3月12日午前、「TEAMママベク 子どもの環境を守り隊」といわき市担当課との、23年度の協議が行われました。ママベク側からは代表2名、市側は除染対策課、公園緑地課、原子力対策課、教育委員会学校支援課などから7名が出席し、市議会議員も私含め3名が同席しました。
TEAMママベクのお母さんたちは、子どもたちの被曝を低減して生活環境を整えようと、2013年から、いわき市などの許可のもとに、市内の教育施設や公園等の環境放射能測定をスタートさせ測定活動を続けています。
子どもたちの行動範囲を母親目線で細かく調べ、放射能を可視化させながら、結果を行政に報告して必要があるところは対策を求めてきました。いわき市も子どもたちの環境改善のために、それぞれの担当課が出席し協議を行い、できる限りの対応を行なっています。
今回の協議は、⑴要望書提出(末尾に掲載)、⑵公園最新データ報告、⑶報告後の対応、⑷台風13号におけるモニタリング調査などでした。協議の概要は以下の通りです。
●要望①について
・対応求めたい箇所−21箇所
・測定報告済の公園
ー沖公園、木の切り株の根元
ー菱川町公園、ブランコ近くの松の木の下
・報告後の対応の報告
ー梅ヶ丘公園:資料参照、天地返し、切株付近は土壌入れ替え(除染対策課)
ーいわき公園:県の地域保全課へ連絡、ファミリーゾーン天地返し(公園緑地課)
*ママベクのコメント:
「子どもの被曝を最小限に食い止めるための努力を求めていますが、国の除染基準にとらわれることなく最大限の努力をと、対応を求めたい箇所、その理由を具体的に示しました。
いわき公園は、県の管轄でホットスポットは来年度に天地返しをする予定になっています。今後もいわき建設事務所と直接やりとりをしながら更なる対応を求めていきます。
他の箇所については通常管理等でできる限り行うようになど、引き続き粘り強く求めていきます。」
●要望②について・ホームページ以外の周知方法は? ー子育てのジャンルからもリンクは考えている(除染対策課)・学校や保育園への情報提供の仕方ー教委、持ち帰り検討(教育委員会学校支援課
) 地域は、関連部署と協議(除染対策課)
*ママベクのコメント:
「ママベクモニタリング結果の周知について、教育・保育現場には学校長、園長先生に対して、『遠足やお散歩コースの参考としてママベクホームページをご覧ください』という通知を出してほしい旨を伝え、教育委員会学校支援とこどもみらい課には持ち帰って検討していただくことになりました。
地域住民への周知に関してはなかなか難しいのが現状ですが、市民協働課に情報提供をして、まずはママベクの取り組みを把握してもらうなど、引き続き検討をしていくことになりました。」
●要望③について
・2013年以来の提出測定データの長期保管保存。
*ママベクのコメント:
「ママベクデータをいわき市として長期保存する件については、まずはママベクデータを渡しやすい形に整理するところから、市と共に前向きに取り組んでいくことになりました。」
●要望④
・ALPS処理汚染水に関する教育現場への介入、政治利用されないように。
*ママベクのコメント:
「『ALPS処理水の安全性等に関する理解醸成事業』等について、教育現場が政治利用されることのないようにと求めましたが、参考資料として電通研の野池元基さんが開示請求をして受け取った黒塗り資料を提出し、『経産省と福島県健康教育課とのやり取りを真っ黒にしなければならないようなダークな事業を教育現場として受け入れないでください』と強く求めました。」
●要望⑤・国、県への被曝防護策の提起※除染対策課、廃止。次年度は、資源循環推進課。ー残事業の引き継ぎ。
*ママベクのコメント:
「これまで同様、地域の大切な子どもたちを守るため、市民の側に立って国や県に対応を求め続けてくださいとお願いをしました。
いわき市としては今も2000箇所のモニタリングを年に2回行い、私たちママベクのホームページのリンクを市のホームページに掲載するなどさまざまな努力を続けてきましたが、来年度からは除染対策課がなくなり、今後は『資源循環推進課』としてモニタリングやママベクとの協議を行うことになりました。
