2月定例会、2月20日に行った代表質問の詳細を4回にわけてご報告します。
第1回は、「市長の政治姿勢と市政運営について」のやり取りを、以下に紹介します。
質問通告の大項目と中項目は、以下の通りです。
1 市長の政治姿勢と市政運営について(第1回)
(1) 住民自治と共創のまちづくりについて
(2) 「住民自治の根幹」とされる市議会との関係について
(3) 広報いわきについて
(4) 令和3年9月5日執行いわき市長選挙の公約について
2 令和6年市長年頭所感について(第2回)
(1) 令和6年市長年頭所感のポイントについて
3 令和6年度当初予算と創世会の令和6年度予算要望書について(第2回)
(1) 令和6年度当初予算の特色について
(2) 創世会の令和6年度予算要望書の本市当初予算への反映について
(3) 創世会の令和6年度予算要望書の主な項目について
4 いわき市政の課題について(第3~4回)
(1) いわきFCの新スタジアム整備計画について(第3回)
(2) 泉地区における公立保育所の再編計画について(第3回)
(3) 地域公共交通の確保について(第3回)
(4) いわき市文化政策ビジョンによる文化施策について(第4回)
(5) いわき市温泉事業等経営戦略について(第4回)
(6) 令和6年能登半島地震と原子力災害対策の強化について(第4回)
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おはようございます。
35番、いわき市議会創世会の佐藤和良です。ただいまより、会派を代表して、代表質問を行います。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から間もなく13年、改めて、犠牲となられた方々に哀悼の誠を捧げますとともに、被害を受けたすべての市民のみなさまに対し、心からお見舞いを申し上げます。
また、本年1月の能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に哀悼の誠を捧げますとともに、被害を受けたすべてのみなさまに対し、心からお見舞いを申し上げます。
さて、東京電力福島第一原子力発電所事故による政府の原子力緊急事態宣言は、今なお解除されておりません。依然、廃炉の最終形態も法的に定義されず、デブリ取出しも暗礁に乗りあげ、現場で働く労働者の被曝事故が多発する困難な事故収束作業が続いています。
政府は、福島原発事故の過酷な教訓を生かさず、原発の再稼働や運転延長などの原発推進に舵を切りましたが、今年は、能登半島地震で幕が開け、志賀原発や柏崎刈羽原発はじめ活断層と隣り合わせの日本の原発の危険性があらためて浮き彫りになりました。地震列島の日本、大地動乱の時代にあって、原発の廃止こそが求められています。
私どもいわき市議会創世会は、福島原発事故を決して風化させず、未曾有の複合災害を、心に刻み、未来の世代に伝えていく責任を自覚し続けています。
いわき市民の命と健康を守り、子どもたちが元気で、市民が安心して子育てができる、力強い地域社会、いわきの再生をめざして、歩み続ける覚悟でございます。
それでは、通告順に従い質問を致します。
大きな第一点は、市長の政治姿勢と市政運営について、であります。
私ども創世会は、いわき市の行財政運営について、地方自治の本旨に則り、本来の自治を市民とともに創り上げていくためには、国からの視点ではなく、住民や地域を主体とする市民本位の立場に立ち、市民参画を基本として進めていくことが肝要であると考えております。
1点目は、住民自治と共創のまちづくりについて、です。
憲法第92条の地方自治の本旨は、地域社会の住民の意思によって行われるとする住民自治と国から独立した地域社会自らの団体によって行われるとする団体自治の2つの要素とされています。
本市は、いわき市以和貴まちづくり基本条例に基づき、市民と市の共創によるまちづくりの促進に向け、条例が示す情報共有や市民参加を推進する取り組みを進めています。
そこで、地域社会の住民の意思によって行われる住民自治の進化に向けて、共創のまちづくりをどう実現するのか、市長の基本姿勢を、以下伺います。
①まず、地方自治の本旨に基づく、住民自治について、市長の基本的な考え方はどうか、お尋ねします。
—答弁(市長)
地方自治の本旨に基づく住民自治は、地方公共団体の行政運営が、地域住民の意思に基づいて決定されるものであり、憲法で保障された民主主義の基盤になるものと認識しています。
また、市政運営にあたっては、自らの地域のことについて、自らの地域がその意思に基づき決定し運営していく、住民自治及び団体自治といった地方自治の本旨を踏まえることは、地方自治体としての責務であると認識しています。
②次に、市長は、より良い住民自治の実現に向けて、この2年間どう市政を運営してきたか、お尋ねします。
