対」の考えを国に伝えた(注5)。

福島県内の市町村のうち、7割以上の自治体が処理汚染水の放出に関して、反対や慎重な対応を求める内容の意見書を可決している。

2018年8月、福島で2箇所、東京で1箇所、「説明・公聴会」が開催されたが、意見を述べた44人のうち、42人が明確に海洋放出に反対した。その後、公聴会は開催されていない。

このように、関係者の理解は得られていない状況である。

今回の決定プロセスは、先に方針を決めてから、関係者に対して理解を強要することにほかならない。

2. 「海洋放出ありき」で進められた検討
政府の審議会における一連の検討プロセスをふりかえると、代替案の検討は極めて表面的にしか行われず、結論を「海洋放出」に誘導するものであった。2018年当時、海洋放出を含む5つの案が示されたが、その際、海洋放出の費用は17~34億円、期間は52~88か月とされ(注6)、5案の中ではもっとも安く、かつ短期間の案として示された。しかし、その後、海洋放出の費用は膨れ上がり、現在わかっているだけで1200億円以上(注7)、すなわち35倍以上となっている。放出期間は東電のシミュレーションでは30年以上とみられている。

また、技術者や研究者も参加する「原子力市民委員会」が提案した、「大型タンク貯留案」「モルタル固化処分案」(注8)は、十分現実的な案であるのにもかかわらず、公の場ではまったく検討されなかった。

3.放出される放射性物質の総量が不明
タンク貯留水には、トリチウムのみならず、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質が残留し、タンク貯留水の約7割で告示濃度比総和1(注9)を上回っている。(注10)

東京電力は当初、ALPSによりトリチウム以外の放射性物質は除去し、基準を下回っていると説明してきた。トリチウム以外の核種が残留していることが明らかになったのは2018年の共同通信(注11)などによる報道によってである。

東電は、トリチウム以外の放射性物質が基準を超えている水については、「二次処理して、基準以下にする」としているが、どのような放射性物質がどの程度残留するか、その総量は未だに示されていない。それどころか、東電が詳細な放射能測定を行っているのは、全体の水の3%弱に相当する3つのタンク群にすぎない(注12)。

東電は、「放出前に順次測定し、測定後、準備が整い次第放出する」(注13)としているが、これでは放出する直前にしか何をどのくらい放出するのかがわからないことになる。また、放出される放射性物質の総量は、すべてのタンク水を放出し終わるまではわからない。

東電は最大年間22兆ベクレルのトリチウムを海洋中に放出する計画だ。これは原発事故前の放出管理値に相当する量であるが、福島第一原発からの海洋中へのトリチウムの放出量は実際には年間1.5~2.5兆ベクレルであった(注14)。すなわちその約10倍の量のトリチウムを、数十年にわたり海洋に放出することとなる。

4.「風評加害」という口封じ
政府は、ALPS処理汚染水の海洋放出の影響を「風評被害」に矮小化している。そして、メディアも政府見解を繰り返し報じている。代替案やトリチウム以外の放射性物質についてはほとんど報じられていない。

本来、原発事故は人災であり、その加害者は国及び東電である。「風評被害」のみを強調する政府の手法は、メディアの報道ともあいまって、放射性物質の海洋放出の影響やリスクについて指摘することを、「風評加害」とレッテル貼りし、健全な議論を封じることにつながる。

5.意図的かつ追加的な放射性物質の放出は許されない
2011年3月11日の原発事故以降、すでに大量の放射性物質が環境中に放出されてしまった。今回の放出は、それに上積みをする形で、意図的な放出を行うものである。

放射性物質は、集中管理し、環境への放出を行わないことが原則である。

私たちは改めて海洋放出に反対し、決定の撤回を求める。

(注)は長いので略。以下をご覧ください。

ALPS処理汚染水の海洋放出に抗議するー「関係者の理解」は得られていない:FoE Japanの声明_e0068696_16331517.png










by kazu1206k | 2023-08-26 22:29 | 脱原発 | Comments(0)

佐藤かずよし


by kazu1206k