2月定例会、2月20日に行った代表質問の詳細報告の3回目です。
第3回は、「いわきFCの新スタジアム整備計画」「泉地区の公立保育所の再編」「地域公共交通の確保」のやり取りを、以下に紹介します。
質問通告の大項目と中項目は、以下の通りです。
1 市長の政治姿勢と市政運営について(第1回)
(1) 住民自治と共創のまちづくりについて
(2) 「住民自治の根幹」とされる市議会との関係について
(3) 広報いわきについて
(4) 令和3年9月5日執行いわき市長選挙の公約について
2 令和6年市長年頭所感について(第2回)
(1) 令和6年市長年頭所感のポイントについて
3 令和6年度当初予算と創世会の令和6年度予算要望書について(第2回)
(1) 令和6年度当初予算の特色について
(2) 創世会の令和6年度予算要望書の本市当初予算への反映について
(3) 創世会の令和6年度予算要望書の主な項目について
4 いわき市政の課題について(第3~4回)
(1) いわきFCの新スタジアム整備計画について(第3回)
(2) 泉地区における公立保育所の再編計画について(第3回)
(3) 地域公共交通の確保について(第3回)
(4) いわき市文化政策ビジョンによる文化施策について(第4回)
(5) いわき市温泉事業等経営戦略について(第4回)
(6) 令和6年能登半島地震と原子力災害対策の強化について(第4回)
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大きな第四点は、いわき市政の課題について、であります。
1点目は、いわきFCの新スタジアム整備計画について、です。
いわきFCの新スタジアム整備計画については、Jリーグスタジアム基準を満たす整備計画を、いわきFCは2025年6月末までにJリーグに提出し、27年までに着工、31年のシーズン開幕まで完成する必要があります。
昨年12月のJリーグスタジアム基準の改訂で、スタジアム規模と入場可能数が、「椅子席で、J1は10,000席以上、J2は8,000席以上の座席があること(ベンチシートは1席あたりの幅を45cm以上とする)」に、但し書きが追加され「ただし、Jリーグ規約第34条に定める『理想のスタジアム』の要件を満たし、ホームタウン人口等の状況、観客席の増設可能性(特に敷地条件)、入場料収入確保のための施策等を踏まえて理事会が総合的に判断した場合、5,000人以上(全席個席であること)で基準を満たすものとする」とされました。そこで、以下伺います。
29 まず、Jリーグスタジアム基準の改定といわきFCの新スタジアム整備計画について、商工会議所、スポーツによるひと・まちづくり協議会、本市などとの協議を含め、本市は、Jリーグスタジアム基準の改訂が、いわきFCの新スタジアム整備計画にどのように影響するとみているか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
今回の基準改定は、Jリーグのクラブ数が増え、大都市圏以外の地方をホームタウンとするクラブが増えてきたことなどを踏まえて行われたものです。
特に、スタジアムの入場可能数につきましては、J1では15,000人以上とされていましたが、一定の要件を満たすこと等を条件に、5,000人以上であれば認められることとなりました。
今回の基準改定により、周辺地域の人口なども考慮した適切な規模での整備が可能となること、また、建設候補地の選択肢が広がることなど、地域の実情を踏まえた適切な対応が可能になるものと考えています。
30 次に、いわきFCの新スタジアム整備計画への本市の対応について、昨年2月定例会の市長答弁は、「様々な補助金の助成制度とか、様々汗をかいて、一緒になって、共同で我々も応援してあげないといけない」としましたが、今後の本市の対応はどうか、お尋ねします。
—答弁(総合政策部長)
新スタジアムの整備計画は、Jリーグの規定により、クラブが作成・提出することとされています。このため、スタジアムの整備計画は、Jリーグへの提出期限である令和7年6月末までに株式会社いわきスポーツクラブが取りまとめることとなります。
現在、いわきスポーツクラブでは、スポーツ庁の委託を受け、新しいスタジアムのあり方を検討する委員会「IWAKI GROWING UP PROJECT」を設置し、その分科会を中心に検討を進めています。