—答弁(市長)
私は、より良い住民自治の実現に向けて、現場主義に徹し、市民の皆様との懇談の場である地域ふれあいトークなど、あらゆる機会を捉えて、住民自治の主体である市民の皆様の意見を積極的に伺っています。
これらを通じ、地域の生の声に耳を傾け、実情に即した政策づくりを心がけるとともに、市議会の皆様とも連携しながら、この2年間、市政運営に努めてきました。
このような取組みにより、自主的なまちづくりが芽吹いている地域もあり、より良い住民自治に向けた、共創のまちづくりの進化を感じています。
③次に、住民自治の進化に向けた共創のまちづくりについて、市民と市の共創によるまちづくりの促進に向け、住民自治を進化させる、官民共創のプラットフォームの構築、公民連携による調査研究機関=行動するシンクタンク創設に向けた検討状況はどうか、お尋ねします。
④次に、共創のまちづくりを実現する新たなシステムの構築について、域内分権を進め、財源と権限も含めた、いわき版の地域分権型地域自治システムづくりなど、市長は、より良い住民自治の実現に向けて、今後どう市政運営に取り組むのか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
関連しておりますので、一括してお答えします。
今般、人口減少の進行や時代の変化などにより、地域課題が深刻化しており、より良い住民自治の実現に向けては、共創のまちづくりを進めることが、ますます重要となってきています。
このためには、各地域の理解は勿論、実態に即した住民自治の担い手や公民連携による支援体制など、十分な体制を整えること、持続可能な制度を設計することなどが必要となります。
このような中、市といたしましては、防災分野における自主防災組織の強化や、福祉分野における支援を必要とする方々に対する地域支え合い活動、公共交通の確保が困難な中山間地域でのボランティア交通など、地域課題に対し、市民の皆様と共に、住民自治を念頭に置いた必要な取組みを実施しています。
更には、住民自治の実施主体となる自治会等の体制を強化するため、負担軽減に向けた自治会と行政嘱託員の窓口の一本化や、町内会等運営支援員の配置などにより、自治会の運営支援を進めるとともに、中山間地域での市民・団体の皆様との共創による、新たな地域課題解消策として、小さな拠点づくりにも取り組んでいます。
今後、これまで実施してきた取組みの効果等を踏まえるとともに、公民連携による住民自治を支えるプラットフォームやシンクタンクなどの体制について、市内団体等の動向も注視しながら、本市の実情に応じた、住民自治の在り方、それらを支える人財や団体の在り方、その育成の方策などについて、引き続き、検討していきます。
2点目は、「住民自治の根幹」とされる市議会との関係について、です。
市長は、就任以来、執行部と議会は車の両輪と発信してきましたが、12月定例会における市長の本会議発言に関する、本議会の取り下げ申し入れには、拒否回答でありました。そこで、「住民自治の根幹」とされる議会との関係について、市長の基本姿勢を、以下伺います。
⑤まず、地方自治の二元代表制について、「住民自治の根幹」とされる議会との関係について、現在どう考えているか、お尋ねします。
—答弁(市長)
議会と首長が共に住民を代表する二元代表制におきましては、議会と執行機関は地方自治の両輪として、相互に抑制と均衡の取れた関係を保ちながら、市民の皆様の負託に応えることが期待されているものと考えております。
⑥次に、12月定例会における市長の本会議発言について、議会の一部発言取り下げ申し入れに対する回答において市長は、「被災地でお会いしなかった事実の認識を述べただけ」としていますが、議員の被災現地での調査活動は各議員が各地で実施した事実があるにも関わらず、市長が直接会った議員と会わなかった議員と恣意的に峻別して、本会議場で答弁することは、議員間の分断、議会の分断にもつながり、「住民自治の根幹」とされる議会における市長の本会議答弁としては不適切な発言ではないか、お尋ねします。
⑦次に、本議会の一部発言取り下げ申し入れに対する市長回答について、この回答内容は議会との円滑な関係を損ない、ひいては「住民自治の根幹」とされる議会の軽視につながるのではないか、お尋ねします。
⑧次に、12月定例会での市長の本会議発言の取り下げについて、「住民自治の根幹」とされる議会と執行部の健全な関係を維持する観点から、当該発言箇所は改めて取り下げるべきではないか、お尋ねします。
—答弁(市長)
関連していますので一括してお答えします。
議員御指摘の件については、昨年12月20日付文書で、私から議長あてに回答したとおりです。
そこでは、以下のように記しております。
