10月23日、小名浜まちづくり市民会議から、いわき市議会創世会に対して、要望書が提出されました。
市民会議は、今後20年を見通し、まちの課題や時代の流れを踏まえたテーマ毎の目標の行動計画として、自分たちが住みたいまちの共通のイメージを『グランドデザイン』にまとめ活動しています。
市民会議は、このグランドデザインを実現するため、今回5項目の要望について、創世会からもいわき市当局へ働きかけを求めたものです。
23日午後、小名浜まちづくり市民会議事務所において、小沼市民会議会長から内容の説明を受け、佐藤創世会会長が受け取り、会派協議の上、市当局へ要望することを伝えました。
以下に、要望内容を紹介します。
要 望 書
(令和5年10月23日)
いわき市議会創世会 様
小名浜まちづくり市民会議 会長 小沼 郁亙
小名浜まちづくり市民会議は、自分たちが住みたいと思うまちの共通のイメージを描いた「グランドデザイン」を活動のベースとしています。今後20年を見通し、まちが抱える課題や時代の流れを踏まえたテーマを設定し、テーマ毎の目標に向けて私達がなすべき行動計画をまとめたものです。このグランドデザインを実現するため、いわき市へ私達の考えをお伝えいただきたく、下記の通りお願い申し上げます。
1 小名浜の小中学校の未来について
厚生労働省発表の人口動態統計によると、2022年の日本の出生数は77万0747人と1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込みました。国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した予測では、出生数が80万人を下回るのは7年後の2030年となっていましたが、コロナ禍における結婚数の減少が主因となり、少子化が想定を上回るペースで進んでいるのです。
加速する少子化は、きっと予想よりも早い段階で、小中学校統廃合の波となって押し寄せます。
学校は地域の人々の愛着が深いため、波が来てからでの対応では「どの学校を残すか」で意見がまとまり難いことが予想されます。そこで今のうちから小名浜の学校規模を把握し、統廃合すべき時期を地域住民、市教育委員会と協議する場を設けてほしいのです。新しい学校の位置や求められる学校像、学校と地域との関わりについて今から一緒に考えていただき、対策のための事業計画の策定や予算化をお願いします。
2 市民サービス機関の集約について
小名浜の支所や市民会館、公民館等の市民サービス機関は老朽化していて、遅かれ早かれ施設の更新を考える時期が来ることは間違いありません。ただ、人口減少・少子高齢化し自治体の財政に余裕がない現在にあっては、施設維持の費用と施設から得られる市民サービスとの、いわば費用対効果を十分に検討して施設更新を進める必要があるでしょう。当会としては、分散している施設を集約し、効率的に市民サービスを提供していくことが必要だと考えていますが、その実現のために、集約の対象施設や位置、適正規模等を市民や利害関係者と検討する協議の場を設けていただき、更にはその協議を踏まえた事業計画の策定や予算化をお願いします。
3 富ケ浦公園の整備
富ヶ浦公園はかつて桜の名所として有名で、絵葉書の題材になったほどでしたが、現在では桜は弱り、小名浜を一望できる眺望も法面に繁茂する雑木に遮られる状態です。公園からは小名浜東小・二中側へ通じる古道もあり、散策路としての活用も期待されましたが、やはり雑草によって埋もれつつあります。当会では主に年2回、会員のボランティア協力による除草作業を行っていますが、自然の繁茂力には到底及ぶべくもありません。公園には「小名浜国際港の礎石」の碑があり、昭和初頭、一度は頓挫した小名浜港商港修築工事が小名浜町民=白襷隊による内務省陳情によって復活したことを伝えています。他にその商港修築運動の第一線に立った第七代小名浜町長・鈴木栄翁の碑や太平洋戦争の戦没者慰霊塔もあります。また小名浜は江戸時代中期から幕府の直轄領でしたが、公園からほど近い場所には代官所が置かれていました。こうした歴史性を考慮し、かつてのような美しい姿を持つ地域住民の憩いの公園として再生させると同時に、若年層への郷土史の継承、学習の場となるような公園として本格的な美化整備をお願いします。ひいては、小名川沿いの親水空間や栄町の晋平翁頌徳碑や胸像と合わせる等、地区全体を(仮)古湊景観地区として整備いただくことを望みます。
4 まちづくり団体への補助
いわき市には、小名浜まちづくり市民会議の他にも各地にまちづくり団体がありますが、そのほとんどがボランティア組織であり、会員の手弁当で活動しております。地域の課題に対して地域の人間が協力して主体的にコミットしていくというその共助の精神は尊いものですが、それがボランタリズムから来るというより、本来は公的に為されるべきであろう領域まで地域が共助でカバーせざるを得ないという状況の産物であることも多いと思います。そうであるならば、本来果たすべき公助の一環として、まちづくり団体などの地域ボランティア組織に資金的補助があって然るべきではないでしょうか。その予算化の検討をよろしくお願いいたします。
5 イオンモールいわき小名浜の波及効果の調査について
イオンモールいわき小名浜が2018年6月に開業してから5年が経過しました。
グーグルの口コミ数は既に4,700を超えました。ともに20年以上の歴史があり、いわき有数の観光施設であるいわき・ら・ら・ミュウの口コミ数が7,700で、アクアマリンふくしまが6,900であることを考えれば、既にそれらと肩を並べるほど市内外から注目されている施設といってよいでしょう。しかし、そのような存在感のある施設でありながら、これまで、イオンモールいわき小名浜が開業したことによっていわき市の経済、商業にどのような波及効果があったか、検証された形跡はありません。ここらでいちどそうした検証をしてみてもよいのではないでしょうか。その調査、検証の事業化・予算化の検討をお願いいたします。