市といたしましては、地域の皆様と一体となっていわきFCを応援していくことが求められていると受け止めており、引き続き、いわきスポーツクラブと連携・協力しながら、適切に対処していきます。
その上で、具体的な関わりのあり方については、いわきスポーツクラブが年度内にとりまとめる報告書の内容や、本市のまちづくりに及ぼす影響なども見極めながら、総合的に判断していく必要があると考えています。
31 次に、いわきFCの新スタジアム整備計画に関する市民の合意形成について、市長は新スタジアム整備計画に関する市民の合意形成にどう取り組むのか、お尋ね致します。
—答弁(総合政策部長)
新たなスタジアムについて、市民の皆様の理解を得ることは、非常に重要であると考えています。
このため、現在、いわきスポーツクラブでは、いわきFCのホームゲーム会場で意見を募集する「スタジアムボイス」や、小学生から30歳未満の若者が意見交換を行う「ユースフォーラム」などの取組みを通じて、世代を問わず様々な方々からの意見を収集しています。
また、分科会での検討内容などにつきましては、いわきFCパーク等でのグラフィックレポートの掲示のほか、いわきFC公式アカウントで公開しています。さらに、いわきFCでは、公式アカウント上に投稿フォームを設け、いつでも・誰でも新スタジアムに対する意見を述べ、議論に参画できる仕組みを構築するなどの対応を行っています。
市では、検討内容等を市公式SNSで発信するなど、いわきスポーツクラブと連動しながら、市民の皆様への広報・周知に努めています。今後におきましても、いわきスポーツクラブと連携・協力しながら、新スタジアムに対する市民の皆様の関心が高まり、広がっていくよう適切に取り組んでいきます。
2点目は、泉地区における公立保育所の再編計画について、です。
泉地区における公立保育所の再編計画の進め方については、未耐震かつ老朽化により、泉、下川、玉露、滝尻の4保育所を再編し2施設に集約する計画を進めるにあたって、保護者はもとより地域住民、各種団体など地域の関係者にどのように説明し合意形成を図ってきたのか問われています。そこで、以下伺います。
32 まず、泉地区区長会からの要望に対する対応ついて、昨年8月、泉、下川保育所の統合園舎を整備する「泉町6丁目用地」と玉露、滝尻保育所の統合園舎を整備する「泉保育所用地」に関して、「浸水の可能性があるため、高台にある『もえぎ台用地』に定員300名規模の保育所を整備すること」「困難である場合は、ハザードマップにおいて浸水が想定される区域外に整備すること」、さらに12月には、「もえぎ台用地、泉保育所用地の2箇所に保育所を整備すること」と釜戸川に隣接する整備用地の水害に対する懸念から要望がありましたが、これに対してどのように対応してきたか、お尋ねします。
—答弁(こどもみらい部長)
市では、区長会からの要望事項を真摯に受け止め、新園舎の整備を一時中断し、その実現可能性について検討することとしました。
昨年9月に泉もえぎ台住民を対象に説明会を開催したところ、当該地区における公立保育所の整備に対し懸念が示され、特に渋滞問題への懸念が強く、総じて施設整立保育所の整備に対し懸念が示されました。
渋滞問題については、市及び県の担当部局においても認識しておりますが、その対応については相当な年月を要すると見込まれます。
また、泉もえぎ台用地以外の場所についても浸水区域外で整備が可能となる用地について調査しましたが、早急に着手できる状況にないと認識しております。
さらに、泉地区内の公立保育所を利用する児童の保護者との意見交換においては、浸水への懸念も示されながらも、毎日の送迎等を考慮すると、当初の市計画通りに進めてほしいとの声が寄せられているところです。
泉地区における公立保育所の再編は、未耐震の施設を解消することが第一の目的であり、早急に保育環境の安全・安心の確保を図る必要があります。
市としましては、泉もえぎ台用地に整備する場合の課題や保護者の意見、早期再編の必要性を総合的に勘案した結果、要望に沿った整備は困難であると判断し、当初の計画どおり進めることとしたものであります。
33 次に、水害のリスク回避等今後の対応について、水害のリスク回避と園児をはじめ市民の安全確保の観点から、保護者はもとより地域住民、各種団体など地域の関係者との合意形成を本市はどのように進めるのか、お尋ね致します。