狩野議員の一般質問に対する答弁につきましては、あくまで狩野議員に被災地でお会いしなかった事実の認識を述べただけであり、他意はございません。このことから、今般の発言について、取り下げるものではありませんが、市議会における混乱を招いたことについては、重く受け止めており、今後、誤解を与えるような発言のないよう、注意していきます。
以上のように回答しました。
現時点でも、この文書で回答した内容と同様の認識です
再質問
先ほどの市長の御答弁では12月定例会の答弁、12月定例会の本議会の申し入れに対する回答のとおりと、こういうことでございましたので、それに付け加えることはないかと思いますので、改めてお聞きはしませんが、私どもとしては、やはり議会との関係が円滑に進むためにはですね、もう少しやっぱり配慮をして対応していただきたいなというふうに考えているところでございます。あえてこれ以上は申し上げませんので、一つ斟酌していただきたいなというふうに思います。
3点目は、広報いわきについて、です。
令和5年度広報いわき編集方針によると、「市政情報を積極的に発信し、開かれた市政運営と、市民と行政による共創のまちづくりを推進するため、いわき市広報規則に基づき広報いわきを発行する」とされていますが、広報いわきが「市政総合情報紙」として、市民に寄り添い、公正・中立な広報紙として編集されることを願い、以下伺います。
⑨まず、令和5年度広報いわき編集方針について、「市長です こんにちは」の追加部分「令和5年度からは、必要に応じて特集記事のテーマに合わせて書いていただくこと」について、方針への追加の理由や実施状況など、これまでの経緯はどのようなものか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
広報いわきの「市長です こんにちは」につきまして、従前は、特集とは別のページで市長が市政運営や身近な出来事などについて時評・論評するコラムを掲載していました。
令和5年度の編集方針におきましては、令和4年11月に策定された「いわき版骨太の方針」に基づき、より分かりやすい、「伝わる広報」の実現に向けた取組みの一環として、市の方針や施策などがより市民の皆様にダイレクトに伝わるよう広報紙の特集記事の充実を図ることといたしました。
こうした経過を受けて、市長のコメントにつきましても、特集記事の内容に関連づけて掲載することとしたところです。
⑩次に、広報いわき10月臨時号は、市民世論さらに議会でも賛否の議論があり、報道機関でも取り上げられましたが、こうした議論についてどう捉えているのか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
広報いわき臨時号につきましては、被災された方々の一日も早い生活再建に向けて、市民の皆様に必要な情報を、迅速かつ的確に、わかりやすく広報するため発行したものです。
発行に関する市民の皆様の反応として、「市が災害対応に尽力していることが伝わり、災害時の安心感が増した」との御意見がありました。
一方、12月定例会においても御指摘いただいたように、市長の被災地での活動写真を多く採用したことで、見る方によっては、市長の政治的パフォーマンスに見えるといった印象や、ボランティア募集等、他に掲載すべき情報があったのではないかといった御意見につながったものと捉えています。
これら市民の皆様の様々な反応は、今後の広報紙作成の参考とすべき貴重な御意見であると受け止めています。
⑪次に、広報いわきへの市民意見の反映について、市民からは「ページ数が多すぎる」「情報をコンパクトにできないか」「隣組配布の見直しを」「スマホで閲覧の方法を考えて」「発行部数と費用からみて、費用対効果はどうか」「市長の広報紙か」など様々な市民の声が寄せられていますが、今後、広報いわきの改善に向けて、市民意見をどう反映していくのか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
広報いわきにつきましては、「いわき版骨太の方針」に基づき、より分かりやすい、「伝わる広報」の実現を図るため、昨年の5月号から、全面カラー化をはじめ、題字の変更や特集記事に関連した表紙の採用など、市民生活と結び付けた着眼点で紙面を構成し、共感・共有を生み出す媒体として、全面リニューアルを図ったところです。
一方、紙媒体での発行に関して、配布に御協力いただいている行政嘱託員等の負担軽減はもとより、ペーパーレス化や経費の削減といった観点から改善に取り組む必要があるものと認識しています。
今後におきましては、まず内容面では、市民が主役となる広報紙を目指して、「見る側」の視点に重点を置き、市民の皆様のニーズを的確に把握しながら、市政情報や市の魅力等を分かりやすい紙面で発信していきます。
