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旧統一教会への解散命令の請求に関する実効的な被害の救済を求め、日弁連声明

 日本弁護士連合会は、11月2日、「旧統一教会に対する解散命令の請求に関する実効的な被害の救済を求める会長声明」を公表しました。
 「宗教団体の財産保全については、当該団体の財産権や宗教活動を行う権利との関係が問題となり得る。宗教法人に対する財産保全に関する規定はないものの、旧統一教会に対する解散命令請求が行われたことを踏まえて、保全のための管理や監督の方法については、特別の規定を設けることで、制限的でない手段を講ずるなど、様々な方策も考えられる。」「国には、被害の回復に向けて最大限努力する責任と義務がある。当連合会は、国に対し、被害者の救済を確実かつ実効的なものにするための法整備を迅速に検討することを求める。」としています。


旧統一教会に対する解散命令の請求に関する実効的な被害の救済を求める会長声明

本年10月13日に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令の請求が行われたことを受け、与党は財産保全等の被害者救済について議論するプロジェクトチームを結成した。また、野党からも財産保全等を可能とするための法案が複数提出されている。

霊感商法等の悪質商法及び宗教問題による被害の実効的な救済のためには、当該宗教団体の財産散逸を防止しなければならず、財産保全等を現実的に可能とする仕組みが必要である。既に全国統一教会被害対策弁護団が被害総額約39億5000万円にも上る集団交渉や集団調停申立を行っており、これらは更に増える可能性もある。これほどの被害の訴えが現に存在することは、解散命令請求が行われたことと合わせて重く受け止めなければならない。今般の与野党の動きは、同様の問題意識によるものと思われ、迅速な対応を期待する。

そもそも財産の保全方法として、現行の民事保全制度の活用も一応考え得るが、本件については有用とはいえない。すなわち、民事保全法上の手続では、被保全債権及び保全の必要性について疎明を求められるほか、相応の保証金を求められることが通常である。長期にわたり被害を受けている被害者にとってこれらの要求は過大な負担となる。また、日本司法支援センター(法テラス)の民事保全手続等の代理援助決定を受けた者については、立担保援助制度の利用も考え得るが、別途審査が必要となり、利用できるのは一部の被害者に留まる。そのため、保全できる財産の範囲も限定的なものとなる。

令和4年度版法テラス白書によれば、昨年11月に開設された霊感商法等対応ダイヤルに本年3月末までに累計3,796件の相談が寄せられ、うち旧統一教会を相手方とするものは約2割に相当する754件にも及ぶとのことである。同ダイヤルが今なお継続していることからすれば、被害の全体像はいまだ把握しきれていないというべきである。解散命令の請求を契機として、ようやく被害を認識して声を上げる被害者もいると思われ、その数は今後も増える可能性がある。また、当連合会が実施したフリーダイヤル等により受け付けた無料法律相談においても、旧統一教会による財産的被害額を申告する相談のうち、1000万円以上の被害額を訴えたものが約4割もあり(arrow_blue_1.gif霊感商法等の被害に関する法律相談事例収集第2次集計報告)、被害総額の規模は甚大であることも予測される。このような状況に鑑みれば、現行法での対応に限界があることは明らかである。

宗教団体の財産保全については、当該団体の財産権や宗教活動を行う権利との関係が問題となり得る。宗教法人に対する財産保全に関する規定はないものの、旧統一教会に対する解散命令請求が行われたことを踏まえて、保全のための管理や監督の方法については、特別の規定を設けることで、制限的でない手段を講ずるなど、様々な方策も考えられる。

国には、被害の回復に向けて最大限努力する責任と義務がある。当連合会は、国に対し、被害者の救済を確実かつ実効的なものにするための法整備を迅速に検討することを求める。


2023年(令和5年)11月2日
日本弁護士連合会
会長 小林 元治











by kazu1206k | 2023-11-03 22:42 | 時評 | Comments(0)

佐藤かずよし


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