—答弁(こどもみらい部長)
大雨等による災害対策につきましては、ハードとソフトの両面から対応することとし、特にソフト面においては大雨時の休園等の判断基準を策定しているところであり、避難訓練も含め、子どもたちの安全確保を第一に対応することとします。
泉地区内の公立保育所を利用する児童の保護者と地区に対しては、これらについても説明し、当初の計画に沿って進めることについて概ね了承を得たところです。
今後におきましても、必要に応じて、関係者等に対し、丁寧に説明してまいります。
3点目は、地域公共交通の確保について、です。
路線バスの廃止などから、本市の地域公共交通の確保が大きな問題になっており、本市は、昨年3月、今後5年間のいわき市地域公共交通計画を策定し、昨年末には、いわき公共交通緊急プランを公表しました。プランでは、公共交通の維持・確保に向けて、「エコ通勤の促進」「鉄道利用促進」などの利用促進の取り組みや「川前地区NPOによる自家用有償旅客運送」などの公共交通不便地域解消に向けた取組みを、令和7年度までに実証実験、令和8年度以降社会実装に向け、これまで以上にスピード感を持って地域交通の確保等を進めるとしました。そこで、以下伺います。
34 まず、いわき市地域公共交通計画の基本目標I 「選ばれる公共交通の構築」について、まちなか及び拠点間の公共交通の路線バスなどの公共交通最適化・利便増進等プロジェクト、エコ通勤の促進など公共交通利用転換プロジェクトなどの目標実現に向けては、どう取り組むのか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
昨年度策定した地域公共交通計画では、地域特性に応じた3つの基本目標を掲げ、持続可能な交通ネットワークの実現に向けた各種施策に取り組むこととしています。
その中の一つである、主にまちなかや、市内の拠点間を対象とした、「選ばれる公共交通の構築」については、鉄道、路線バス、タクシー等、既存の公共交通の利便性を高めていくこととしています。
また、デマンド型乗合交通や小型モビリティなど、居住者の多用なニーズに応じた移動手段の導入について、スピード感を持って検討を進めます。
特に、運行便数の減少等が進む路線バスにつきましては、現在、策定を進めている利便増進実施計画において、路線バスの運行経路やダイヤの見直しを進めます。
また、去る2月15日に運用を開始したバスロケーションシステムや、春から導入されるキャッシュレス決済システムなどによる、利便性の向上についての周知・普及にも努め、利用の回復を図ります。
35 次に、いわき市地域公共交通計画の基本目標II 「セーフティーネットとなる公共交通の確保」について、中山間地域など公共交通不便地域の公共交通セーフティーネット構築プロジェクトのうち、タクシー事業者等との共創による移動手段の確保については、各地域の特性を把握した上で、地域と輸送ノウハウを有するタクシー事業者等との共創による移動手段の確保に向けた検討を進めるとされますが、現状を踏まえて、各該当地域における目標実現に向けて、どう取り組むのか、お尋ねします。
—答弁(都市建設部長)
中山間地域等の公共交通不便地域においては、各地域の実情に応じたセーフティネットとなる公共交通を地域と共に構築して参ります。
その中でも、地域における貴重な交通資源となるタクシー事業者の営業所が立地するなど、比較的、タクシーの利用が容易な地域におきましては、運行に対する高い安全性を有するとともに、専用の車両や人員配置を必要としない、既存タクシー事業との連携が考えられます。
このため、本年度は、久之浜・大久、四倉地区において、地区内に立地するタクシー事業者と連携し、予め設定した医療機関や商業施設などの目的地まで上限1,000円で利用可能な、いわゆる、定額タクシーの実証を本年1月22日から3月17日まで実施しています。
今後につきましても、実証事業による移動実態の分析、及び利用者や事業者へのヒアリングなどを行うとともに、財政負担等についても検証します。
この検証結果を基に、市内他地区への展開も含め、社会実装に向けた検討を進めます。