いよいよ原発事故対応がリアルに縮小される流れとなってしまったのはとても残念なことではありますが、このまま原発事故の幕引きがされないよう、私たちとしても一層の努力を重ね、更なる提案を示していきたいと思います。」
●要望書
令和6年3月12日
いわき市長 内田広之 様
日頃のご協力に感謝いたします。原発事故後の子どもたちの環境を守るため、測定活動をはじめてから11年が経ちます。活動にご理解をいただき、いわき市ホームページに私たちが行うモニタリング調査結果のリンクを掲載していただいたことは、活動の上でも大きな前進でした。サイトを見た市民からは、「子どもを遊ばせる公園の情報として、とても参考になる」という声や、「土壌汚染も分かるデータはとてもありがたい」という声が届くようになりました。一方で、地域住民の方からは、「機器(デジタル端末)を持っていないのでホームページは見られない。紙面で見せてほしい」という要望も届いています。
原発事故からは13年が経ち、環境中の放射線量はだいぶ低減しているものの、母親目線でこまかく測るほど、子どもの環境にもまだまだ汚染が残っていることが分かります。大量の放射性物質が大地にも海にも降り注ぎ、自然環境を汚してしまったことは事実です。原発事故の被害者となり、この間、私たちは厳しい現実を嫌というほど学んできました。原発事故は国が加害側の公害問題ですが、私たちは被害者であっても未曽有の原発事故で子どもたちに生涯に渡るリスクを背負わせてしまったこと、環境を汚してしまったことに対し、この社会に生きる大人として大きな責任を感じています。将来世代へは負の遺産ばかりではなく、できる限りの手を尽くし、未来を守ろうとしたという歴史を残したいのです。身体の小さい、被曝の影響を受けやすい子どもたちの環境を安全に整えるためには、私たち大人の努力が必要です。これからも官民協働の取り組みを継続していけることを願い、以下の要望をいたします。
1、 被曝のリスクは足し算であり、原発由来、自然由来、医療被曝を合わせて考えなければなりません。ホットスポット対応を年間1ミリシーベルト基準に当てはめて「これぐらいなら大丈夫」と楽観視するのではなく、子どもたちが受けるリスクを最小限に食い止めるために、最大限の努力を行ってください。
2、 子どもたちの被曝防護のため、「TEAMママベク 子どもの環境守り隊」によるモニタリング調査結果の周知方法をホームページ以外でも検討し、教育・保育現場、地域住民に広く知らせてください。
3、 被曝の影響については解明されていないことが多く、長期的に向き合っていくことが必要です。私たちは2013年から、いわき市内の小中学校等の空間線量及び土壌汚染濃度を調査してきました。特に土壌汚染濃度のデータは、いわき市が受けた実害を示す貴重なデータです。それらをどうか、いわき市の財産として期限を設けず長期的に保管し、未来に生かしてください。
4、 2020年6月18日、いわき市議会本会議において陸上保管を求める「多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書」が全会一致で可決されました。市としては海洋放出には慎重な姿勢を国に求めてきました。2022年10月、いわき市は経産省の広報事業、「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策基金事業」の「ALPS 処理水並びに福島県及びその近隣県の水産物の安全性等に関する理解醸成に向けた出前食育活動等事業」に対し「本市の学校給食に制度の趣旨がそぐわないもの」と判断し、当該事業には参加しないものと対応してくださいました。また、2024年2月議会で出された「教育現場におけるALPS処理水の理解醸成に向けた取り組みの強化を求める意見書」についても、採択されなかったと伺っています。これらの判断に、心から感謝いたします。
私たちは子どもたちに「環境を汚してはいけない」と教えるべきで、「汚しても大丈夫」と教えてはいけないはずです。教育の現場が政治利用されることのないよう、どうか引き続き、正しい判断をお願いいたします。
5、 原発事故の影響から地域の大切な子どもたちを守るため、市民の側に立ち、今後も国や県に対して必要な被曝防護策を求め続けて頂けますようお願いいたします。
TEAM ママベク 子どもの環境守り隊