また、配布に関わる御意見等に対しましては、スマートフォンが幅広い世代に普及している現況を踏まえ、モバイル端末でも読みやすいデジタル版の構築について調査研究を進めるとともに、紙媒体との併用など、市民の皆様のニーズに応じた効率的な配布について検討していきます。
⑫次に、広報いわきについて、「市政総合情報紙」として、より市民に寄り添い、公正・中立な広報紙として編集することを目指して、市長は、編集方針を改善する考えはあるか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
広報紙につきましては、「見る側」の視点に立ち、市民の皆様のさまざまな御意見・御提案などを参考としながら、必要な情報をわかりやすく掲載し、市政への理解を得ることが重要な役割であると認識しています。
広報いわき編集方針は、より市民の皆様に伝わり親しまれる市政情報紙を目指すことを目的に、編集の要点をまとめた事務要領として作成しており、毎年度、必要な見直しを行っています。
来年度の広報いわき編集方針につきましても、これまでの広報紙に関する様々な御意見等を踏まえながら、「伝わる広報」の実現を図る観点から、適切に対応していきます。
再質問
広報いわきの件なんですが、先ほどの部長の御答弁では、今後改善する考えはということに対して、事務要領なので、適切に対応したいと、こういうことでございましたが、そういう意味では、市民と行政による共創のまちづくりというふうに、これは編集方針の中でも、常々謳っていることでございますので、この公平公正に編集するというふうに改善するということについてどう考えるのかということを改めてお尋ねしたいと思います。
—答弁(総合政策部長)
先ほども御答弁の中で触れさせていただきましたように、骨太の方針に基づいて、より市政に関わる情報を市民の皆様になるべくわかりやすく、それから距離感ですかね、自分に近いところで市政が動いてるんだということを、やはり伝えたいというところで、もろもろリニューアルを図っております。まだその過程にあるという状況にございます。その中で昨年の臨時号に関して様々御指摘をいただきました。一方で我々が行っているこの改革の取組に関して、例えば12月号を、これ消防特集でございましたが、県内のコンクールで特選をいただくという客観的な評価もいただきました。こういった様々な御意見をしっかりと受け止めてですね、良い面悪い面も含めて、より良い広報紙づくりというところに向かっていきたいというのが偽わざるところでございます。
御指摘のところ、編集方針の言語化というところに関して、今の市政がより明確にしていくときに必要なのか。必要だと判断すれば必要な言語化をいたす所存です。一方で日頃の紙面づくりの中で、今の方針をしっかりと反映していくということもまた大事ですんで、その辺を両睨みでですね、必要な対応をしていくという風に考えております。
以上です。
4点目は、令和3年9月5日執行いわき市長選挙の公約について、です。
市長は、4年の任期を折り返しました。そこで、令和3年9月5日執行いわき市長選挙選挙公報の公約である「人材の力」5項目、「産業の力」4項目、「いのちと暮らしを守る」3項目の実現について、伺います。
⑬選挙公報の12項目公約の実現について、「教育予算倍増」や「給食費値下げ」については、これまで、教育基本法にいう教育の定義を広く想定して「人づくり投資予算」として事業費を計上したり、多子世帯の保護者の負担軽減を図る給食費の第3子以降無償化を実施していますが、これまで12項目の公約の何を実現し、今後、給食費の完全無償化など公約の完全実現に向けてはどう取り組むのか、お尋ねします。
—答弁(市長)
私が公約で掲げた項目について、主な取組みを申し上げます。
「人材のちから」については、医療人財の育成や学力向上チームと学校の連携による学力向上策の推進、給食費の第3子以降の無償化、出産・子育て応援金の創設などを実施し、学力向上や切れ目ない子育て支援などに取り組んでいます。
「産業のちから」については、福島国際研究教育機構、いわゆるF-REIに係る連携企画官2名の配置や協定締結による連携強化、福島大学食農学類との連携推進、農産物のブランド化などを実施し、産業の創造や稼げる農林水産業の実現に取り組んでいます。
「いのちと暮らしを守る」については、医療構想会議を中心とした医師不足解消の検討や、医師の招聘、防災士の養成などによる防災体制の強化に取り組んでいます。
私が公約に掲げた項目については、まだまだ途上ではありますが、おおむね着手し着実に進捗しております。
今後も、市民の皆様からの負託に応えるべく、国・県等の動向も注視し、所要の財政措置や組織体制の強化を図りながら、これまでの取組みをさらに前進させます。
併せて、その取組みの効果等が実感できるよう伝わる情報発信に意を用いながら、私自身が掲げた公約の実現に全力で取組んでいきます。