36 次に、公共交通セーフティーネット構築プロジェクトのうち、共創による住民輸送の取り組みの支援について、田人地区及び三和地区で実施している住民による支え合い活動による住民ボランティア輸送については、持続可能な交通システムとするため改善を検討し、他の公共交通不便地域においても、住民ボランティア輸送のほか、自家用有償旅客運送や医療、福祉、行政等の多様な主体が提供する輸送サービスとの連携などの輸送資源を総動員した交通システムを地域と産学官が共創して地域課題を解決するとされますが、各該当地域における目標実現に向けてどう取り組むのか、お尋ね致します。
—答弁(都市建設部長)
市街地と比較して、人口減少・高齢化が進行する中山間地域については、これまでも、ニーズに即した移動手段の確保に向けて、地域団体や地域交通の有識者等と連携を深めてきたところです。
各地域における取組みを申し上げますと、平成31年より住民ボランティア輸送を実施した三和・田人地区で、運転手の高齢化等の課題について、地域と協議を進めています。
また、川前地区については、福祉に関する事業等を行うNPO法人による自家用有償旅客運送の来月からの運行開始に向けて、準備を進めています。
遠野地区については、地域振興協議会内に交通対策検討部会を設置し、地域の交通事業者や、福島工業高等専門学校の協力を得ながら、移動手段の確保に向けた検討を進めています。
その他の中山間地域についても、地域や様々な主体との連携を深めながら、セーフティネットとなる移動手段の確保に向けて、順次、検討を進めていきます。
再質問
公共交通計画の方と、緊急プラン、二つこう出て、令和8年の実装ということでやっていくわけですが、この進行管理をどんなふうにやっていくのかってことを一つまずお聞きしたい。
—答弁(都市建設部長)
この地域公共交通計画の進行管理はどういった進め方をするのかという点につきましてはですね、今の議員の方からも出ました、いわき都市圏総合都市交通協議会というものを通じてですね、各いろんな交通事業者や、それを実際利用されるPTAの代表の方とか多くの方々から成る組織で、この計画自体を作ってですね、その後、各交通事業者の事業であったり市が取り組む事業だったり、そういったものは定期的に開催して、その中で皆さんに議論していただきながら、進行管理っていうのは進めていくこととしております。
それから、中山間地の公共交通不便地域での遠野の例が今ちょっとお話ありましたけども、小中学校の統廃合でスクールバスが運行される、あるいは高校生や高齢者の一般市民の利用にどうするのかってことについては、検討部会が立ち上がってそこで議論されているということでございました。今、高校生や高齢者の一般市民などを対象にしたニーズの聞き取り調査なんかを、始めるっていうふうな話も聞き及んでおりますので、遠野地区については、今後どのように課題解決に向けて進めていくのかということを一つ聞きたいと思います。
—答弁(都市建設部長)
遠野地区での進め方でニーズの聞き取り調査の件についてございましたけれども、今年度はですね、一応産学官と連携した地域内の域内交通ですね、検討というのを福島高専とですね、連携してやるということで進める予定で動いておりまして、一応予定では来年度ぐらいにはですね実証事業を行いまして、令和7年度からは実装していきたいなというふうに考えて進めているところでございます。
この項の3点目としては中長期的な対策ですね。これについて、先だって行われたいわき都市圏総合都市交通推進協議会において、根本的な対策は市民と市が必要とする移動をいわき市が自ら調達することであると。新常磐交通任せからいわき市主導に変えると、市主導になることでバスの運転手の人件費が上げられたり、バスでなければまかないきれない移動需要があるのではないかというふうな指摘があったというふうに聞き及んでおるんですけれども。そういった点も踏まえてですね、中長期的な対策をどう検討していくのかということについてお尋ねしたいと思います。
—答弁(都市建設部長)
先日開催の協議会の中で、市が主体となってですね取り組むべきという御意見をいただいたということでございますけれども、そちらにつきましてもですね、いろんな交通モードを考えた場合に、市が自らやれることと、もともといる既存の交通事業者さんが行うこと、場合によっては地域の皆さんに汗をかいてやっていただくこととか、いろんな方策が考えられますので、そういったことをいろんな地域の特性に応じた、その地域に応じた最適な交通手段というものをですね、皆さんの中で議論しながら進めていければなという風に考えております。